一般的に、横領は経済的な困窮に追い込まれた人が行うものと考えられがちです。
しかし、実際には、一見すると経済的に安定しているように見える人でも、横領に手を染めてしまうケースは少なくありません。
横領のニュースが出てきたときに、
「あの人が?!」
と驚いたことがある人もいるでしょう。
この場合、
「実は大して稼げていなかった」
というパターンもありますが、そうではない場合もあるのです。
なぜ稼げる人が横領をするのか?
- 流動性資産不足: 資産は多く持っているものの、すぐに現金化できない不動産や株式など、流動性の低い資産ばかりの場合、突発的な大きな支出に対応できず、焦りから横領に手を染めてしまうことがあります。
- 突発的な支出: 高額な医療費や子供の教育費など、予想外の大きな支出が発生した場合、準備ができていなければ生活が破綻しかねません。その危機感を払拭するために、一時的な解決策として横領を選択してしまうケースがあります。
- 心理的な焦り: 経済的なプレッシャーに加え、将来に対する不安や焦りも、横領を誘発する要因となります。例えば、リストラや倒産などのリスクを感じ、将来の収入が途絶えることを恐れて、つい横領に手を染めてしまうことがあります。
横領を防ぐための対策
- 流動性資産の確保: 例えば、1億円程度を3営業日以内に確保できるような流動性の高い資産を、常に一定額保有しておくことが理想です。
- 純金融資産の増加: 普段から、預金や投資信託など、数営業日以内に自由に使える現金化しやすい資産を増やすことで、突発的な支出にも対応できるようになります。
- キャッシュフローの管理: 家計簿などを活用して、収入と支出をしっかりと把握し、無駄な支出を削減することで、貯蓄を増やすことができます。特に、銀行口座の次の引き落とし日にいくら引き落とされる予定なのかが重要です。
- 借り入れの準備: 緊急時に備えて、あらかじめ借り入れができるようにしておくと安心です。どの相手ならばそれを申し入れ可能なのか調べておくことも重要です。
- 取引先の管理: 支払いの期限を交渉したり、分割払いを依頼したりすることで、一時的な資金ショートを防ぐことができます。そのような交渉が不可な相手もいれば柔軟に対応してくれるところもあります。
その他の対策
- 専門家の相談: 金融機関や専門家などに相談することで、適切な資産運用や資金管理の方法を学ぶことができます。
- 心の健康: ストレスを溜め込まず、定期的にリフレッシュすることで、衝動的な行動を抑制することができます。
- 倫理観の向上: 道徳心や倫理観をしっかりと持ち、不正な行為は絶対にしないという強い意志を持つことが重要です。
まとめ
横領は、経済的な問題だけでなく、心理的な問題も大きく関わっています。
経済的な余裕があるつもりでも、突発的な出来事や心理的なプレッシャーによって、誰もが横領に走ってしまう可能性があるのです。
そのため、普段からしっかりと資産管理を行い、緊急事態に備えておくことが大切です。
また、心の健康を保ち、倫理観をしっかりと持つことも、横領を防ぐ上で重要な要素となります。
具体的な例
- Aさん: 高収入の会社員だが、株価が下落し、資産が大幅に減ってしまった。焦りから会社の経費を横領し、損失を埋め合わせようとした。
- Bさん: 自宅が全焼し、多額の保険金が入ったが、保険金だけでは再建費用が足りなかった。焦りから会社の備品を売却し、そのお金で再建費用に充てようとした。
これらの例からもわかるように、経済的な余裕があるように見えても、突発的な出来事によって状況は一変し、横領に手を染めてしまう可能性があるのです。
最後に
横領は、自分だけでなく、周囲の人々にも大きな迷惑をかける犯罪行為です。
「後で返せるから」
「ちょっとだけだから」
という軽い気持ちで一時的に手を付ける人もいるタイプの類型です。
絶対に犯してはならない行為であることを肝に銘じ、日頃から正しいお金の使い方を心掛けることが重要です。