投資をしている人にとってはいつか直面してしまう暴落。
「暴落には巻き込まれたくない」
と願うもほとんどの場合それは叶わないでしょう。
特に、株式市場の暴落は、多くの一般投資家にとって資産を大きく減らす要因となりますが、富裕層にとっては逆に資産を増やすチャンスとなることがしばしばあります。
これは、両者の投資戦略、資金力、情報力、そして心理状態の違いに起因しています。
一般投資家が暴落で資産を減らす理由
まず、一般投資家が暴落時に資産を減らしてしまう主な理由を見ていきます。
- 狼狽売り(パニック売り): 株価が急落すると、多くの投資家は不安や恐怖に駆られ、「これ以上損失を増やしたくない」という心理から保有株を売却してしまいます。この売りがさらに株価を下落させる要因となり、損失を拡大させてしまう悪循環に陥ります。
- 短期的な視点: 一般投資家は、短期的な株価の変動に敏感に反応しがちです。長期的な視点を持たずに、目先の損失を避けるために売却してしまうため、本来であれば回復するはずの株価上昇の恩恵を受けられません。
- 分散投資の不足: 投資資金が限られている場合、十分な分散投資を行うことが難しい場合があります。特定の銘柄や資産に集中投資していると、その資産が暴落した際に大きな損失を被ります。
- 信用取引・レバレッジの利用: 信用取引(借金をして投資すること)やレバレッジ型投資信託を利用している場合、株価の下落によって担保価値が低下し、追加の資金(追い証)を求められることがあります。これに応じられない場合は強制的に売却され、損失が確定します。
- 情報不足と情報弱者: 専門的な金融知識や情報にアクセスする機会が少ないため、市場の状況を的確に判断することが難しく、誤った判断をしてしまうことがあります。
富裕層が暴落でさらに金持ちになる理由
一方、富裕層は暴落をチャンスと捉え、資産を増やす傾向があります。そのメカニズムは以下のとおりです。
- 豊富な資金力: 暴落時には、優良企業の株価も大幅に下落します。富裕層は豊富な資金力を持っているため、このような割安になった株を大量に買い集めることができます。これは「バーゲンセール」のようなもので、将来の株価上昇による大きな利益を期待できます。普段からギリギリの余剰資金で投資を行っている人は暴落時にキャッシュが足りずに買い増しを行うことができません。他にも富裕層は収入の複線化を行っているパターンも多く「投資が失敗してもそもそもビジネスなどの他の収入源が豊富にあるので大した問題ではない」という人も多いでしょう。
- 長期的な視点: 富裕層は、短期的な株価の変動に惑わされることなく、長期的な視点で投資を行っています。一時的な株価の下落は、長期投資戦略においてはむしろ絶好の買い場と捉えることができます。
- 高度な情報収集力と専門家との繋がり: 富裕層は、専門的な金融知識を持つだけでなく、プライベートバンカーやファンドマネージャーなどの専門家との強いつながりを持っています。市場の動向を的確に分析し、リスクを管理しながら最適な投資戦略を実行することができます。
- 逆張り投資: 他の投資家がパニック売りをしている中で、あえて割安になった資産を買い集める「逆張り投資」を得意とします。これは、市場の心理とは逆の行動を取ることで、大きな利益を得る戦略です。
- ポートフォリオの多様性: 不動産、債券、株式、オルタナティブ投資など、多様な資産に分散投資することで、リスクを分散しています。特定の資産が暴落しても、ポートフォリオ全体への影響を抑えることができます。
- 税制優遇の活用: 税制に関する専門知識を活用し、損失を繰り越して将来の利益と相殺するなど、税負担を軽減する戦略を取ることができます。
- 心理的な余裕: 十分な資産を持っているため、短期的な株価の変動に動揺することが少なく、冷静な判断を維持することができます。
暴落が富の格差を拡大する要因
上記のメカニズムが複合的に作用することで、暴落は富の格差を拡大する要因となります。
一般投資家は損失を被り、富裕層は資産を増やすという構図が繰り返されることで、富が一部に集中していくのです。
一般投資家が取るべき対策
一般投資家が暴落時に損失を最小限に抑え、長期的な資産形成を目指すためには、以下の点を意識することが重要です。
- 長期投資の視点を持つ: 短期的な株価の変動に惑わされず、長期的な視点で投資を行う。
- 分散投資を心がける: 複数の銘柄や資産に分散投資することで、リスクを分散する。
- 積立投資を活用する: 定期的に一定額を投資する積立投資は、時間分散の効果があり、高値掴みのリスクを抑えることができる。
- 感情に左右されない: パニック売りを避け、冷静な判断を心がける。
- 情報収集と学習を怠らない: 金融知識を学び、市場の情報を収集することで、適切な投資判断ができるようにする。
暴落は避けられない市場の現象ですが、適切な知識と行動によって、その影響を最小限に抑えることは可能です。
富裕層の戦略を参考にしながら、自身の投資戦略を見直し、長期的な資産形成を目指す必要があります。