はじめに
一見すると、矛盾しているように思えますが、社会の様々な制度や仕組みを巧みに利用し、自らの利益を最大化する戦略として、「強者属性と弱者属性を使い分けること」は近年注目されています。
強者属性と弱者属性を使い分けし者のメリット
- 制度の抜け穴を最大限に活用できる: 様々な制度には、必ず抜け穴やグレーゾーンが存在します。これらの抜け穴を熟知し、自らの状況に合わせて使い分けることで、税金や社会保険料の負担を減らし、より多くの利益を得ることができます。
- 経済的なリスクを分散できる: 強者属性と弱者属性を状況に応じて使い分けることで、経済的なリスクを分散することができます。例えば、高所得時には強者属性として金融機関から有利な融資条件を引っ張る一方で、低所得時には各種手当を受けるなど、収入状況に合わせて最適な選択を行うことができます。
- 柔軟な生き方ができる: 固定観念にとらわれず、状況に応じて柔軟に戦略を立て、行動することができます。
強者属性と弱者属性を使い分けし者になるためには
- 制度の知識を深める: 税法、社会保険制度、各種補助金制度など、関連する制度について深く理解する必要があります。
- 情報を集め、開示する範囲を限定する: 新聞、インターネット、専門家など、様々な情報源から情報を収集し、常に最新の制度に精通しておく必要があります。同時に「自分の情報については、最低限の情報しか開示しない」という普段の生活における情報戦略も考える必要があることでしょう。
- 専門家のアドバイスを受ける: 税理士や弁護士などの専門家に相談することで、より適切なアドバイスを得ることができます。
- 倫理観を忘れない: 制度の抜け穴を悪用することは違法行為となる可能性があります。法の範囲内で、正当な手段を用いることが重要です。違法ではなくとも、あまりにも使い分けを行いすぎると「ずるがしこい人」と言われかねません。
具体例
- 住民税非課税世帯なのに財産債務調書制度の対象者: 高額な不動産や金融資産を所有しているが、年間の所得が低い場合、住民税は非課税となる一方で、財産債務調書制度の対象となるケースがあります。
- 財産債務調書制度の対象者であるのに消費税免税事業者: 高額な不動産や金融資産を所有している一方で、小規模な事業を行っており、消費税の課税売上高に達していない場合、消費税の免税を受けることができます。取引相手によってはインボイスも事実上問題にならないこともあります。
- 富裕層の家族がいるが社会保険料最低額の支払で済んでいる女性: パートタイムで働いており、社会保険料の支払額が最低額に抑えられている場合、国民年金と国民健康保険の保険料の負担を軽減することができます。
考察
強者属性と弱者属性を使い分けることは、一見するとずる賢い行為のように思われるかもしれません。
しかし、現行の制度の設計上、このようなことが可能になっているケースも少なくありません。重要なのは、法の範囲内で、自らの権利を最大限に主張することです。
ただし、この手法にはリスクも伴います。制度は常に変化するため、過去の知識や経験が通用しない場合もあります。
特に、弱者属性が使いやすい社会というのは、弱者に対して優しい福祉国家特有のものである場合も多く、あまりにも現行制度に対してフリーライドしすぎると、制度そのものが消えてしまい、通常のように単純に強者属性を持つ者が有利になる社会になる可能性があります。
また、税務調査などのリスクも考慮する必要があります。