【第1663号】適正なリスクテイクによる未来逆算型意思決定の魅力

意思決定基準
この記事は約4分で読めます。

未来において達成したい目標や理想の姿を起点に、現在の行動を逆算して選び取る――これが「未来逆算型意思決定」と呼ばれるアプローチです。これは「今できることをコツコツ積み重ねていけば、いずれ良い未来がやってくる」という考え方とは異なり、「その未来を本当に実現するには、今、どの地点に立つべきか」を逆方向から設計していく極めて戦略的な思考です。

この意思決定を実現するためには、自己認識の深さに加えて、ある種の適正なリスクテイクが必要とされます。なぜこの思考法が高度でありながらも魅力的なのか、そしてどのような条件がそれを可能にするのかを、会社員の具体例とともに考察していきます。

未来逆算型意思決定とは何か

未来逆算型意思決定とは、10年後、あるいは20年後にどのような状態でありたいのかというゴールを明確に描き、その未来から現在を逆算して行動を選択していく方法です。

たとえば、「50歳までに、家族と自然に囲まれた土地でストレスの少ない仕事をしながら、経済的にもある程度自由な暮らしをしたい」と望む人がいたとします。この未来を実現するためには、都市部の管理職として60歳まで働くという「今ある選択肢」では届かない可能性があるわけです。

そのとき、「どこに拠点を移すべきか」「副収入をいつから、どの手段で確保するか」「今の職場でどこまでスキルと人脈を培っておくか」といった選択を、未来を起点に組み立てる必要があるのです。

適正なリスクテイクが求められる理由

未来逆算型の意思決定は、現状維持と正面から衝突します。多くの場合、「今は無難な会社に勤めておくべき」「キャリアは社内評価で積み上げるべき」といった常識から外れた判断が必要になるからです。

たとえば、40代の会社員が「50歳から地方で半分起業的な働き方をしたい」と考えた場合、単に社内で昇進を目指すだけでは難しい。副業として始めるECビジネスやコンサルティング、地方企業との関係構築など、社外に軸足を移す必要が出てきます。

しかし、こうした動きは「会社に不誠実に映るのではないか」「副業が失敗したらどうするのか」「転職市場で評価される保証があるのか」といった不安を伴います。ここで必要となるのが、感情に流されずにリスクを評価し、合理的に踏み出す判断力です。

リスクをゼロにすることはできません。重要なのは、未来に必要なリターンと照らし合わせて、「この程度のリスクなら受け入れるべき」と判断する感覚、すなわち適正なリスクテイクのセンスなのです。

具体例:事業部長ではなく「社外に仕事を作る」選択

40代前半のある会社員がいました。大手メーカーで安定的なポジションにおり、数年後には部長への昇進もほぼ確実視されていました。しかし、彼が心に描いていたのは「50歳からは地方で週3日稼働の仕事を持ちつつ、あとは地域活動や趣味に没頭する暮らし」でした。

この理想から逆算すると、「役員を目指す」という道はかえって足かせになりうると気づいたのです。そこで彼は、社内のポジション争いから距離を取り、代わりに社外での活動――地方自治体との地域開発プロジェクトへの参加、副業としての小規模オンライン事業の立ち上げ、業界内の専門人材としての外部セミナー登壇など――を着々と積み上げていきました。

数年後、彼は社内評価ではやや地味な存在となっていましたが、社外では「柔軟で複線的なキャリアを築いている人」として評価され、地方の企業や団体から仕事の打診がくるようになっていました。

一見すると「出世の道を捨てた選択」ですが、未来から逆算すれば、それはむしろ極めて合理的で戦略的な判断だったのです。

なぜ実行が難しいのか

このような未来逆算型の行動は、以下のような要因により難易度が高くなります。

  • 視野の転換が求められる:今の評価軸(出世・年収・社内序列)を一時的に手放す必要がある。
  • 成果が遅れて現れる:短期的には「遠回り」「リスクが高い」ように見える。
  • 周囲からの理解が得にくい:他人からの評価やアドバイスは、どうしても現状維持の延長に偏りがち。
  • 内面の確信が必要:「自分は何を望んでいるのか」「その未来に本当に価値があるか」を何度も問い直す必要がある。

つまり、論理だけではなく、感情の制御、環境設計、そして自己信頼がそろって初めて成立する意思決定なのです。

人生の教訓:自分の人生は自分で設計するしかない

未来逆算型意思決定から導かれる最も重要な教訓は、「他人が用意した選択肢の中に、自分の本当に望む未来は存在しない可能性が高い」ということです。

誰かの用意したキャリアルート、制度、生活設計ではなく、自分自身が何を望むのかを明確にし、そのための工程を逆から描ききる。そして、そのためにはときに「安定」を手放し、「孤独な判断」を下さなければならない。

この意思決定は、すべての人にとって易しいものではありません。しかし、その困難を超えた先にある人生は、間違いなく「選ばされた人生」ではなく、「選び取った人生」なのです。

終わりに:未来を理由に、今を変える

「未来を理由に、今の行動を選び取る」という視点は、極めて力強いものです。目先の正解を探すのではなく、未来の自分のために「今しかできない選択」をする――それが未来逆算型意思決定の本質です。

人生において本当に満足のいく成果を得たいなら、誰かに最適化された選択肢ではなく、自ら設計した未来から逆算する勇気と覚悟を持つべきなのではないでしょうか。

美紀のプロフィール
夢見がちな社会不適合者

社会人7年目かつ会社経営者(法人5期目)。
都内在住、マッチングアプリ上位0.0X%(上位3桁)の超人気女性会員。
フォーチュンレディ (Fortune Lady:幸運な女性)

かつて不登校になり片っ端から出席点を落としまくる。高校生の頃は家出経験も。
経済的自由のため、新卒で年収1000万円overのトップファームへ。
手取り月収貯蓄率90%overを達成。
ビジネスでは、ファーム内で全パートナー分を凌駕する新規顧客獲得の営業実績を持つ。
20代で役員のオファーを受け就任。

普段は、今より良い人生を送りたい人のための個別コンサルティングを1時間につき15万4,000円(税込)で請け負っています。
(※好評につき2025年4月1日から11,000円(税込)値上げしました)

mikimikiをフォローする
twitterの表示
意思決定基準
mikimikiをフォローする
INTJ型女性による皆既日食への歩み
タイトルとURLをコピーしました