漠然とでもよいのですが、
「自分の能力をもっと高めたい!」
と思っている人は多いと思います。
そして、そのために予備校に通ったり、新しい教材を買ったりして自己研鑽に励む人もいます。
しかし、実際に新しいスキルを身に付けたことによるメリット、効用について落ち着いて考える機会というのはあまり多くないと感じています。
新しいスキルというとどうしても、
「今よりも年収を上げられるように○○資格を取っておくほうが良いかも」
とか
「自分の専門領域を確立させて市場価値を高めて……」
といったことを考えがちです。
もちろん、このように新しいスキルがあれば自分自身の年収が今よりも上がるといった効用は期待できます。
しかし、ほとんどがこのような同じことを考えているがゆえに
「やっぱり、英語力は○○くらいないといけないよね……」
とか
「専門的な知識に関連する資格とかを勉強しなければいけないよね……」
という考え方に固執しやすいのではないか、と考えています。
それゆえに、これらに関連する教材は多く商品として売られていますし、需要があります。
そして、このような教材を購入したはいいものの様々な理由で勉強が身に入らないといった現象もよく起こります。
特に勉強に関して挫折しやすい理由として多いのが、
教材などを使用して勉強を頑張ってもすぐに成果が出るわけではない
という点だと思います。
特に○○資格などの場合、試験の合格などの明確なゴールは設定しやすい反面、受かるまでの必要な勉強量がそれなりにあるため、試験慣れしている人はともかく、それ以外の人にとっては厳しいと感じることも多いでしょう。
したがって、このような年収を上げるタイプの新しいスキルを追うことはキツイと感じる人もそれなりにいるのではないかと考えています。
その一方で、そもそも新しいスキルを獲得することによる効用というのは年収を上げることに限られないと私は考えています。
むしろ、新しいスキルを手に入れることによって、そのスキルを活用して自分自身の将来において発生する可能性が高かった負債を減らすことも可能です。
そして、このような将来の負債を減らせるタイプの新しいスキルの習得により着目してみてもよいのではないかと考えています。
例えば、歯磨きなどは毎日行うことを習慣づけている人も多いわけですが、人によってはめんどくさいだとか、最近歯ブラシを新しく買っていないなどの理由によって歯磨きをめったにしないという人もいるようです。
歯磨きを毎日行うことを習慣づけられている人は、自分でどのようにいつ歯ブラシを用意するかだとか、いつ買い替えるだとか、歯を磨く際にはこのようなことに気を付けるだとかそういった細かいことをすべて日々の学びによって把握しており、
いわゆる「歯磨きを行うスキル」が身についています。
そして、この「歯磨きを行うスキル」によって虫歯を予防することによって歯医者さんにかかる回数を減らすことができるようになります。
「歯磨きを行うスキル」の存在によって、その後の将来にわたって歯医者さんにお世話にならざるをえないという将来におけるいまだ見えていない負債を減らすことが可能なのですね。
「歯磨きを行うスキル」はいったん身についてしまえば、その後生涯にわたって使用することができるスキルであるため、多少時間やお金がかかったとしても早い段階で身に着けた方が得であると言えるでしょう。
他のジャンルで言うと、
「自分で自分の機嫌を保つことができるスキル」
なども個人的には重要なスキルであると考えています。
自分で自分の機嫌を保つことができない人は物に救いを求めたり他人に対して救いを求めざるを得ないわけですが、
物に救いを求めるというのは、たとえば、ストロングゼロを購入して一旦すべてを忘れ去ったり、高額な買い物を行うことによって自分の機嫌を取り戻すなどの行為が考えられます。
これらの行為はそれなりにお金がかかってしまうことや、自分自身の健康を害してしまうリスクがあったり、部屋の中に購入した無駄な物が増えてしまうなどのリスクがあったりします。
他人に対して救いを求める場合には、友達などがもともとたくさんいる場合は良いのですが、そのような人がいない場合にはお金を払って話し相手を確保するなどの手段をとる必要が出てきます。
心の栄養を求めてひたすら負債を増やし続ける可能性があるわけですね。
「自分で自分の機嫌を保つことができるスキル」はいったん身についてしまえば、その後生涯にわたって使用することができるスキルであるため、こちらも多少時間やお金がかかったとしても早い段階で身に着けた方が長い目で見ると得であると言えるでしょう。
具体的には、何か嫌な物事などが起こった際に、その捉え方を変えてしまうリフレーミングによってこのようなスキルは身についていきます。
このようにスキルを手に入れることによって自分自身の将来における負債を減らすことが可能であり、かつこれらの中には多くの人がその存在に気付いていないものも含まれているため、実はよく見ると習得難易度がそこまで高くないものも含まれています。
このように、
自分自身の将来における未だ見えていない負債を減らすことが可能なスキルというのを積極的に開拓していくと、地味ではあるものの、これによって少しずつ未来の自分を助けることになると思います。
そして、時がたつにつれてその効用の大きさに気付くことになるでしょう。