世の中には
「いい人」
と呼ばれる人がいます。
「あの人はいい人だよ」
と周りの人に評されることによって安心感を得ることができた人もいるでしょう。
しかし、その一方で、
「周りの人からいい人と言われたい」
という気持ちから、他人に合わせすぎてしまうことによって心の病気になってしまう人も後を絶ちません。
健康は心身の健康、すなわち体の健康とともに、心の健康によって成り立っているわけですが、
自分らしくない行動を長年無理して続けていると心の健康がどんどん害されていきます。
心の病気にならないためには、
「いい人になり過ぎない」
ようにすることが、非常に大切になってきます。
なぜかと言いますと、一般的にいい人というのは、自分の感情や思いを押し殺して、相手の言うことを聞いてあげる傾向にあるからです。
そして、相手の気持ちを気遣いすぎて、あるいは忖度しすぎてしまうために、
なかなか「ノー」が言えず、いつも「イエス」ばかり言ってしまうために、依頼ごとをたくさん引き受けてしまったり、心理的負担が大きくなりすぎてしまうのです。
特に勤め人としていわゆる真面目に働いている人に「いい人」は多いようです。
勤め人というのは、自身の労働力を商品として勤務先に売却することによってその対価として賃金を得ている人たちの事ですが、
この労働力商品の中身というのは、専門性の大小はあれど
勤め先や上司からの明示(又は黙示)の指示をそのまま適切に遂行する
ことをサービス内容に含む場合が多い傾向にあります。
時折、このような指揮命令にしたがわなくても済む立場の勤め人もいますが、そのような人は、その人にしか務まらないような専門性を有していたり、何か特別な成果を上げている人だったりするため、多くの人は、
勤め先や上司からの明示(又は黙示)の指示をそのまま適切に遂行する
ことがメインの仕事となります。
この指示の内容が自分がやりたいことと合致している場合、その勤め先における仕事というのはその人にとっての天職といえるでしょう。
しかし、多くの人にとってはそうではないことの方が多いようです。
それにもかかわらず、なかなか「ノー」が言えず、いつも「イエス」ばかり言ってしまうために、依頼ごとをたくさん引き受けてしまったり、心理的負担が大きくなりすぎてしまうと心の病にかかってしまうのです。
したがって、
いい人であり続ける
というのは負担が重すぎて続きにくいので、
いい人であり続けるということはそもそも難しい
ということを事前知識として知っておくことは重要なのではないかと思います。
そして、いい人になることを目指すのではなく、
「自分自身」
になってください。
自分自身の本音や感情を自分自身でしっかりと認識するのです。
嫌なら、嫌と言いましょう。断りたいなら、はっきり断りましょう。
いい人すぎて、心理的負担を感じている人は、「他者から嫌われる勇気」を持って、
「自分自身」にどうすればなれるのか?
「自分自身」とはなんだろうか?
と考えてそこから出てきた回答・本音を見逃さないようにしましょう。
「他者から嫌われる勇気」を持ちましょうというのは、何も他者から嫌われることを推奨しているわけではありません。
そうではなく、自分自身の軸を持ってそこから極端に外れてしまうことを恐れてはいけないという戒めの言葉であります。
いい人になりすぎず、「自分自身」になることで、心の病気になったり心療内科に通わざるを得なくなっていた人は、通院回数が恐らく減るでしょう。