唐突に料理動画をみたいという気分になったので、見ることにしました。
有名なテレビ番組にキューピー3分クッキングというのがあります。
もちろん、厳密に3分で料理の過程が成立しているわけではないのですが、
これは、レシピを紹介しつつ大事なところをまとめて短時間で料理をしてくれる番組であって、それなりに長寿番組のようです。
このような動画を見ていると、おいしそうなのでふとお腹が空いてきますね。
「料理をしてみたい」
そんな気分になる方もいるでしょう。
もっとも、私の場合それ以上にこの手の番組を見ていると気になってしまうのが、
「料理のうち面倒な過程とかはすべてカットされているからすごく良さそうに見えるなあ」
という点だったりします。
例えば、料理番組では
10分間このまま煮込む
という調理工程があった場合、
「では、こちらが10分煮込んだ状態のものになります」
と
すっ……と出てきます。
場合によっては、
「では、こちらが11時間冷蔵庫で冷やしたものになります」
といった具合に本来準備を行うのに長時間かかるものであっても、
当たり前のように番組ではすぐに出てきます。
そして、
料理の中で面白そうなポイントのみにしっかりと絞った上で実演を約3分間行ってくれるのです。
いわゆる、
料理のおいしいところ、面白いところ
だけにフォーカスしてくれる番組と言えるでしょう。
実際に、料理を日常的にしている人からすると当たり前かもしれませんが、
実際の料理の過程というのは材料を集めるところから片付けまで含めると地味でつまらない作業も多かったりします。
番組だけを見ていると楽に楽しく短時間で料理をやっているように錯覚しがちですが、
実際には番組を作成する上で、地味すぎる作業を伴うお膳立てを誰かがやってくれているからこそ、華やかな、楽しいところだけが番組として放映されるということが可能になるわけですね。
私たちは誰かの華やかな姿を見ると、ついつい
目の前に現に見えている物
だけに着目しがちです。
それはすなわち、空中を舞う綺麗な蝶を見て
「あの蝶は元から綺麗だったんだな」
「あの蝶は飛べるからいいなあ」
と思ってしまうのと似たようなところがあります。
実際には、そのきれいな蝶も最初から蝶だったわけではありません。
初めは、幼虫から始まり、さなぎに変態したうえで、蝶になっているわけですね。
蝶になるまでには時間がかかったり苦労を伴ったりするものです。
誰かの華やかなところだけ見て、
「あの蝶は元から綺麗だったんだな」
と思ってしまうのは、
キューピー3分クッキングを見て、
「なんか、料理って楽しそうだし割と短時間にできそうだし簡単そうだな」
とついつい錯覚してしまうのと似たようなところがあるのではないでしょうか?
しかし、実際には楽しいことばかりではなく、
楽しいことをやるための地味な下準備なども必要になるわけです。
キューピー3分クッキングが成立するのはそのような地味すぎるお膳立てがあるからこそ
と言えるでしょう。