「あれはコスパ良かった」
「あれはコスパ悪かった」
といった表現を使用したことがある人は多いことでしょう。
コスパというのはコスト・パフォーマンス、すなわち費用対効果の略ですね。
コスパという言葉の用法は人それぞれかもしれませんが、一般的にここでいうコストというのは、主に金銭のことを想定していることが多かったようです。
しかし、そのような風潮にNOを突き付けるかのように、近年は
タイパ
という言葉を使う人が増え始めています。
タイパというのはタイム・パフォーマンス(時間対効果)の略を指しているとされており、
要は、費用対効果を指すコスパ(コスト・パフォーマンス)の時間版です。
コスパという言葉の使い方として、
そもそも、コスト概念に時間までも含めて考慮している人もいるかもしれませんが、
タイパという言葉の台頭は、
如何に、限りある時間を有効に使うか、という問題意識を強調していると感じさせます。
つまりは、とにかく時間を無駄にしたくない、という価値観が広まってきているのですね。
これに伴って増えているのが、動画や音声コンテンツの倍速視聴です。
これには、再生速度を上げることで視聴時間を短縮でき、より短時間で多くの情報を仕入れることができるというメリットがあります。
いつのまにか、ネット上の動画を倍速で見るのが当たり前になってしまったという人もいるかもしれません。
私自身、学生の頃から、動画・音声タイプの教材は倍速で見ることで再生時間を短縮させながら勉強していました。
当時は、講師の先生がしゃべるのが遅いのが気になっていたので倍速で見ていたのですが、いつのまにか、他のコンテンツにおいても倍速視聴することも増えてきています。
背景にあるのは、目を通しておきたいコンテンツが増えてしまったことが挙げられるでしょう。
私たちの時間が有限であるのに、コンテンツだけがどんどん増えており、追い付くのが困難になっています。
最近の動画サイトにおいては、効率を極めるためか、そもそも動画に投稿される段階で客観的に見てつまらないシーンや冗長なシーンはカットされたり倍速処理が施されている動画も多いです。
さらに言えば、一つの動画の枠に2画面を入れて同時並行で再生することで同じ時間で2画面分の情報を視聴者に提供している動画も存在しています。
もちろん、2画面どころか4画面やそれ以上を同じ動画の枠に同時展開している物すらあります。
このように、近年のコンテンツはタイパを求める視聴者の要望に応える物が非常に多くなっていると言えると思います。
いわゆる、ショート動画と呼ばれる短い動画が増えているのもこの風潮に拍車をかけているでしょう。
さらに、
視聴者側においては、
「家事をしながら、動画の内容を把握したい」
とか
「通勤しながらちょっと画面から目を離していても動画の内容を把握しておきたい」
というさらに効率を極めたいという要望も存在しており、
そのような人たちのために、画面から目を離していてもしっかりと内容が把握できるように、音声で状況がすべて把握できるようにちゃんと説明を行っている動画も存在しています。
逆に、電車の中など、音声の方が上手く聞こえないという環境に突如置かれてしまう人もいます。
そのような人たちのために、音声がたとえ聞こえなくてもしっかりと内容が把握できるように、動画の画面を見るだけで説明が把握できるように字幕を完璧につけている動画も存在しています。
昔は、いわゆる音声コンテンツと言えば、等倍でも再生しながら他の行動をしながら聞くことができたため、
「なんて効率がいいんだ」
と考えられたものですが、
現代はそれどころではないレベルでのタイパを実現しているコンテンツがたくさん存在していると言えるでしょう。
そして、視聴者側ももはやそれが当たり前だと感じつつあるのではないでしょうか?
このような時間に対する価値の重視という風潮はそのまま
個人のタイパを高めることを助けるサービス
がこれから求められていくことになるであろうことが予想されます。
基本的に、個人としてタイパを高めるためには、主に以下の3つの方法があります。
①自由に使える時間(可処分時間)を増やす
②実は不必要だった時間を減らす
③時間の密度・時間の質を高める
上記の①や②は時間の量、③は時間の質に着目したものです。
上記を意識するだけで、タイパは少しずつ良くなっていくことでしょう。
その上で、これらの価値観に配慮されたサービスはこれからの時代においてはかなり喜ばれると考えられます。
少なくとも、数十年前において、
「効率が良かった」
と考えられていたものに比べるとかなり高い水準でのタイパが今後は要求されてくる、そういったものに惹かれる人が増えてくる、という長期トレンドは見逃せないと感じます。