「取引先」
という言葉を思い浮かべたことはありますか?
例えば、あなたがどこかの勤め先で勤務している場合、
「うちの取引先は、○○商事と、××銀行と……」
などと思い浮かべるかもしれません。
しかし、よくよく考えると、それはあなた自身ではなく、あなたの勤め先、○○株式会社にとっての取引先だったりしませんか?
これは、長く勤め人として勤務している人にありがちなのですが、
勤め先の仕事を担当している場合、自然と想起する取引先というのはあなた自身の取引先ではなくあなたの勤め先の取引先だったりする場合があります。
その人にとっての取引先の数というのは、銀行口座の通帳の入金記録を見ればすぐにわかります。
例えば、勤め人としてそこからの給与に頼っている人の場合、
毎月25日になった瞬間に、勤め先からの入金記録がつきますが、それ以外の人や団体からの入金記録はありません。
この状態は、取引先が一つしかない状態と言えるでしょう。
逆に、自営業の人の銀行口座の通帳の入金記録は全然違います。
多くの場合、一か月の間に様々な人や団体からの入金記録がついているでしょう。
この状態は、取引先が複数ある状態だと言えるでしょう。
これは、
勤め人の場合の収入源は勤め先の一つだけ
であるのに対して、
自営業者の場合の収入源は複数ある
と言えるでしょう。
そして、勤め人であるのに加えて、副業などもやっている人の場合は、
例えば、毎月25日に勤め先からの入金記録があるのに加えて、
様々な人や団体からの入金記録がついていることでしょう。
そして、その入金タイミングも安定しておらず様々なものになることでしょう。
このような人の場合、いわゆる給料日以外の日も楽しい気持ちになることでしょう。
そして、同時にたった一つしか収入源がない勤め人とは異なり、勤め先が倒産しても路頭に迷わないようにリスクヘッジができているといえます。
このような状態になると、
勤め先はあなたにとって数多ある取引先の一つに過ぎない
ということが実感できるようになります。
一般的に、勤め先からの給与はとても安定していますし、ある程度まとまった額を入金してもらえます。
これは、自営業者でいうところの
大口顧客
のようなポジションです。
勤め先というのは、既に慣れた仕事をするだけでまとまった額を入金してくれるありがたい存在なのですね。
しかし、自営業者の場合もそうですが、実際のところ、いつまでも大口顧客からの入金に頼り続けるというのはあまりよくありません。
突然、自分の仕事がなくなったりすることはあり得ますし、解雇規制があるとはいえ、特にこちらに落ち度らしきものがないはずなのに契約終了になったり、倒産する可能性もあるのです。
昔は、終身雇用とも言われ、このような大口顧客(勤め先)に頼りきりでもなんとかなっていた時代が続いていましたが、これからもそうとは限りません。
そのように考えると、
勤め先はあなたにとって数多ある取引先の一つに過ぎない
という認識で行くのも一案だと思います。
また、転職によってあなたにとっての大口顧客を変えてしまうことも場合によっては重要になってくることでしょう。
「取引先」という言葉を使うと若干ドライな印象を持ってしまいますが、
実際のところ、私自身、勤務しながら、副業をやっていると、
「副業などをやっていないと、精神的に勤め先に依存してしまうところだった」
と感じることはとても多いです。
勤め先はあなたにとって数多ある取引先の一つに過ぎない
と考えることは、
熱中対象、依存対象を分散することでもあります。
熱中先を分散することによってメンタルも安定しやすくなりますし、
それぞれの熱中先の良さもわかるというものです。
勤め先はあなたにとって数多ある取引先の一つに過ぎない
と考えられるようになると、今までとは違った物の見方ができるようになるでしょう。