赤ちゃんのお世話をしたことはありますか?
お世話をしたことがある人はわかると思いますが、
赤ちゃんは何か不満があると取り敢えず泣きます。
泣いている赤ちゃんを見ると、
「何か不満があるのか?」
「何か要求しているのか?」
と感じますが、
それ以上のことは赤ちゃんは教えてくれません。
泣いている理由は、
「お腹が空いた」
なのかもしれませんし、
「おしめを取り換えてほしい」
なのかもしれませんが、
そこまで詳細に教えてくれません。
したがって、文脈や状況判断ができる人でないと、このような赤ちゃんの要求を読み取ることは難しいと言えるでしょう。
例えば、普段から世話をしている親であれば、
「1時間前にご飯は食べたから、おそらくお腹が空いているという理由ではないのだろう」
とか
「しばらくおしめを変えてなかったから、それが原因かもしれない」
などといった情報から赤ちゃんが泣いている理由を推認できる可能性が高いです。
また、その赤ちゃんのお世話をしたことがない人であっても、他の赤ちゃんのお世話をしたことがある人であれば、
「状況から考えたらおそらくは○○なのかもしれない」
などと考えて適切な措置を取ることも可能なのかもしれません。
このようにコミュニケーションの受け手のレベルやお互いの関係性といった補助的な要素がなければ、
取り敢えず泣くだけ
といった手段で自分の不満を表明したり、要求を行う赤ちゃんの気持ちを慮ることは難しいのです。
しかし、赤ちゃんも成長します。
その成長の過程で、言葉を身に着けることができると、
「お腹空いた」
「トイレ」
などといった具合に、自分の不満や要求を言語化することができるようになってきます。
このように、言語化能力が身についてくると、
ようやく知らない人に対しても、要求をしやすくなりますね。
このように、成長する過程で自らの感情などを言語化することによって赤ちゃんのコミュニケーション能力が徐々に上がっていくのでしょう。
ところで、赤ちゃんの場合は上記の通りとして、
大人になっても不満や感情を言語化することが苦手な人というのは存在します。
例えば、職場などでも、
何故かよくわからないが不機嫌な人はいませんか?
顔や雰囲気を見る限り、機嫌がよさそうではないことはわかる、
しかし、その人が何故不機嫌なのかは全くわからない
といった具合です。
その人が不機嫌な理由は色々あるかもしれません。
単純な寝不足
かもしれませんし、
仕事が難航している
かもしれませんし、
家庭で家族とけんかした
かもしれません。
このような人の中には、
自分が不機嫌な原因はわかっているし、言語化はできるけれども、それは敢えて言いたくない、そこは察してほしい
という人ももちろんいますが、
「何故だかよくわからないが、不機嫌な気持ちだ」
という人も結構たくさんいます。
あなたも
何かモヤモヤする
とか
何か苛立ちを覚える
と感じつつも、
何故そう感じるのかはわからない
と思うことはありませんか?
このような状態というのは、
ただ泣いているだけの赤ちゃん
と実はあまり変わりないのだと思います。
何故ならば、上述のように、
「お腹空いた」
「トイレ」
といった単語が出てくるのであれば、それに関連した感情を抱いていると言えるかもしれませんが、
それすら出てこない場合というのは、
取り敢えず、不満や要求はあるがその感情の言語化はできていない
ということでもあるからです。
このような状態というのは、現状では、感情の言語化が困難であるという意味でコミュニケーション能力をそこからさらに伸ばす余地がある状態と言えるでしょう。
例えば、一口に不満と言っても、
焦燥感、
嫉妬心
憤怒
といった感情を表す単語や語句が存在しますが、
この辺りの語彙力を増やすことができるだけで、自分の感情を言語化しやすくなります。
さらには、自分とのコミュニケーションを行うためにも日記を書くことはかなりおススメです。
自分の感情を言語化することは、
「私はこれが不満だったのか」
ということを発見できるため、
精神安定剤と似たような効果を持ちます。
コミュニケーション能力というと、
「上手く他人と意思疎通できるようにしなきゃ」
とか
「相手に楽しんでもらわないと」
などと考えて気負ってしまう人もいるかもしれませんが、
赤ちゃんの成長を見ていると、
まずは、コミュニケーション能力向上のための第一歩として、
自分の感情の言語化、精緻化
を行えるようになることが重要でしょう。