キャッシュフローゲームというロバート・キヨサキ氏が作ったゲームがあります。
ロバート・キヨサキ氏といえば、ベストセラーとなった『金持ち父さん・貧乏父さん』の著者でもあります。
このゲームを10回くらいやると経済的自由を達成するために何が必要なのか、
何が重要なのかが見えてきます。
そして、現実の世界で何を気をつけるべきなのかが見えてくるのです。
キャッシュフローゲームとは
キャッシュフローゲームとは、人生ゲームのようなマップのボードゲームです。
このボードゲームには色んなバージョンがあるのですが、
キャッシュフローゲームの初心者版
を私は10回やりました。
上級者版も面白そうでしたが、まだやったことはありません。
キャッシュフローゲームはただのボードゲームではありません。
学校では決して教えてもらえないお金の勉強をするための教育用のゲームです。
まず、キャッシュフローゲームはプレイヤー同士で競うためのゲームではありません。
そのため、プレイヤーは何人いても良いのですが、
「交渉」も行うことができるので、5~6人くらいいるのがベストでしょうか。
まず、プレイヤーは人生ゲームの駒のように、真ん中にある円状のマスのうち、スタート地点に全員集められます。
この円状のマスはラットレーストラックです。
ラットレースは生活のために労働しなければいけない労働者が走り続ける場所です。
ラットレーストラックを囲っている大きな囲いのマスはファーストトラックと呼ばれます。
ラットレーストラックを抜け出す条件をクリアしないとファーストトラックには行けません。
そして、このラットレーストラックをクリアすることがこのゲームの本筋です。
ラットレーストラックのクリア条件は、不労所得≧支出、の状態になること。
不労所得とは、会社に勤めるなどの労働による収入ではなく、不動産収入や配当による収入のように働くことなく手に入る収入を指しています。
このようにラットレースをクリアして、経済的自由を手に入れてファーストトラックにいくことを目指すことになります。
このゲームでは、最初にファーストトラックに書かれている「夢」の中で自分がかなえたい物を探して選択します。
「夢」自体は、たくさんあるのですが、
「豪邸に住むこと」
「政治家になること」
「エンジェル投資をすること」
などたくさんあり、どれを選んでも正直大差はありません。
次に、プレイヤーは用意されている職業カードのうちどの職業になるのかを選択します。
こちらは結構ゲームを進める上で重要です。
職業カードはいくつかありますが、
収入の高い、高給職としての、医師、パイロット、弁護士を初めとして、
収入の低い、低給職としての、ビル管理人、看護師などなど色々あります。
それぞれの職業カードの中にはその職業の情報が書かれており、
毎回の収入、毎回の支出、現在の貯蓄額、等々書かれています。
おおよそのカードの傾向としては、
高給職は、「収入は高いが、その分、支出が多い。もっとも、収入ー支出の絶対的な額は多め」
逆に、
低給職は、「収入は低いが、支出が少ない。もっとも、収入ー支出の絶対的な額は少なめ」
になっています。
貯金額はあんまり大きな違いはないようです。
なんだか、現実にもありがちな気がする設定ですよね。
年収1000万円以上稼いでいるけど、お金を浪費しがちで案外貯金できていない人たちと、
年収は低くても、それに応じた生活費を保っている人たちとで。
ゲームのクリア条件は不労所得≧支出なので、
どちらかというと、低給職の方が、不労所得の額は少なくて済みます。
職業を選んだら、ゲームスタートになります。
人生ゲームのように順番にサイコロを振ってゲームを進めます。
マスの数は少なめで、すぐに一周することが可能です。
おおよそのマスの内容は、
①pay check=このマスを「通る」と職業カード記載の収入ー支出の額(CF=キャッシュフロー)の分のお金が手に入る。
②opportunity=このマスに「止まる」とsmall deal(小さな市場)かbig deal(大きな市場)のカードを引いて資産を購入することが可能になります。
③market=このマスに「止まる」とmarketのカードを引いて資産の売却などのチャンスを得ることができる。
④Doodads=このマスに「止まる」と、ヨット購入などの「無駄な浪費」をさせられて、手持ちの現金が減ります。
⑤charity=このマスに「止まる」と総収入の10%を寄金することで、サイコロの数を一定程度増やすことができる。
⑥baby=このマスに「止まる」と子供が勝手に生まれる。子供が生まれた場合職業カード記載の毎回の支出が恒常的に増える。高給職は特に増える額が大きい。
⑦Downside=このマスに「止まる」といわゆる職業を「クビ」になり、総支出を手元で払わないと行けない上に、2回休みになる。
などの内容になっています。
簡単にいうと、④、⑥、⑦のような嫌なマスをなるべく避けながら、pay checkで手元の現金を増やして、不労所得を増やすべく資産を買いまくるというのが基本的な戦略になります。
このゲームをやっていると、まず、
サラリーマンは自分の給料を上げて生活水準を上げて支出を増やしがちで、それが望ましいと世間的にも思われている
ところ、
ゲームをクリアするためには支出をなるべく増やしてはいけない
というマインドに自動的にさせてくれる点がハッとさせられます。
経済的自由を目指すためには、節約、倹約が重要になってきますが
このゲームをやることによって、手元の現金が失われる無駄遣いのマスになるべく止まらないように動きたくなるので、自動的に必要ない物は買わないという節約のマインドに頭が切り替わります。
このある種の、常識を疑わせてくれるところがこのゲームの良いところだと思います。
以下は、その他気づいたことを挙げます。
①Big Deal(=大きな市場)にいち早く参加できることが重要
このゲームをクリアを目指すためには、不労所得を手に入れる必要があります。
よって、まずは資産を購入できないと話が始まりません。
そのため、
opportunity=このマスに「止まる」とsmall deal(小さな市場)かbig deal(大きな市場)のカードを引いて資産を購入することが可能
のマスを積極的に狙う必要があります。
しかし、当然ですが、止まっただけではダメです。
引いたカードに書かれている資産を実際に購入できないと意味がありません。
ゲームにおいてはsmall dealかbig dealのどちらかのカードを引くことが可能ですが、
手元の現金が少ない状態でbig dealのカードを引いても資産を購入できないのです。
これは要するに、1億円以上のマンションを購入するためには実際には2000万円近くの自己資金を要求されるというイメージです。
big dealを引いて、大型の資産を購入すれば、その分、多額の不労所得が入ってくるので、ゲームクリアまでの道は近くなります。
しかし、そもそも多額の現金が手元にないとそのチャンスをつかめないのです。
現実の世界で言いますと、不動産のポータルサイトを眺めながら
「この1億の物件とってもいいなー買いたいなー。でも、自分じゃ買えないなー」
となっている状態でしょうか。
悲しいですね。
手元の現金が少ない場合には、small dealを引いて株式や投資信託を安値のタイミングでコツコツ買って高値で売却できる機会をうかがうか、敢えて買わないか、という選択しかできないのです。
これはインデックス投資などでコツコツ積立を行うか、ひたすら貯金するかに近い状態ですね。
または、高配当株などを積極的にその都度買うというイメージになるでしょうか。
圧倒的な入金力があれば、高配当株をひたすら買って、買って買いまくり、これだけでゲームクリアをすることは可能でしょう。
しかし、株を購入するというこの方法では不動産などと異なりローンによるレバレッジ効果の恩恵を得られません。
よって、small dealばかりを狙っているとクリアまでかなり時間がかかるため、
圧倒的な入金力がなくても、big dealを引いて銀行ローンを使用して大型の資産を的確に購入できれば、ゲームクリアまでが早くなる可能性が高いよ、
ということをこのゲームは示唆しているのだと思います。
なんとかして、big dealの資産を購入できるような状態に持っていくのがこのゲームの肝になるような設計になっています。
これを踏まえて現実にどのような戦略を立てるかはあなた次第です。
②出口戦略(=market)を考えて資産は購入する必要がある
不労所得の獲得のためには、時には資産を売って現金を作っていく必要に迫られるため、そのことも想定して資産を購入しておく必要があります。
したがって、予め、marketカードに書いてある売却額がいくらなのかおおよその額を知っておかないと出口戦略が立てられず、微妙な資産のカードをスルーすべきか判断しかねるところがあります。
つまりは、資産を買う際には「この資産は結局いくらの幅で売却できる可能性があるのか」という出口戦略を立てるための相場感覚を知っておく必要があるのです。
これは何度もゲームをやっていないとどんなカードが用意されているのかを覚えられないため、
同じゲームを何度もやるという「経験値」が重要になってきます。
つまり、初心者だと、効率よく判断できず、ゲームをうまく進めることができないということを意味します。
それっていわゆる古参が有利なゲームってことじゃないか、という話になります。
しかし、現実の世界も何度もビジネスや投資をやっている人の方が初心者よりも当たり前ですが相場感覚は詳しいです。
このような「現実」を突きつけてくるので、
このゲームをやっていると資産形成をなるべく若い内からやった方が良いという話もうなずけます。
なお、この「経験値」というのは現実的には、
自分で長い時間をかけて経験値を積むという方法もあれば、
ネットで詳しい情報を検索する
相場感覚に詳しい人から情報を聞き出す
などの方法があり得るので諦めてはいけません。
③子供(=baby)が生まれると支出が増えるが、余裕が出てくると逆に嬉しくなってくる
次に、このゲームではbabyのマスに止まってしまうと強制的に子供が生まれ、支出が増えます。
支出が増えると言うことはゲームクリアまでの道が遠のくことを意味するため、ゲームクリアの観点からはなるべく止まりたくないというマスになります。
特に、高給職は教育費などがやたらとかかるという想定なのか、支出が高額です。
そのため、ゲームの初期段階でこのマスに止まってしまうと「うわっ・・・・・・やってしまった」となります。
しかし、面白いことにゲームの後半になってゲームクリアの目処が立ってくると気持ちが妙に変わってくるのです。
子供が増えることによる支出の増大は確かにゲームクリアに遠のくのですが、
それでもものすごく高額というわけではないので、ゲームクリア目前で生まれると、むしろ子連れでゲームクリアできることから喜ばしい気持ちになるのです。
働き始めで下手に子供が生まれてしまうと後々大変な事になってしまう可能性があり、警戒せざるを得ませんが、
ある程度資産形成が進んだタイミングで子供が生まれるのはむしろ嬉しいという現代的な感覚に近いのかもしれません。
④リストラ(=Downside)されるのは辛いが、余裕が出てくると気にならなくなってくる。
babyよりもさらに止まりたくないマスは、Downsideです。
現実の世界でも解雇されるのは恐ろしいことでしょう。
ゲームをやっていると、運に左右されるところとはいえ如何にこのマスに止まらないかと警戒する必要があります。
実際にマスに止まってしまうと、総支出を一気に手元の現金から払わないと行けないためかなり痛いです。
手元の現金が足りなければ銀行から高金利で借金しないといけないので一気に窮地に立たされます。
特に高給職は総支出が高額のため危ないです。
銀行から借金した上で2回休みにされ、支出がさらに積み上がる状態になるのはかなり凶悪です。リタイアどころか破産の危険性もあります。
これは現実の世界でも、3ヶ月後まで次の就職先が見つからず、生活費が出ていくという状況なので、かなり辛いです。
なるべく止まりたくないマスであり、かつ、生活費のためのカードローンによる高金利の借金を防ぐという意味でも生活防衛資金の大切さがよくわかるマスになります。
しかし、このマスもある程度手元資金、不労所得に余裕が出てくると、実際にはあまり怖くありません。
せいぜい、「ゲームクリアまでちょっと遠のいちゃったかー」といった感覚になります。
これは、リストラされても、無くなるのは職業カードに書いてある労働による収入でしかないためです。
そのため、ゲームクリア目前になると「リストラされることも人生あり得るでしょ」、という軽い気持ちでコマを回すことができるようになります。
ゲーム初期は最大限警戒しなければいけないマスですが、資産形成が進んでくるとこのような余裕が生まれてくるのです。
これは、勤め先に対する恐れがなくなるという意味で、すごいことだと思います。