何か目標を立てた際には、
「早く、目標達成したいな」
とか
「早く、成果上がんないかな」
などと人間誰しもが思います。
できれば、明日には10億円ぐらい口座にお金が振り込まれていてほしいとか
明日には株式が大勝ちして保有株が取得時の10倍の時価(テンバガー)になってほしいとか
明日には年収1億円ぐらい稼げるようになりたいだとか
明日には好きな人と付き合いたいだとか
明日には自分の理想の体型や見た目になりたいだとか
明日には超難しい難関資格に合格して人生逆転したいだとか
欲を挙げるとキリがありません。
大抵私たちが目標として掲げるものは月日を経て(時間をかけまくって)やるべき努力の積み重ねをおこなって初めて達成されるような性質の物ばかりなので、
願ったところで明日には目標が達成されるということは基本的にないわけですね。
偶に短期間で成果を上げる人もいますが、
これは、
①隠しステータスが高い(もともと土台のような物ができている)
②たまたま極めて運が良かっただけ
あたりで説明がつくのかなと思います。
①については、まずこの隠しステータスを積み上げるために相当程度の時間がかかっているので、そもそも事実上短期間で成果を上げているとは言いがたいところがあります。
土台については、親などから受け継ぐことによって事実上苦労なく手に入れている人もいますが、
基本的には、土台を創るだけでも異常に時間がかかりますし、しかも地味すぎてつまらないことも多いです。
②についても、宝くじに一発で当たるような僥倖に恵まれる人も勿論いるのですが、
しかし、そのような形で大金を手に入れた人は、
「どうすれば大金を手に入れることができるのか」
ということを知らないままに手に入れているため、
「大金を有効に活用するにはどうすればいいのか」
ということも特に真剣に悩んだり考えたりしたこともないと考えられます。
結局、身の丈に合わない、その人の器以上の大金を急に手に入れてしまったことによって、巧く管理できずに、逆に不幸になってしまう可能性の方が高くなるわけですね。
行うべき努力を行って大金を手に入れた人は、とにかくその過程において時間がかかって仕方が無いため、その間に
「どうすれば大金を手に入れることができるのか(How to)」
ということを考えざるを得ないですし、
「何故、自分には大金がそもそも必要なのか(Why)」
「ここまで自分が苦労してまで手に入れる大金には一体どんな価値があるのか(worth)」
ということを考えざるを得ません。
「苦労して手に入れた大金を有効に活用するにはどうすればいいのか(更なる上位目的の設定)」
という問いも自然と出てくるでしょう。
だって、大金のために大量の時間、すなわち寿命・人生を賭けているわけですからね。
仮に、大金を手に入れたのにそのことに全く意味がなかっただなんて話になったら正直困るわけです。
結果的に、
「さもありなん」
という人がお金持ちになるのでしょうし、
「さもありなん」
という人が貧乏なままなのでしょう。
お金持ちになるよりもお金持ちになるまでの過程の方が大事とも言われますね。
そういう話もあるため、
②たまたま極めて運が良かっただけ
という状態が何回も続いてくれたらいいのに、
などと私たちはついつい願ってしまうところはありますが、
しかし、トントン拍子に巧くことが進まないということはあり得る障害にいち早くぶつかっているというわけですから、
問題発見が早期に行われているという風に考えることも可能です。
②たまたま極めて運が良かっただけ
の状態がずっと続いていると、顕在化されていない欠陥の部分がずっと隠れたまま見えないので、そもそも問題発見ができずにずっと放置されてしまうわけです。
会社などで言うと、売上げが昇り調子なので、調子よくトントン拍子でことが進んでいるように一見見えるが、しかし、実は社内で色んな部分に問題が起こっていてそれが放置され続けてしまっている状態のような物です。
ずっと問題点が顕在化しなければいいのですが、しかしそうとは限りません。
場合によっては放置していた時間が長すぎてもはや修復不可能というところまで行っている場合もあるでしょう。
修復不可能なところまで行ってしまってから問題が顕在化してしまうと、運良く手に入れた成果もろとも失う可能性すらあります。
建物で言うと、土地に問題があって、上にある立派な建物ごと倒壊してしまう場合をイメージするとわかりやすいですかね。
すなわち、立派な建物を建築する前にしっかりと土台部分の欠陥は手当てする必要があるんですね。
もちろん、土台部分の欠陥を手当てしている間は建物部分の建築工事は始められないわけなので、トントン拍子にことは進まないように見えています。
しかし、問題に早期に対処することになるので、後が安心できるようになります。
このように、トントン拍子にことが進まない時には何も成果が得られていないような気がしてしまって萎えがちですが、適切な対応を取ることができれば後がかなり楽になります。
そう考えると、トントン拍子に事が進まないのもある意味いい事だと思われます。
逆に、トントン拍子に事が進んでしまうと、再現性のない成功体験を収めただけになってしまうので、自分の今後に活かせる経験値とすることもできません。
たまに、再現性の低い成功体験を持って他人に対してドヤ顔でものを語っている人もいますが、
トライアンドエラーの絶対量が少ないため、浅い話にならざるを得ないですし、
他人にとっても参考になりにくいと考えられます。
そのように考えて行くと、やはり、トントン拍子に事が進まない方がむしろ良いのではないかと私は考えています。