「刃を研ぐ」というのは『7つの習慣』という本で言及されている習慣で、イソップ童話のある物語を用いてよく説明される物です。
ある日の朝、旅人は山の中を歩いていました。奥深い森の中、汗を流しながら一生懸命に木を伐っているきこりを見かけました。そして夕方、同じ道を戻ってみると・・・、朝と同じ場所で、玉の汗をかきながら一生懸命木を伐り続けているきこりがいました。でも、あんまり作業は進んでいないようでした。
旅人は足を止めてよくよく見ると、きこりが使っているノコギリの刃は、ボロボロでした。そこで、きこりに声をかけました。
旅人:「きこりさん、精がでますなぁ。でもあんまり作業は進んでないみたいですね、一旦手を止めて、ノコギリの刃を研いだらどうですか?」
きこり:「旅人さんよ、なに言ってるんだよ、刃を研ぐ時間なんておいらには無いんだよ、木を伐るのが忙しくてさ・・・。」
引用:http://www.chiringi.or.jp/colmun/7/7_11/7_11.html
要は、目の前のやるべき事ばかりに追われてしまうと刃がボロボロになってしまって、成果が出しにくいということや、ちょっと時間をかけてでも刃を研ぐことで生産性を上げることが重要ですよね、ということを言いたいようです。
そうはいっても、ここで出てくるきこりのようにそんなことを思いつく機会になかなか恵まれなかったり、思いついたとしても正直なかなかやる気になれない、ということが多いのではないかと感じます。
特に、今まである程度自分が持っていたノコギリの刃である程度の成果が出せていたという人ほど今までと違うことをわざわざやろうとする気にはなれないのかもしれないですね。
しかし、それでいつまでも通用するのはノコギリの刃の性能があまりにも良い場合、人間で言うところのハイスペックな人だけなのかもしれません。
ポケットモンスターというゲームにおいても強いポケモンを使って普通に育成すればフルアタ、すなわち強い攻撃技さえ覚えさせておけばある程度のことは突破できてしまうわけです。
したがって、何かしらの難関にぶつかって初めて
「あ、上手く攻略するためには刃を研いでおかないといけないんだ・・・・・・」
と人は思うのかもしれません。
私自身、ポケットモンスターというゲームを小学生の頃にプレイしていましたが、積み技を始めとする変化技の重要性に気づくのが大分遅れてしまいました(そして詰みました・・・・・・)。
もしかしたら、ゲームにおけるシナリオを難なく攻略できてしまった人よりも、むしろ、早い段階で困難にぶつかってしまった人の方がこのような新たな打開策を思いつきやすいのかもしれません。
すなわち、人生における「縛りプレイ」のようなものに着目してみるのも面白いのではないか、とも思うのです。
ところで、ロックマンエグゼシリーズというゲームがあります。
このゲームにおいては「バトルチップ」という武器をメインにして敵を倒してストーリーを進めていくことになるのですが、
このメイン武器である「バトルチップ」を捨てて、ロックバスターという武器のみで攻略を進める「バスター縛り」と言われる縛りプレイをしている方が居るようです。
上の動画でも解説されていますが、ロックマンエグゼシリーズというゲームは本来「バトルチップ」という武器をメインに攻略していくことを想定しているゲームなので、それを敢えて捨てることによって
「悟り」
を開こうというコンセプトのようです。
したがって、バスターのみでは攻略が困難だったり敵を倒すまでに異常に時間がかかったりする様になっています。
上記の動画では、
対サンダーマン
や
対ヌメルタ
といった相手に苦戦しているようですが、これに対する投稿者の対応方法に私は注目しています。
すなわち、サンダーマン戦においては、現状では不利になってしまう状態を改善するために「このような苦行をやりたくなったんだけど、、、、」などとコメントしながら1~2時間かけて修行のようなプレイをして新しいスタイルを取得しています。
またヌメルタ戦においては、スタイルのレベルを上げないと攻略が困難であることに気づき、また修行のようなプレイをしてレベルを上げた上で敵を倒しています。
この時、投稿者が
「もっと早くこれ(レベル上げ)やっておけば良かった・・・・・・」
とコメントしているように、
単純に敵に立ち向かうよりも、早い段階でレベル上げや新しいスタイルの取得などのように「刃を研ぐ」活動をしておいた方が、全体的に攻略にかかる時間を短縮できたと言えそうです。
これは冒頭で紹介したきこりの話と一緒で「刃を研ぐ」活動の重要性にいち早く気づき実行できるのかという問題と似ています。
「刃を研ぐ」すなわち修行のようなことをしなければいけないのは正直億劫に思うのがほとんどだと思います。
上記の投稿者のように何らかの困難にぶつかって初めて
「あ、上手く攻略するためには刃を研いでおかないといけないんだ・・・・・・」
という認識になることでしょう。
逆に言えば、なかなかトントン拍子に上手くいかないという状況に陥った人は
むしろ気づきのチャンスを得られている
と考えることができると思います。