今すぐにやらなければいけないことに追われ続ける毎日というのは体感としてとても辛く感じやすいものになります。ストレスフルになります。
例えば、今は別のことに集中しなければいけない状態なのに急に電話が来たり、ただでさえ忙しいのに宅配便がやたら来たりしてその対応に追われたりしてしまいます。
余裕の無い状態にさらにタスクが襲いかかることによってどんどん私たちは追い詰められていきます。
これは最終的に「よくわからないが何故かいつも忙しい」という激務の状態になってしまい、ついには睡眠時間を削るという禁忌に手を出し、これにより身体を休めることもできなくなり時間が経つにつれどんどん消耗していくのです。
こうして若いときはなんとか大丈夫だったものの、飽くまでも健康を前借りしていたが故に、あるとき何かが「ポキッ」と折れてしまい身体を完全に壊してしまうという事態に陥ってしまうのではないでしょうか。
スマホも新品を買った瞬間は充電がMAXまで貯まるのが早いですが、時間が経つにつれて充電効率も下がり、MAX値もいつの間にか減っていきます。こうしてどんどん使い物にならないスマホと化していき、最終的には「もう寿命かな」と言われ新品のスマホと買い換えられます。勤め人、労働者である人間の身体も似たようなところがあります。
人によってはそのまま鬱状態になったり、そこまでいかなくても「取りあえずホワイト企業に行かないとやばい」と思い始めて転職していきます。
おおよそ若い人が短期間で高給激務→ホワイト企業に行くルートというのは、このような流れが多いのではないでしょうか。
自他共に「まあ若いから(激務でも)いけるでしょ」と思って身体を酷使してしまうとこのようなことになってしまいます。
これはそもそも仕事に追われる状態という危険な状況そのものを変えられていないため、最終的に体力や気力だけで勝負せざるを得ず、体力・気力・メンタルがよほどもともと多い人以外は必然的に耐えられないわけです。
とすると、一体どうするべきなのか、という話になりますが、まずは〆切が極端に近く、厳しい仕事を工夫によって削減することが重要になってくると思います。
そんなの減らすことは無理なのでは?と思うかもしれませんが、意外と「〆切が極端に近い仕事」というのは多くはないというのが私の認識です。
例えば、典型的な「〆切が極端に近い仕事」というのはいわゆるトラブルへの対応というのがあります。顧客からクレームが来てしまったので早く取りあえず返信しなければいけないだとか、なんて言って謝罪するべきなのか考えたり、あるいは今後の対応策として何を説明するべきかなどを考える仕事などがありますね。
このような仕事は概して受け手からすると突然来てしまったりするので、「〆切が極端に近い仕事」であり、かつストレスも強く感じてしまいやすいものです。
しかし、よく考えると、顧客において不満を感じさせる原因を予めつぶしておくことさえできれば、そもそもクレームは来ないわけですし、それに対する急なその場しのぎの対応策も考える必要が無いわけです。
つまり、このような一見「〆切が極端に近い仕事」というのは、ずっと放置され続けた別のやるべき仕事が悪い形で目の前にわかりやすく出てきてしまっただけともいえます。
このような目の前に未だ現れていない仕事を事前に取り組むことによって急な対応が求められてしまう厳しい仕事を予めつぶしておくという視点は大事になると思います。
これに限らず、ある程度スケジュール的に先において何をやっておくべきか把握できている仕事は余裕のできたタイミングでさっさと着手しておくことも大事になります。早めに取り組むことで〆切が遠くにある段階で余裕を持って仕事を進めることができます。たったこれだけでストレスが大幅に減ります。
前者の方は難易度が高いかもしれませんが、このように、先を見据えて仕事を進めることができるようになった瞬間、仕事に追われるのではなく、まるで自分から仕事を追っているかのような状態になります。
仕事を追うようになっていくと、「〆切が極端に近い仕事」が減っていき、これに基づくストレスが減っていき私たちに余裕を与えてくれます。
余裕があるとさらに仕事を追うことができるようになるという、素晴らしいスパイラルが生じます。
こうして、仕事から追われる状態から仕事を追うことができる状態に持っていくことは厳しい勤労を強いられる勤め人にとっての一つの生存戦略だと思います。
いわゆる新人の間は難しいかもしれませんが、日々少しずつ試行錯誤を重ねることによってあるとき臨界点を超えて、自分から仕事を追える状態になり、極端に仕事からストレスを感じることも少なくなっていくのではないでしょうか。