金融資産を資産形成していき、その金額の範囲内で人間生存の固定費としての生活費を完結させるという方針で私は経済的自由を目指しています。
もっとも、最近は別のことも考え始めています。
それは、今のように個人単位で少しずつ資産形成をしていると、どうしても元本の分、すなわち投下資本の分を回収しにくいということです。
もちろん、配当株に投資したり、定額取り崩しのような形で、少しずつ回収した分を生活費に充てるという発想をとることも可能なのですが、そのような形で本当に良いのかな?と思うときがあります。
いわゆる、4%ルールの基準で考えると、仮に個人支出で必要な生活費を月5万円まで落とすことに成功した場合、理論上は、1500万円を適切な投資対象に投資し続けるだけでその範囲で生活をすることが可能になります。
現実的には、もっと生活費が必要だったり、もっと運用額を増やしてさらなる利益追求を念のためしておこうなどと考えて、1億円だったりの単位で運用をしている方もいるのではないかと考えています。
とはいえ、相続税などのことも考えると、そもそもの話、「個人で大きな額を運用することそのものがリスク」ではないか、とも考えるところです。
特に、相続税は、改正によって基礎控除額が減っていく傾向にあります。2021年時点では相続人が1人しかいない場合、控除額は3600万円ほどになるため、それ以上を持っていると相続税で取られていきます。
そして、私の寿命などを考えると、私が死ぬ頃には、思うに、相続税の基礎控除額などはさらに減る可能性が高いと思っています。もしかしたら、もう改正はないかもしれませんが、少なくとも基礎控除額が増えていく可能性よりは圧倒的に減っていく可能性の方が高いとみています。
そうなると、現時点においても、個人で3600万円以上の運用をしていたとして、それをずっと放置し続けるのもどうなのだろうか、と思うことがあります。
また、個人で財産を保有していると、相続税に限らず、紛争リスクなどがあったりするので、いきなり差し押さえられたりするということもあり得ます。
日本では訴訟を起こされることはそんなに無いのかもしれませんが、例えば、個人が持ち家としている不動産などは特定しやすく、真っ先に差し押さえ対象の候補として狙われやすいと思います。
というのも、その人の住所さえ分かれば、そこの不動産の情報は一瞬でバレるので、登記情報を見られて「なるほど。この人は住宅ローンで持ち家をこのぐらいの借入額で買ってたんだな。取りあえず、これを差し押さえの候補としよう」という感じですぐに狙われます。
私が住宅ローンで持ち家を持つことに慎重な理由というのはこういうところにもあります。
個人で財産を持つということはそういう意味で狙われやすさを高めているということも意味します。
したがって、できることならば、物を持たない生活をするような、ミニマリストであるかのように、物のみならず、できる限り財産についても個人では所有しない方が良いのではないか、と考えることもあります。
もし、個人で持つとしたら、できる限り最小限の財産にして十分な財産にしたいところです。
では、最小限の財産として適切なものは何なのか?ということを考えた際に思いついたのが、原資抜き、です。
原資抜きというのは、投資を行った際に、例えば株などで100万円を投資し、含み益が50万円ほど出てきた時点で、150万円の内、100万円分を利益確定してしまい、残りの50万円はそのまま放置することによって、その50万円分は暴落があろうがなんだろうが、もはや自分にとっては損にはならないという状況を作り出すことのようです。
実際には、税金などの問題もあるので、行動をする際にはそう単純な話ではないようですが、発想としてはアリだなと考えています。
投下資本の分をさっさと回収してしまうことによって、残りの部分は、安心して保有することができます。暴落があってもマイナスになってしまうわけではありません。
これをインデックス投資で行う事ができたらある程度安心して保有し続けることができますし、回収した投下資本分は他の投資先に回すことが可能になります。
しかも、原資抜きをした後の運用額自体において、4%ルールを保つことができればかなり盤石な体制を築いたといえるのではないでしょうか?
上記の生活費5万円の例で行くと、例えば、投資元本を3000万円投下して、数年後にそれが4500万円まで値上がりしたところで、原資抜きを行い、残りの1500万円を保有し続けることによって、4%ルールを個人で保ちつつ、投下資本3000万円を他の投資先に使用することができるようになります。
「いや、そもそも生活費5万円がきついんですけど」という話があると思うので、生活費10万円の場合で考えると、少しハードルが上がりますが、3000万円の運用額で目標達成できるので、例えば、投下資本を7000万円出して、それが1億円まで値上がりしたところで、利益確定して原資を抜くということになるでしょうか。ここまで来ると税金が、という話が出てくることからもっと額を増やす必要が出てきそうですが。
「いや、そもそも投下資本7000万円まで行くのが大変で」という悩みがこちらでは生じることになるので、難しいところではあります。
生活費を落とすか、入金力を上げるかをしないとこの目標を達成させることは難しいかもしれません。
しかし、長い期間をかけて資産形成をしようとする方にとってはいつか実現することが可能になる水準ではないか、とも考えるところではあります。
ある程度、中期的に相場が読める自信がある人は、ほどほどのところで例えば、含み益1000万円ぐらいのところで一旦原資抜きを行ってしまってから、景気が悪くなってしまったタイミングで追加で再び入金をするという方法によって、ゆるいドルコスト平均法を使いながら、この目標達成に近づくという方法はありえそうです。
このように、考えると、色んな意味で短期的にこの目標を目指すのは大変そうですが、長期計画を立てればそのような理想的な状況を目指すことは可能ではないか、と考えています。
もちろん、この話は投下資本分を回収した後に、他に投資先が想定される場合の話をしていることから、それがそもそも思いつかないという人はこの発想を敢えて採用する必要は全くないと思います。
そういうタイプの人は原資抜きなどという複雑なことをせずに、投下資本を回収せずに大金を一カ所で運用し続けるという方針をとっても良いと思います。
私の場合は、他に投資先が見つかるかもしれないという想定があり、かつ、なるべく個人で財産をもつのを避けるべきではないか、という発想からこの方針を考えています。
長期的に見て、最終的に自分がどうありたいか、それを考えながら資産形成の方針を考えていきたいですね。