少女漫画などを始めとした女性向けの漫画などのフィクションにおいては女性主人公とくっつく役目となる男性が出てくることが多いですよね。
アレは女性にとって理想的な男性像が出てくるので、大体の場合ハイスペック男子が多いです。
一般的に社会的地位が高いとされる職業に就いていたり、
やたらと年収が高かったり、
何かの御曹司だったりするなどやんごとなき立場の人だったり、
そのような事情がなければ、明らかに腕力に優れている、突出した特殊能力の持ち主だったりします。
いずれにしろ、いわゆる普通の男性では無いことが多いです。
普通の男性ではない、平均的なものを超えているハイスペック男子が相手だからこそ読み手である読者を喜ばせることができます。
ところで、あのようなハイスペック男子を見ていると、主人公がピンチの時に颯爽と駆けつけてくれたりしてくれて主人公(もとい読者)の好感度を上げてくれるわけですが、
アレを見ていて、
「そんなにタイミング良く彼は来れるの??」
ということを思ったり
「彼はよく主人公のピンチを救ってくれるけど、本当にちゃんと仕事をしているんだろうか????」
などということを思ったりしないでしょうか?
私は時折思ったりします。
というのも、ハイスペック男子はその類型にも依るのですが、社会的地位の高い職業に既についていたり年収が高かったりするいわゆるエリサーの場合、
そもそも、現実的には忙しすぎて他人にかまっている余裕がほとんど無い場合が多いのではないかと思います。
実は生まれながらの特別な才能を持っている、とかの特殊な事情が無い場合には、
いわゆる「普通の男性の能力値を超えてハイスペック男子になるための努力」を自制心などをフル活用して他人よりも行う必要があります。
ハイスペック性が先天的な物ではなく後天的な物であるならば当然何らかの努力をするしかこれを伸ばす方法はありません。
そして、よく考えれば当たり前なのですが、このような努力をするために必ず必要になるのが、
「努力するための時間」
なのです。
したがって、ハイスペック男子はハイスペック性を積み上げるためにそれ以前の人生のどこかの段階で「努力するための時間」を費やしてハイスペック男子になるための努力を行っている場合が多いと思われます。
そして、ある程度の社会的地位を若いうちに築くことができた人はそこでしばらく油断していても恐らく大丈夫なのでしょうが、
昨今ですと、
終身雇用崩壊!将来は安泰ではない!
とか
時代の変化に対応できる人材にならなければいけない!
などの脅し文句のような言葉が意識高い系ビジネス本などに並んでいます。
極めて真面目な男性の場合は、このような風潮に敏感に反応したり、
自分よりもさらにハイスペックな男性などをインターネット上や同じコミュニティーの中で発見してしまったりするので、
これからも頑張らないとやばい!
という気持ちになるのではないかと思われます。
そうすると、極めて真面目な男性は、仕事を一生懸命に更に行ったり、さらに自己研鑽に励んだりします。
このような形である程度の社会的地位を築いた後もさらに厳しい競争が待ち受けているという予感から、さらに「努力するための時間」を仕事を中心に投下する必要性に迫られます。
こうなってくると、極めて真面目な男性、責任感のあるまともな男性であればあるほど、
忙しすぎて他人にかまっている余裕がほとんど無い
という状態に陥っていくのでは無いかと思われます。
「忙しすぎて」といっても土日ぐらいは余裕があるんじゃないの?LINE返せるよね??
などと、女性向け漫画を読んでいる女性は思ったりするかもしれません。
しかし、いわゆる激務と呼ばれるような勤め先にいる場合、基本的に土日はありません。
始めから土日や祝日は存在しない物として扱われています。
たまに、物理的に土日や祝日に仕事が無い場合には、自分の趣味をやっていたりするの??
と思う人もいるかもしれませんが、
基本的にそのようなことはなく、土日や祝日にも月曜日以降の仕事のことをついつい考えてしまっている、考えざるを得ないほどに追い込まれているハイスペック男子も居たりします。
文字通り、休日であっても心を亡くしているわけです。
そのような男性は元々持っていたはずの趣味すら事実上なくなり、趣味=仕事のような状態になっていたりします。
たまに、「趣味は?」と言われて微妙に言葉に詰まる人が居ますが、やましいことをやっているのかあるいは上記のように仕事に全ての時間を奪われている場合の可能性が高いと思います。
あるいは休日は平日の労働による疲労の蓄積により泥のように眠っていたらいつの間にか終わっていた、という人もいるでしょう。
因みに、上記は私の妄想で適当に描写しているわけではなく、まぎれもない私自身の実体験でもあるので、上記と同じような働き方をしている人にはかなりあてはまりやすいと思われます。
要するに、エリサー型のハイスペック男子の場合、よっぽど要領の良いタイプでない限り、フィクションのように主人公のピンチに颯爽と駆けつけてくれたりするということ自体がかなり困難なのではないか、と思います。
それほど、時間がないというこそは恐ろしいことなのです。
つまりは、女性向け漫画などに出てくるハイスペック男子のすごい点はハイスペックであるという点にとどまらず、圧倒的な時間持ちであるという点です。
そして、現実的にこのような状況をスマートに揃えるのは20代などの若い男性の場合だと結構キツい、という面があったりします。
ようやく上手く揃ったと思ったら既におじさんだったというパターンの方が実際には多いと思います。
女性向け漫画を読む余裕が十分にあるような女性の場合、自分の現実的な持ち時間を基準に相手とのコミュニケーションを図りたくなりがちですが、
このように想定される可処分時間がそもそも自分と相手とでは全然違う可能性があるという点を考慮する必要があるのではないか、と思います。
これは、金銭感覚のようなもの、
時間感覚
とも呼ばれる物でしょうか。
このような感覚のズレはそのまま価値観の不一致という話にも繋がりかねないものだと思われます。
難しいですね。
この難しさを乗り越えてしまっている希有な男性だからこそ、フィクションに出てきて読者を喜ばせてくれるのかもしれません。。。。