経済的自立を目指すに当たって、貯蓄率は高ければ高いほど良いです。
とはいえ、貯蓄率は簡単に変わるものではないというのもまた現実です。
経済的自立を目指すに当たっては、一体どのくらいの期間を頑張る必要があるのか、
ある程度見通しが立っていた方がモチベーションも保ちやすいのではないかと思います。
そこで、貯蓄率10%~90%まで、
貯蓄率別に経済的自立を達成できるまでの期間をざっくり計算してみました。
計算の想定
①まず、ここにいう経済的自立の想定について確認します。
今回は、経済的自立を
「年間生活費が資産額の4%になった状態」
として計算します。
これはいわゆるFIREムーブメントの中で出てきた指標で、
資産額から毎年4%を切り崩しても、運用利回りを考えると、一生分資産が持つ。
という考え方になります。
年間生活費の25倍の資産額を手に入れることができればOKという考え方ですね。
具体的には月20万円で生活できる人ならば、資産6000万円を目指す必要があります。
もちろん、これが日本においても指標としてしっかりと機能しているかどうか
という検証は欠かせないと思われますし、
現実的には、年間生活費の25倍全てをリスク資産に投じるということをする人は稀であり、
別途、まとまった生活防衛資産を用意しておくことは必須でしょう。
実際に、アーリーリタイア、セミリタイアをする場合には、翌年に支払う必要のある、住民税をはじめとして、税金・社会保障関係費用の支出等も考えなければいけません。
とはいえ、ある程度わかりやすい指標になっていることは間違いないと考えられますので、
今回はこれを用いたいと思います。
②次に、年間手取りの貯蓄率について。
残念ながら、日本では額面年収からとんでもない額の税金・社会保障関係費用が取られ、手取りは意外と多くはありません。
サラリーマンでの年収1000万円の人の手取りは730万円ほどしかないと言われます。
手取り年収は額面年収の7割~8割ほどになってしまいます。
現実的に、貯めることができる額は、
手取り年収額から年間生活費を引いた額になります。
例えば、年収1000万円、手取り730万円で、月の生活費が20万円の人の場合、
730-20*12=490
であることから、年間490万円の貯蓄が可能であり、貯蓄率は
490/730≒0.67
であることから、貯蓄率は67%になります。
そして、この場合に経済的自立の達成のために貯蓄するのに必要な年数は、
20*12*25/490≒12.24
であり、12年強の期間が必要になります。
これは23歳で大卒で就職してから、35、36歳までこの貯蓄率を維持し続ければ達成可能という計算になります。
もっとも、普通に考えれば、10年間以上かかっている計算なので、
年間生活費の額もその間、結婚・出産等のライフイベントにより変わり得るということや、
そもそも、新卒の最初から年収1000万円が可能なのか、それを12年間も維持できるのか
という根本的な問題は出てきます。
③なお、これは、貯蓄した額を投資で資産運用していない場合に必要な年数になり、実際には資産運用していればこれよりも少ない期間で済むと思われます。
資産運用している場合の想定も本来はするべきですが、市況に左右されてしまうところもありますので、
今回は、保守的に貯金のみをした場合で年数を算出したいと思います。
④また、今回は0スタート想定で考えますので、
現在保有の資産額は0円という想定で行きます。
では、以上の①から④を前提に以下それぞれ見ていきましょう。
貯蓄率10%の人の場合
貯蓄率10%の人の場合、経済的自立達成までの必要年数は
225年
です。
つまり、生きている間に達成できません・・・・・・。
あまりにも衝撃の数字だったので、何度も演算してみましたが、このくらいかかりそうです。。。
これは月20万円の生活費の人が、年間で約27万円ずつ貯蓄した場合になります。
月ごとで考えると、約2.25万円の貯蓄をしているという計算になります。
この場合の想定される手取り年収は約267万円ですので、サラリーマンの額面年収で考えると、年収340万円ほどでしょうか。
このくらいの年収で月20万円という「普通の生活」をしていたら、経済的自立の達成はできない、
ということになります。
貯蓄率20%の人の場合
貯蓄率20%の人の場合、経済的自立までの必要期間は、
100年
です。
これもなかなかハードな計算結果ですね。。。。
月20万円の生活費の人が、月約5万円ずつ貯蓄していくイメージになります。
この場合の想定手取り年収は300万円であることから、サラリーマンの額面年収は約390万円ほどでしょうか。
実際には、65歳や70歳から、年金の受給が開始できますので(本当にできるのかは実際にはわからないのが怖いのですが。。。)、
貯蓄率20%の人は人生の後半でその恩恵を受けることは可能です(本当に可能なのか、という問題はありますが)。
世間では、「貯蓄率20%をまずは目指しましょう」、と言われやすいですが
これは経済的自立の観点というよりは、生活防衛資産を地道に積み上げないといざというときは怖いですよ、というメッセージだととらえるべきでしょう。
貯蓄率30%の人の場合
貯蓄率30%の人の、経済的自立の必要年数は、
58.3年
です。
月20万円の生活費の人が、月8万円貯蓄するイメージで、手取り年収は342万円、サラリーマンの額面年収は440万円ほどでしょうか。
さすがに23歳から80歳まで働けというのは辛いです。
貯蓄率40%の人の場合
貯蓄率40%の人の、経済的自立の必要年数は、
37.5年
です。
月20万円の生活費の人が、月13万円貯蓄するイメージで、手取り年収は400万円、サラリーマンの額面年収は約520万円くらいでしょうか。
23歳から60歳まで働いたら達成可能です。
60歳というのは、アーリーリタイアといえるほどの年齢ではないかもしれませんが、
今後、年金受給開始年齢などが上げられて「70歳以降も働くのが当たり前」みたいな風潮になる可能性は否定できません。
嫌な話ですが、今後何があるのか分かりません。
そうなってしまった際には、この数字も再考に値するのではないでしょうか。
貯蓄率50%の人の場合
貯蓄率50%の人の場合の、経済的自立までの必要年数は、
25年
です。
23歳から48歳まで働くイメージです。
月20万円の生活費の人だと、月20万円ずつ貯蓄、手取り年収は480万円、サラリーマンの額面年収は630万円ほどでしょうか。
だんだん額面年収が高くなってきました。。。
「普通の生活」をしながら、月20万円をコンスタントに貯蓄しないと行けないので、結構ハードだと思われます。
ネットの記事などで偶に「僕は月20万円ほど資産形成に回しています!」と書いてある物を見かけます。
しかし、冷静に考えると、月20万円を貯蓄できる家庭はそこまで多くはないでしょう。。。
貯蓄率60%の人の場合
貯蓄率60%の人の場合の、経済的自立までの必要年数は、
16.6年
です。
23歳から39歳まで働くイメージです。
40歳でリタイアという夢が見えてくる数字だと思います。
月20万円の生活費で、月30万円の貯蓄、手取り年収が600万円、サラリーマンの額面年収820万円ほど。
なんか、独身貴族って感じですね。。。。。数字だけを見ると。。。
貯蓄率70%の人の場合
貯蓄率70%の人の場合の、経済的自立までの必要期間は、
約10年
です。
月20万円の生活費で、月46万円ほどの貯蓄、手取り年収800万円、サラリーマンの額面年収約1150万円ほど。
23歳から33歳まで働けばリタイア可能・・・・・・
すごく夢が見えてきた、と思いきや、急に額面年収上がりすぎではないですかね。。。。。
貯蓄率60%から70%に上がった瞬間に300万円以上上がっていますが・・・・・・
どうなっているんですかね。。。。
シンプルに怖いです。。。
この辺りからサラリーマンに課せられる税金の恐ろしさが実感できます。
年収800万円で幸福感は打ち止めになるという理論もなんだか分かるような気がしますね。。。。。。。
額面年収が2倍になったところで、手取り年収が2倍に増えるわけではないので、
頑張った割に・・・・・・
と感じやすいのでしょう。
貯蓄率80%の人の場合
貯蓄率80%の人の、経済的自立までの必要年数は、
6.25年
です。
なんと、23歳から29歳まで働いたら達成可能です!
20代でFIREしたい!という熱い気持ちを持つ人はここを是非とも本気で目指しましょう!
理論上は、貯蓄率80%で20代でセミリタイア可能と言うことが分かります。
具体的には、月20万円の生活費で、月80万円の貯蓄、手取り年収1200万円、サラリーマンの額面年収約1850万円で・・・・・・
えっ?
額面年収で1850万円必要?
えっ
・・・・・・。
そう、もう、おわかりですね。。。。
もう、月20万円生活費で計算するのはやめましょうか。
さて、月10万円の生活費で計算したらどうなるでしょうか?
月10万円の生活費で、月40万円の貯蓄、手取り年収600万円、サラリーマンの額面年収820万円ほど。
これは上の方を確認していただければわかりますが、
貯蓄率60%の人で月20万円生活している人と同様の水準の額面年収で足りる、
しかも、こちらの方が10年も早い、
ということがわかりますね。
そう、生活費を月10万円にするだけでここまでの差が生まれるのです。
たったこれだけで、
30代という人生でも大事な時期を労働に費やさなくて済むのです。
まさに日々の倹約、支出の最適化が夢を運ぶということがよく分かる結果だと思います。
とはいえ、月10万円の生活費でサラリーマンの額面年収820万円ほど必要。
なので、この両方を実現しなければならないというハードルの高さは分かったと思います。
貯蓄率90%の人の場合
貯蓄率90%の人の、経済的自立までの必要年数は、
約2.8年
です。
つまり、
社会人4年目に入る前に達成できます。
例えるならば、中学校か高校を卒業する位のイメージでしょうか。
卒業式で
「3年間社会人を経験させていただいてありがとうございました!!!!!!」
みたいな答辞を述べる感じでしょうか。
自分で書いておいていてあれですが、
こう考えると、もはや不思議な気持ちになりますね。
月10万円の生活費で、月90万円の貯蓄、手取り年収1200万円、
この場合、
サラリーマンの額面年収は約1850万円ほどになります。
もちろん、月10万円の生活費よりも低ければ手取り年収で要求される額はさらに減ります。
貯蓄率90%のために額面年収1850万円は実は必要が無いという事実に気がつくことができるか。
以上から、貯蓄率90%を達成するためには、月10万円の生活費を維持しながらだと額面年収1850万円が必要になりますね。ということで、
あなたも額面年収1850万円を稼げるようになりましょう。
といいたいところですが
違います。
今までサラリーマンの額面年収ばかりを記載していましたが、
実はサラリーマンじゃ無ければここまでの額面年収は
必要が無い
というのが実はポイントになります。
例えば、副業などによって額面年収からの収奪はある程度防ぐことが可能です。
何故そう言えるのか?
それは、
税金、社会保障制度をしっかりと調べればわかります。
以上、貯蓄率別経済的自立への必要年数、参考にしていただければと思います。