私は12月に入るとどうしても税金のことを考えてしまいます。
毎年ふるさと納税の残りの枠をどうしようだとか、医療費控除は来年に使う方が良いのだろうか、とか。。。
その中でも最近気になっているのが、
個人事業主としての所得をいつ実現するのかという問題です。
個人事業主の場合は、毎年1月1日から12月31日と事業年度の期間が定められているので、例えば、同じ売上げであっても
「12月中に実現した売上げ」
と
「翌年の1月に実現した売上げ」
とではたとえ1日しか差が無いとしても、事業年度が異なるため税金の扱いは異なります。
そう考えると、12月中の売上げというのは頑張って調整すれば1月まで所得を先送りすることもタイミングによっては可能であるため、
特に、今のような12月後半のタイミングにおいては、売上げの実現タイミングをどうするのか、ということをよく考えます。
勤め人であればこの辺りはそもそもコントロールができない立場の人がほとんどでしょうから、あまり気にしていても仕方が無いのですが、
しかし、個人事業主の場合は、ある程度相手との連絡タイミングによっても調整が可能なんですよね。
したがって、12月において、
「この売上げは別に今年に実現しなくても良いのではないか」
「来年でもいいのでないか」
と思うこともよくあるのです。
一応、注意点としては売上げがあるということは実際の入金もほとんどの場合それ以降の期日にあるはずですから、それまでの間に手元のキャッシュが枯渇していて色々とキツい、運転資金がないと首が回らない、生活費が払えないという状態の人はこのような事を考えている場合ではありません。
このような人はさっさと売上げを上げて早めに入金してもらえるように頑張るべきでしょう。
ある程度手元のキャッシュが潤沢にある人が直面する悩みが、このような所得のコントロール、売上げ時期のコントロールという話になると思われます。
どうしても、売上げを上げてしまうとその分所得は増えがちなので、この辺りの対策をどう取るのか、という問題についてはまだ個人事業が軌道に乗っていない人であっても頭の隅で考えるべき問題になるでしょう。
時折、税金のことは税理士さんにすべて丸投げすればいいやと考えている人もいるようですが、
しかし、私個人の考え方としては基本的な税金の実務の考え方などは個人でしっかりと勉強した上で、細かい作業や疑問点解消などのお願いを税理士さんにするという方向性の方が無駄がないと考えています。
というのも、そもそも税金の方針も含む事業計画を立てることができるのは経営者本人だけだからです。
税理士さんは飽くまで税金のスペシャリストなのですから、税金の問題については適切な質問を行えば答えてくれはしますが、しかし、事業とのシナジー性などまで口を挟める場合というのはそこまで多くはないです。
できるとしても料金はその分高額になるでしょう。
そこはやはり人任せにするべきではなく自分で考えるべき問題なのです。
また、人によっては敢えて売上げを先送りするどころか数十年単位で実現すらしようとしない人もいるでしょう。
いつでも所得を実現できる状態を保ちながら、しかし所得の未実現の状態をずっとホールドしておくという考え方です。
このようなバイアンドホールドの戦略も可能です。
もちろん、上記の記事にもあるとおり、そもそもこのような戦略をとれる人というのは現在時点において所得を実現させる必要の無い、恵まれた状態にある人とも考えられます。
そして、個人事業主を始めとした事業年度の期の数というのは単純に考えると、その事業を実際に行っている期間の分だけ増えます。
例えば、23歳から60歳まで働いていて、しかも、60歳の時点で亡くなってしまった(年金も受給できない)人と、
18歳から120歳までほとんど生涯現役のように働いている人とでは、稼いでいる期間、事業年度の期の数がそもそも全然違います。
しかも、日本においては累進課税制度が取られていることから、単年度で高年収を稼ぐことができるよりも100年以上かけて少しずつ平均的な稼ぎがある人の方が結果的に可処分所得が良くなる可能性もあります。
もちろん、この考えには「そもそも単年度で稼げる人は翌年やそれ以降にもそこそこ稼げることの方が多いでしょ」という突っ込みをせざるを得ないのでそこまで話は単純ではないという注意点はあります。
とはいえ、単純に生きている期間が長ければ長いほど、この所得のコントロールを行う幅も広がると思われます。
もちろん、生きている期間が長ければ長いほどその分生活費などはかかってしまいますので、それを補填できるだけの所得が実現できることを想定していますが、
しかし、そういう意味でも、まずは健康寿命を延ばす意識を持って生活を送ることは重要なのかなと考えています。