結論から言うと、私は自分に利益を与えてくれる姿勢を持った人に好感を持ちやすいです。
私に限らず、他の人も、あなたも、同様ではないでしょうか?
人間はどうしても、自分自身に1番関心がある生き物であるため、自分自身に(良い意味で)関心を示してくれる人物に好感を抱きやすいのでしょう。
したがって、日常的なコミュニケーションにおいてもそうですが、これは商取引すなわち、営業活動や、採用活動や、資金調達活動などにおいても、常に意識してみると、相手にも心地よい感覚を与えながら、格段に円滑に話が進み、成約しやすいと感じます。
とはいえ、これはいわゆるお説教型の言動とは区別する必要があると思っています。
例えば、アドバイスなどをする際などにおいても、「あなたのことを思って私は○というアドバイスをしてあげているのであって…」などという言い方をする人がいますが、相手がそのような助言を求めていることをあらかじめわかっている場合以外にはこのような言い方はやめておいた方が無難であると考えています。
というのも、「あなたのためのアドバイス」などと言いながら、相手は全く求めていないのにも関わらず、自分の思想を相手に押し付けようという考え方が透けて見えるためです。
金融リテラシーなどの文脈でもそうですが、「金融リテラシーが低い人に啓蒙してあげなきゃ!」という使命感に駆られている人もいますが、正直、「金融リテラシーを高めたいから教えを乞いたい!」などと考えている人はどのくらいいるのだろうか、ということも同時に思うのです。
大抵の人は、「老後とか不安だからどうしようとか思いつつもでも面倒だし、あんまり今の日常から変えたくないなー」くらいの認識ではないでしょうか?
そのような人に対して、例えば「取り敢えず、年収はなるべく上げて、支出はできる限り見栄とか張らずに下げてください。貯蓄率90%あれば行けます」などと言ったところで「え?(そこまでしたくないんだけど)」となるだけです。
むしろ、こういった人は、自分自身が変化することなどに慣れていないため、楽して成果を上げたいだとか、そう言った横着した気持ちの方が強かったりすることもあるので、その場合は、単に説教するのではなく、まずは、一緒に家計簿を作ってみるだとか、そう言った小さなサポートのようなものを求めていたり、自分の悩みについて親身に考えてくれる人を求めているのではないでしょうか?
私が現実的にこのようなサービスをしているわけではありませんが、やるとしたら相手の状況に合わせたサポートやコミュニケーションを取ろうとする必要があるということです。
特に相手が触ってほしくないと感じるのは自分の欠点をこれ見よがしに指摘する行為です。
相手に直して欲しい点を伝えるというコミュニケーションはこの意味で悩ましくある程度大人になってくると、無難に「相手に欠点をわざわざ指摘しない」という行動に出る人は多いです。
しかし、真にコミュニケーション能力に優れている人は、相手に直して欲しい点をストレートに指摘するという方法を取るのではなく、相手に気持ち良さを与えつつも、しかし、相手に直して欲しいと考えている欠点を自主的に、主体的に直してもらえるようにするという高等技術を持っています。
これは相手のことを思いつつ、自分の側の利益を円滑に通すことができている、いわゆるwin-winの状態であり、このようなコミュニケーションを目指すべきと考えています。
そのためにまず考えなければいけないのは「相手にとって、これはwinになるのだろうか?」という視点です。
油断すると、「自分にとってこれはwinだろうか?」というところから思考をスタートさせがちですが、相手のwinの方から意識的にまずは考えてみるべきということです。
相手のwinが確定したら、自動的にwin-winの関係か、lose-winの関係の二択になります。
そして、人間は自分に1番関心があるため、本能的に自分にとってこれはwinなのか?というのは結局どこかで考えるはずなので、順番はまず相手のwinから考える、ということがポイントです。
相手のwinをある程度考えたら、勝手に自分のwinについても考えるはずなので、この順番を落とさないようにすると、win-winの取引を何度も思いつくことができる人になれるのではないでしょうか?
このように相手のことを意識的に考えて、関心を払うという習慣づけができるようになると、より望ましいコミュニケーション方法をその人の頭の中でその都度開発しやすいため、いわゆる「交渉上手」な人となり、かなり生きやすくなるのではないかと私は考えています。
世間にはコミュニケーション本があふれるように出ていますが、そこに書かれている内容を適当になぞったところで大した成果は出ないでしょう。
応用問題とも言える状況に直面したらどうしても自分の素が出てしまい、小手先のテクニックが通用しなくなります。
結局状況に応じてアレンジを加えることができるようにならないと使い物になりません。すなわち、その時々の状況に応じたコミュニケーション方法の開発を自分独自にできるようになることが最終目標となるでしょう。
そのような最終目標に向かうための小さな第一歩が「相手のことに意識を払い、相手に利益を与える姿勢を崩さないようにする」と言うことになるのではないでしょうか?