時間管理、タイムマネジメントの観点からは、第2領域、すなわち、緊急ではないけれども重要であることについて注力することが大事だとされています。
したがって、人生をより良い形で進めていくためには、この第2領域に関する活動に全力投球する必要があります。
しかし、現実的にはこれはなかなかできないのです。
「第2領域が大事だとはわかっているんだけども全然できない・・・・・・」これでほとんどの人は悩むことになります。
何故できないかというと、そもそも多くの人は第1領域、すなわち緊急であって、かつ重要なことの処理で日々の時間や自分の気力を使い果たしてしまい、第2領域の活動を行うだけの余裕を保てないのです。
ここでいう、第1領域の典型例は、勤め人であれば、日々の仕事で急に対応しなくてはいけない物が次々と自分に襲いかかってくるという状況です。
平日朝に出勤してみたら、メールボックスに大量のメールが入っており、それを処理していくだけで、いつのまにか午前中が終わり、そこから追加で来たメールを更に処理しつつ、上司から来たフィードバックメールなどに丁寧に返信したり、部下から上がってきた報告メールを確認しながら色んな業務を処理していたら、いつの間にか17時になっている・・・・・・というような状況です。
いわゆる定時で帰ることができる人は、ここで仕事が終わるため、17時頃には第1領域から解放されるのですから良いのですが、残業が前提だったりするような勤め先に勤めている人はここからさらなる地獄が始まります。むしろ、17時からが本番、という人もいるでしょう。
17時辺りになったあたりでお客さんからいきなり追加業務が発注されたり、このタイミングでいきなり上司から指示が入ったり、などのイベントが発生することにより、さらに第1領域の仕事が量産されていきます。
そして、深夜辺りになってようやく第1領域の処理について、一段落ついたとして、「さて、そろそろ帰るか・・・・・・」となります。
場合によっては、深夜辺りになっても終わりが見えずに、徹夜コースということもあり得ます。
定時に上がれる勤め先に勤めている人からすると信じられないかもしれませんが、徹夜しないと仕事が終わらないという勤め先は実際にあります。
このような形で第1領域の仕事に追われ続けている人は、なかなか第2領域の活動に手を付けることができません。
そして、このような状態をずっと続けていると、第1領域の処理が運良く早めに終わったとしても、第2領域でそもそも何をするべきかがわからないという状況に陥ってしまい、第3領域、すなわち、緊急ではあるが重要ではないことや、第4領域、すなわち、緊急でもないし重要でもないことにあたかも重力に引き寄せられるような形で時間を使ってしまいがちという状態になります。
第2領域こそが人生を先に進めるための活動であることを考えると、このままの状況に陥ると、全く先が進まない人生になってしまいます。
そのため、この第1領域を早急に削除しまくり、第2領域に時間を用いるための余裕を保てるようになる必要があるのです。
しかし、実際には、理想を言えばそうだがそもそも第1領域が多すぎて処理しきれないんだ、と感じている人が多いのだと思います。
そこで私が考えたのは、
「そもそも、本当は第3領域の仕事なのに、第1領域の仕事だと勘違いしている物が実はあるのではないか?」
ということです。
まず、第1領域の仕事と、第3領域の仕事というのは両方とも緊急性があるという共通点があります。
したがって、突然やってきて急な対応が求められるわけですが、この際、早急な判断が求められるが故に、「早く処理しなくては!」という使命感に駆られやすいという特徴があります。
したがって、「自分にとって重要な仕事とは一体何か?」ということを普段から考えていないと、この第1領域と第3領域の区別がほとんどつかなくなってしまいます。
したがって、突然投げ込まれたものすべてが重要なこと、すなわち第1領域だと感じてしまいやすいのです。
しかし、よくよく見ると、「これは私がやらなくても良いのではないか?」と感じるような重要性が低いものも混ざっているのです。
したがって、そのような重要性の低い、第3領域の仕事は来た瞬間に、自分がやらないと決める、具体的には、他の誰かにやってもらったり、最悪無視する、という判断をすることになります。
このような判断をするためには、「そもそも、自分がやるべき重要なことってなんだっけ?」ということを普段から考察し、それに基づいた意思決定基準、判断基準を予め作っておくことが必要です。
何故、予め判断基準を作っておくことが重要なのかと言えば、第1領域も、第3領域も緊急性が高いが故に、その都度この仕分けを判断するだけの時間的猶予が与えられることが少ないからです。
さらにいえば、この第3領域の仕事が来た瞬間に、すぐに他人に任せられるようにするため、「●●が来たら×さんに任せることにする」という当てを予め作っておくとかなり楽になります。
前提として、この「×さん」を予め作ることがかなり重要になってきます。
「×さん」なる存在がそもそもいないんだけど...、という人もいるでしょう。そういう人は、大変ですが今から創るしかありません。
「×さん」を創るためには、当たり前ですが、「×さん」は主に人間を想定しているため、コミュニケーションに基づいた人間関係を創っておく必要があります。
これは、いつでも頼りにすることができる職場の同僚かもしれませんし、部下かもしれないし、家にいる家族かもしれないし、場合によっては上司もあり得ます。
でも、この仕事はそもそも自分にしか今できないような内容だから能力的に他の人に任せられる物ではないんだけども...と感じている人もいるでしょう。
その場合は、任せるべき特定の仕事をやってもらえるように「×さん」を教育する必要もあるかもしれません。
教育という書き方をすると、どうしても、テクニック的な印象がありますが、これもコミュニケーションによってなせるものです。
そもそも、普段における人間関係がないと教育しようがないためです。
他人に何かを教えるのはそもそも苦手なんだけど、と思っている人もいるかもしれませんが、このような他人を教育する能力を今のうちに育てることも第2領域の活動になるわけです。
したがって、まずは、コミュニケーション能力を用いて、単純作業など、教育することなくして誰でもできる仕事を、任せられる人を確保することから始めることです。
そして、実際に任せられるようになると、今まで第1領域だと思っていて、自分が処理していた仕事を第3領域にすることができます。
そして、空いた時間で第2領域の活動を行う事が可能になるのです。
この第2領域において、上記のように他人を教育する能力を育てて、今まで事実上自分でなければ能力的に処理できなかった仕事を他人に任せることができるようになると、さらに今まで第1領域だと思っていて自分が処理していた仕事を第3領域にすることができるようになります。
こうしてさらに時間を創ることができるようになるとさらに多くの時間を第2領域の活動に充てることが可能になります。
ここまでの流れは、
①そもそも「自分にとって重要な事は何か?」と考えて、緊急対応しなくてはいけない活動のうち、第1領域と、第3領域の区別を付けることができるようにする。
↓
②「現段階で」第3領域だと判明した仕事を他人に任せる or 無視する。
↓
③第3領域だとして削られた時間をさらに「第1領域を第3領域に変えてしまうための第2領域的活動(部下の教育など)」や「第1領域を完全消滅させるための第2領域的活動」に充てる。
↓
④今まで第1領域となっていた活動を第3領域に変えたりそもそも消滅させてしまい、さらに削られた時間で第2領域に注力する。
以上の、①~④の過程を続けることが人生を先に進めるために大事になってくると思います。
そして、極めて重要なのは、①や③です。
①がわからないと事実上何も始まりません。「自分にとって重要な事は何か?」と考えることもそれ自体実は第2領域の活動であるとも言えそうですね。
これはものすごく時間がかかる話ではないものの、意識をしないと絶対に考えないことだと思います。ほとんどの人が全くやろうともしていないため、だからこそやる価値があります。
そして、次に重要なことは③において、余裕ができた時間をさらに「第1領域を第3領域に変えてしまうための第2領域的活動(部下の教育など)」に充てることです。
少し時間的な余力ができると、ちょっと意識の高い人は、「取りあえず、第2領域の活動ができるような時間を作れたから、なんかやるか」と思いがちですが、第2領域の活動の中でも何をやっても良いというわけではなく、特に優先するべき第2領域の活動があります。
それが何かというと、「第1領域を第3領域に変えてしまうための第2領域的活動」や「第1領域を完全消滅させるための第2領域的活動」を行う事です。要するに、第1領域の部分をそもそもほとんど発生しないようにするということです。
第1領域の活動というのは、モグラたたきゲームのようなもので、モグラが出てきたらその都度今やっている活動を中断して、ハンマーを手に持って早急にモグラを叩きに行く必要があります。
したがって、根本的には、モグラがそもそも出てこれないようにしない限り、「次に、いつモグラは出てくるのだろうか?」とチラチラと、モグラだたきの台を気にしながら生活する必要があります。
このような状態を放っておくと、第2領域の活動を行う為の集中力を欠くことになります。
第2領域の活動というのは、重要ではあるものの、普通の人にとって簡単にこなせない活動であることも多いため、時間をじっくりかけて、集中力を保ちながら、その活動に専念することができる体制や周辺環境を整える必要があります。
したがって、第1領域の完全撲滅を目指せないと、第2領域の活動のうち、特に多くの時間やお金や気力を投入しないとなしえない超重要な活動をまともに行う事ができません。
超重要な活動というのは第2領域の活動のうちでも自己実現にも関わる活動であり、その人のアイデンティティや人生そのものを左右する活動です。
このような第2領域の中でも超重要な活動を行うことができるようにするためにも、第1領域を完全撲滅させるための第2領域的な活動にまずは注力するというのが、優先順位、順番の問題として重要になってくるでしょう。
ところで、ここまでの話は主に勤め人を想定して書いています。
したがって、第1領域の活動や第3領域の活動で想定されているのは、勤め先から次々に振ってくる仕事のことを主に指しています。
特に勤め先が無いという人や専業主婦(専業主夫)の人は他のジャンルでの第1領域の活動や第3領域の活動があることでしょう。
ここで勤め人に向けて最初の、①の段階、すなわち、「自分にとって重要なことはそもそも何か?」という問いについて考えていきましょう。
何故あなたは今の勤め先で今の仕事をやっているのでしょうか?
ここで、「客観的に見て、第1領域であろうと、第3領域であろうと関係ない、どんな仕事であっても生活費のために今の勤め先では仕方なく働いているんだ」とまず考えた人は、是非とも第2領域の活動としての、経済的自由の達成を並行して目指すことをおすすめします。
生活のために今の勤め先で働いている人というのは、勤め先から振ってきたすべての仕事をこなさないと、そのうち自分の評価が下がってしまう、自分の評価が低いと減給されたり、そのうちリストラされてしまう、リストラされてしまったら生活できなくなってしまう、それゆえに、勤め先から振ってきた全ての仕事はすべてこなさなくてはいけない重要な仕事である、という認識の人が多いと思います。
すなわち、勤め先から評価されるような仕事ぶりを発揮できるようになることが現段階において重要性が高いものであると認識されているわけです。
しかし、そもそもの話、実は、勤め先から評価されるような仕事ぶり=勤め先から振ってきた仕事をすべて片っ端から上手い具合に処理することではなかったりします。
これはよく考えれば当たり前のことなのですが、よく考える余裕が無い人は何故イコールで繋がらないのか、全く思いつきもしないでしょう。
実は、経済的自由の達成に近づいていくと、勤め先から評価されるような仕事ぶりを発揮できるようになることが現段階において自分にとって重要性が高いものであるとは限らないということが分かってきてしまうため、このような、よく考えたら当たり前のことにも気づきやすくなります。
経済的自由を達成した人というのは、今の勤め先からの所得が無くても生きていくことができるようになるため、今の勤め先におけるリストラリスク、減給リスクに対する対応の重要性が格段に減ります。
したがって、経済的自由を達成した人は勤め先から振ってきた仕事というのをすべて完全に無視するということも実は理論上は可能になります。いつリストラされても困らないからです。
もちろん、個人的には、人としてこのようなことをやり続けることはおすすめはしません。
勤め人の場合は、仕事を完全無視していても最悪他の人ができるような体制が整っていることが多いため、完全無視していてもなんとかなったりするのです。その上でも、それって人としてどうなんだ、という話があるので、あまり実行するのはおすすめはしませんが・・・・・・
また、上の方で書いた、勤め先から評価されるような仕事ぶり=勤め先から振ってきた仕事をすべて片っ端から上手い具合に処理することではないというのは、どういうことかというと、勤め先において、他の誰もがまだ仕事だと認識していないが、実は仕事であること、すなわち、「勤め先における第2領域の活動」を勤め先で行うことができれば、それは勤め先から評価される仕事ぶりを発揮したということにもつながります。
「勤め先における第2領域の活動」というのはほとんどの人はできない(勤め先の行く末なんて興味ないし、雑務に追われ、余裕がないためそもそも思いつかない)ため、これができるようになると、若手や他の人がやるべき雑務とされるつまらない仕事がそのうち自動的に回ってこなくなります。
すなわち、事務処理能力としては優秀だが最悪替えの効く人材ではなく、替えの効かない人財としての評価がされます。
勤め先で自己実現しながら気持ちよく働きたいという人は是非ともこのような状況を目指すべきでしょう。
もちろん、今の勤め先に全く期待していない人は、さっさと経済的自由を達成し、勤め先から振ってきた第1領域の仕事の完全撲滅として、FIREしたり、転職したりして、解放された時間を用いて、自分が本当にやりたいことに注力しましょう。
上記のような、今までの仕事に対する見え方、パラダイムが変えるためにも、経済的自由の達成を目指すことは重要であると言えそうです。