詐欺とか騙されるとかいうと、まるで悪者がいるかのようにも感じてしまいますが、実際は、詐欺とかではなく、間違った内容を説明されたということや、単純な聞き間違いがあった、とか、勘違いしていたということから自分が不利益を被るということはよくあります。
例えば、先日私はスマホを購入したわけですが、その際に手数料等の説明について一部販売員によるミスがあったようです。
そのまま、手数料について説明を聞いた私はその内容が真実であるという誤解をしたわけです。
しかし、これについては契約締結直前に「念のためですが、さっき●●とおっしゃっておりましたがその理解で良いのでしょうか?それってどこかに書いてありましたっけ?」と念のための確認をしたところ、説明ミスであることが分かりました。
結果的に、勘違いしたまま契約していても2000円,3000円程度の差ですが、これがもっと内容の重い取引であった場合は大変な額の不利益を私が被った可能性があります。
このようにちょっとした誤解とか、口を滑らせたというようなことでもひやりとする場面というのはあるわけです。
他の例で行くと、投資詐欺などもよく問題になりますね。最初からお客さんからお金を巻き上げるつもりだったのか、あるいは途中からポンジスキームもいとわないようになってしまったのか、などよくわからない点も多かったりします。
もっとも、投資詐欺については一定の指標として「利回りが異様に高すぎる場合は警戒すべき」というのがあると思います。
たまに、「利回り20%で元本保証!」という謳い文句の物があったりしますが、普通に株式投資などをしている人から見ると相場とかけ離れすぎて異様に映ります。
一番有名な金融商品としての株式投資などは一般的にリスクがあり、元本保証という物はほぼあり得ないですし、その上で、利回り20%というのも、有名な投資家であるウォーレンバフェットの成績でやっとこのくらいであるということを考えると上のような条件を見ると見るべき人が見れば違和感しかないわけです。
このような違和感に気づいて、違和感に応じて何かしらの行動をすることが騙されないためには重要になるのでしょう。
では、違和感というのはそもそも何から生じるのか?
そのように考えると、上の投資詐欺の例から言うと、一般的な相場とかけ離れすぎているという認識が文字通り違和感に繋がっているわけです。
逆に言うと、投資詐欺に騙されてしまう人というのは上記の一般的な相場そのものをそもそも知らないということでもあります。
投資をしたことがある人にしてみれば、株式がある程度リスクのある投資対象であることや、ウォーレンバフェットという人物がどのような人物であるのかという程度はさすがにわずかながらも知っていると考えられるので、上記のような投資詐欺で謳われている条件というのを聞いた瞬間に「なんだか、相場とかけ離れているな」という認識になりますが、今まで投資について触ったこともないような人にしてみれば、初めて「利回りは20%です、どうですか?」と言われても「よくわからんけどそんなもんかな」と思ってしまって流してしまいます。
これは金利などについても同様です。金融取引などを禄にしたことがない人がいきなり「金利は17%だったらお貸しできます」というようなことを言われても「そんなものなのかな」と思ってしまうでしょう。しかし、ローンを借りたことがある人にしてみればすごいレートだと感じるでしょう。そもそも利息制限法違反の疑いもあります。
また、はじめてスーパーにお使いに行った子が「卵1個につき400円!お買い得!」という広告を見ても「そんなものなのかな」と思ってしまうかもしれませんが、スーパーに毎日買い出しに行く人からしてみるとおよそあり得ない値段であることが分かります。
このような例から分かるとおり、違和感を大事にしようと言ってもそもそも相場を知らないと違和感を感じようがないということが問題であることが分かります。
このような問題が生じるのはどのような場合であるのか、ということを考えると、「未経験、初めての分野で取引を行うとき」にこのような問題が生じやすいということが分かると思います。
そのような初心者殺しの構造がそもそも至る所に存在するということが分かれば、
「未経験の分野においては、相場をリサーチする癖をつける」とか
「その分野に詳しそうな人に『●●らしいけど、本当にそうなの?』と質問してみる」(いわゆるセカンドオピニオンもここに含まれる)とか、
「相見積もりをとれないか検討する」とか、
様々な行動指針を予め定めておくことができます。
このような行動指針に則れば、ある程度被害は防げると思います。
さて、詐欺などに騙されないようにするためにはこのような違和感にまず気づくことが大切になりますが、それ以上に大事なのは、違和感をスルーしないことだと思います。
投資詐欺の例でも、利回りが異様に高いということに気づいてもそのまま大金を投じてしまう人がたくさんいます。何故でしょうか。
一つには、「欲望にとらわれて、違和感など自分に都合の悪い情報をすべて無視してしまう」という結論ありき、確証バイアスのようなものがあると思います。
このようなモードになってしまうと、とにかく怪しくても「でも一気に儲けることができそう」と思ってしまい、「このセールスマンは親切に説明してくれて、信頼できるから」とポジティブな物を見て怪しい点をすべて(頭の中で)なかったことにしてしまう訳です。
とにかく、一気に大金を儲けたいという気持ちになりがちなのはわかりますが、これはFXなどで極大のレバレッジをかけるようなもので、一発逆転の発想が根底にあると思います。
一発逆転の発想というのは、つまりは、「結果が出るまでには何事も努力が必要であって、しかも時間がかかる」とか、「芽が出るのは早くない」という苦しい現実を見たくないという気持ちから生じると思います。
基本的に、人生に一発逆転という物はそもそも存在しない、ということをまずは自分に言い聞かせた方が良いと思います。
私の見解としては結果を出すためには相応の努力が必要になります。一発逆転というのはただの現象であって、演出、視聴者を喜ばせるためのパフォーマンスにすぎないものであると考えています。逆転した場合には、逆転するべくしてした要素がどこかにそれまでに積み上げられてきたことを原因としているのであって、いきなり結果だけがポっと出てくるということは基本的にないということです。
逆転できるとしたら、それに応じたリスクをとることになります。
また、セールスマンに対する信用性という点についても、冒頭の私のスマホ購入の際のエピソードのように説明にミスがあったということはいくらでもありえるわけですね。
ミスは誰にでもあるものですから、論理的に考えても、セールスマンが信用できるからといって結果まで保証してもらえるとは限らないわけです。
したがって、信用しているのであればなおさら違和感があればそれを説明してもらって、納得した上で購入に踏み切るべきではないでしょうか。
最後の決断は結局自分自身で行うのです。
違和感を感じたらやはりそれを大切にして判断するべきでしょう。