権力とは、何かを決めたり、他者を動かしたりする力です。
では、権力を持つ者とは、一体誰を指すのでしょうか?
一般的に、政治家、経営者、著名人などが権力者として挙げられます。
しかし、真の権力とは、単に表立った地位や名声だけでなく、より根源的な力に裏打ちされていると言えるでしょう。
権力の本質:他者を動かす力
権力の本質は、他者を動かす力にあります。
法的な権限に基づいて命令を下すことも、カリスマ性で人を惹きつけることも、そして、人々の行動を間接的に誘導することも、全て他者を動かす力の現れです。
この視点から見ると、権力を持つ者とは、単に命令を下すだけでなく、組織や社会全体の方向性を決定し、人々の行動に大きな影響を与えることができる者を指します。
「事実上の人事権」こそが真の権力
様々な種類の権力がありますが、その中でも特に重要なのが「事実上の人事権」でしょう。
人事権とは、組織のメンバーを雇用、昇進、降格、解雇する権限のことです。
この権限を持つ者は、組織の構成員を自由に配置し、組織の方向性を大きく左右することができます。
「事実上の人事権」を持つ者は、必ずしも表立ってその権限を行使するわけではありません。
表向きは姿を現していない場合も存在します。
しかし、誰をどの部署に配置するか、誰を昇進させるかといった決定は、組織の文化や風土を形作り、組織全体の動きに大きな影響を与えます。
「事実上の人事権」を持つ者の具体例
「事実上の人事権」を持つ者は、様々な形で存在します。
- 企業の創業者: 創業者は、企業のDNAを築き、企業文化を形成する上で、最も重要な役割を果たします。多くの場合、創業者とその周辺の人々が、長年にわたって企業の人事を掌握し続けています。
- 政治家のリーダー: 政治家のリーダーは、党内の要職や閣僚の人事を決定することで、政党の方向性を大きく左右することができます。
- 宗教団体指導者: 宗教団体の指導者は、教団内の要職や布教活動の担当者を決定することで、教団の教義や活動方針を決定します。
- マフィアのボス: マフィアのボスは、組織内のメンバーを配置し、犯罪活動を指揮することで、組織全体の運営をコントロールします。
- 「世間」: これは抽象的な概念ですが、「世間」という目に見えない力が、個人の行動や評価を大きく左右することがあります。例えば、ある業界で「コネ」が重視される場合、その業界における「世間」が事実上の人事権を行使していると言えるかもしれません。
「事実上の人事権」を持つ者の特徴
「事実上の人事権」を持つ者には、以下のような特徴が挙げられます。
- 組織の文化を形成する: 組織の価値観や行動規範を決定し、組織の文化を形作る。表に出ているか裏にとどまるかに寄らず、リーダーシップが少なからず存在する人物でしょう。
- 人材の育成・活用: 組織に必要な人材を育成し、その能力を最大限に引き出す。
- 組織の変革を促す: 組織の状況に合わせて、人事異動や組織改編を行い、組織の変革を促す。
- リスクを負う: 人事決定は、組織の将来に大きな影響を与えるため、常にリスクを伴う。
結論
「事実上の人事権」を持つ者は、組織や社会を裏側から支え、その方向性を大きく左右する存在です。
表立って注目される政治家や経営者だけでなく、様々な形で「事実上の人事権」を持つ者が存在し、彼らがこそが、真の意味での権力者と言えるでしょう。
ただし、「事実上の人事権」は、必ずしも良い方向にのみ使われるわけではありません。
組織の私物化や不正につながる可能性も孕んでいます。
そのため、「事実上の人事権」の行使には、高い倫理観と責任感が求められます。