【第1652号】素直な進捗報告ができない人は低評価をつけられるリスクを重くみている

コミュニケーション
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職場での進捗報告は、プロジェクトの進行やチームの連携において重要な役割を果たします。しかし、中には上司から「進捗はどうなっている?」と聞かれた際に、進捗そのものには全く触れず、突然次の会議の予定を提案したり、別の話題に逸らしたりする人がいます。このような行動は、客観的に見ると「謎行動」に映るかもしれませんが、本人にとっては合理的な選択である可能性があります。その背景には、低評価を避けたいという強い意識が働いている場合があります。

なぜ素直な進捗報告ができないのか?

進捗報告を避ける行動の背景には、さまざまな心理的要因が考えられます。特に、「低評価をつけられるリスク」を過剰に意識する人は、失敗や未達を報告することへの強い不安を抱えています。この不安は、以下のような状況で顕著に現れます。

例えば、Aさんはあるプロジェクトの担当者として、期限内に成果物を完成させる責任を負っています。上司から「進捗はどう?」と聞かれた際、実はAさんの作業は遅れており、予定の半分しか進んでいません。このとき、Aさんが「実は遅れています」と正直に答えると、上司から「なぜ遅れているのか」「どうするつもりか」と追及される可能性があります。さらに、場合によっては「能力不足」と見なされ、評価に影響するリスクも感じます。

そこでAさんは、進捗を問われた際に「来週、関係者での会議を入れましょうか?」と提案します。この行動は、進捗の詳細を明かさず、話題を「会議の設定」という別のアクションに移すことで、即座の評価を回避する戦略です。Aさんにとっては、遅れを報告するよりも、積極的に「次のステップ」を提案することで「仕事に前向き」と見られる可能性を高めようとする合理的な行動なのです。

本人目線での合理性とその限界

このような行動は、本人にとってはリスク管理の一環です。低評価を避けるために、進捗報告を曖昧にしたり、別の行動で気を逸らしたりすることは、短期的に見れば「安全」を確保する手段として機能します。例えば、Bさんはチームリーダーに進捗を聞かれた際、具体的な進捗を述べず「今、関連資料をまとめているところなので、近日中に共有します」と答えます。この回答は、遅れている事実を隠しつつ、進行中の印象を与えることで、上司の不信感を和らげる効果を狙っています。

しかし、この戦略には限界があります。まず、進捗を明確に報告しないことで、問題が先送りになり、後で大きなトラブルに発展するリスクがあります。Aさんの例で言えば、会議を提案することでその場をしのいでも、会議当日になれば遅れが明らかになり、信頼を損なう可能性があります。また、Bさんのように曖昧な回答を繰り返すと、上司やチームメンバーから「信頼できない」「責任感が乏しい」と見なされることもあります。結果として、低評価を避けようとした行動が、逆に評価を下げる原因になるのです。

具体例:職場での「謎行動」の実態

具体例をもう一つ挙げてみましょう。Cさんは、クライアント向けの提案書を作成する業務を任されています。期限が迫る中、上司から進捗を尋ねられた際、Cさんは「クライアントの最新ニーズを反映するため、追加の調査をしています」と答え、実際の進捗(提案書のドラフトがほとんどできていないこと)には触れません。さらに、「近日中のミーティングで方向性を確認したい」と付け加え、話題をミーティングの計画に移します。

この行動は、Cさんにとって「進捗遅れを指摘されるリスク」を回避するための合理的な選択です。クライアントのニーズを強調することで、遅れの原因を外部要因に帰し、自身の努力不足を隠そうとしています。また、ミーティングを提案することで、「積極的に動いている」という印象を与えようとします。しかし、上司が具体的な進捗を求めている場合、この回答は「逃げている」と受け取られ、信頼を損なう可能性があります。

別の例として、Dさんのケースも見てみましょう。Dさんはシステム開発のプロジェクトに携わっており、テスト段階でバグが多発している状況です。上司から進捗を聞かれた際、Dさんは「テストの詳細をまとめた資料を今週中に提出します」と答え、具体的なバグの状況には触れません。さらに、「次回の会議でテスト結果を共有しましょう」と提案します。この行動もまた、問題の報告を先送りし、低評価を避けるための戦略です。しかし、バグの詳細が明らかにならないまま時間が過ぎれば、プロジェクト全体に影響を及ぼし、Dさん自身の評価にも悪影響を与えるでしょう。

なぜ低評価を過剰に恐れるのか?

低評価を避けようとする傾向は、個人の性格や職場環境に起因することが多いです。例えば、完璧主義の傾向が強い人は、ミスや未達を報告すること自体を「失敗」と捉え、強いストレスを感じます。また、過去に厳しい評価を受けた経験がある人は、再度そのような状況に陥ることを避けようと、防御的な行動を取る傾向があります。

職場環境も大きな影響を与えます。上司が失敗に対して過度に批判的であったり、評価が不透明で予測しづらい場合、従業員はリスクを最小限に抑えようとします。このような環境では、素直な進捗報告が「危険」と感じられ、会議の提案や曖昧な回答といった「安全策」が選ばれやすくなります。

人生の教訓:リスク回避と誠実さのバランス

こうした行動傾向から、どのような人生の教訓が導かれるでしょうか。以下に、3つのポイントを挙げます。

1. 誠実なコミュニケーションが信頼を築く

進捗報告を避ける行動は、短期的なリスクを回避できても、長期的な信頼を損なう可能性があります。素直に進捗や課題を報告することは、勇気がいるかもしれませんが、結果として上司やチームメンバーとの信頼関係を強化します。例えば、遅れを正直に報告しつつ、「ここから挽回するために、以下のような計画を考えています」と提案することで、責任感と前向きな姿勢を示せます。誠実さは、評価だけでなく、人間関係においても大きな資産となります。

2. 失敗を恐れすぎない

低評価を恐れるあまり、行動が保守的になりすぎると、成長の機会を逃すことがあります。失敗は学びのプロセスであり、適切に報告・共有することで、チーム全体の改善にもつながります。例えば、Dさんがバグの状況を早めに報告していれば、チームで対策を講じ、プロジェクトの遅延を最小限に抑えられたかもしれません。失敗を恐れず、課題をオープンにすることで、自身のスキルや信頼感を高めることができるのです。

3. 環境を見極め、適切なリスクを取る

職場環境によっては、素直な報告が不利に働く場合もあります。そのような環境では、リスクを最小限に抑える行動もある程度理解できます。しかし、長期的には、信頼を重視する環境や上司のもとで働くことが、自身の成長や幸福感につながります。もし現在の環境が誠実さを評価しない場合、環境を変えることも一つの選択肢です。適切なリスクを取る勇気を持つことで、より良いキャリアを築けるでしょう。

結論

「素直な進捗報告ができない人」は、低評価を避けたいという意識から、会議の提案や曖昧な回答といった行動を取ることがあります。これは本人にとって合理的な戦略かもしれませんが、長期的な信頼や評価を損なうリスクも伴います。この傾向から導かれる教訓は、誠実なコミュニケーション、失敗への適切な向き合い方、そして環境を見極めたリスクテイクの重要性です。職場での小さな行動が、信頼や成長に大きな影響を与えることを忘れず、日々の選択を意識することが、充実したキャリアと人生につながるでしょう。

美紀のプロフィール
夢見がちな社会不適合者

社会人7年目かつ会社経営者(法人5期目)。
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かつて不登校になり片っ端から出席点を落としまくる。高校生の頃は家出経験も。
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