サブリミナル効果という言葉があります。
Wikipediaによると以下のような意味のようです。
サブリミナル効果(サブリミナルこうか)とは、意識と潜在意識の境界領域より下に刺激を与えることで表れるとされている効果のことを言い、視覚、聴覚、触覚の3つのサブリミナルがあるとされる。閾下知覚とも呼ばれる。 サブリミナルとは「潜在意識の」という意味の言葉である。境界領域下の刺激はサブリミナル刺激(Subliminal stimuli)もしくはサブリミナル・メッセージ(subliminal messages)と呼ばれている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%AB%E5%8A%B9%E6%9E%9C
有名な話としては、映画が映写されているスクリーンの上に、「コカコーラを飲め」「ポップコーンを食べろ」というメッセージが書かれたスライドを1/3000秒ずつ5分ごとに繰り返し二重映写したところ、コカコーラについては18.1%、ポップコーンについては57.5%の売上の増加がみられたというのがあるようです。
実際にどこまでどんな効果があるのかは不明ですが、
しかし、個人的には、意識していない状態で何らかの形で知覚を刺激された場合には何らかの形で自分の情動に影響を与える可能性が高いのではないかと考えています。
例えば、これから自分の肥満体型に不満を抱いてダイエットを始めようとしている人がいるとしましょう。
そして、この人は普段、いつのまにか自分の机の上に置いてあるポテトチップスを大量に食べてしまっているからこそ肥満になってしまっている物だと設定してみます。
さて、このような人が「明日からダイエットしよう」と決意を固めた場合、ダイエットは成功するでしょうか?
具体的には、ポテトチップスを大量に食べてしまっているという行動を少しでも削減することができるのでしょうか??
おそらくですが、ダイエットを決意しただけではこれを行うのは難しいと思われます。
何故ならば、自分の机の上という普段視界に入ってくる場所に当たり前のように置いてあるポテトチップスという存在がある限りは、ポテトチップスがその人の視界に入った瞬間に、
「いつものようにポテトチップスを食べよう」
という謎のスイッチが頭の中で入ってしまい、
「どうしても、ポテトチップスを食べたい、我慢なんてできない」
という情動にスイッチが入ってしまい、食欲が高まってしまい、結果的に目の前にあったポテトチップスに思わず手を伸ばしそれを食べてしまうと思われるからです。
たとえ、視界の端であっても、いつの間にか無意識がポテトチップスという物から発せられる視覚的なデータを受信してしまい、
それを無意識下で「いつものようにこれを食べるべきだ、それが平常だ」と勝手に処理されてしまい、
それが「ポテトチップスを食べたい」という情動に繋がると考えられます。
無意識であっても、ポテトチップスという物のデータを受信し知覚してしまうと思わず手を伸ばしてしまいがちであるという話は、
例えば、テスト勉強をしながら(意識的には勉強のことを考えつつも)利き手とは逆の手でいつの間にかお菓子の袋からどんどんお菓子を口の中に運んでいって気がついたらお菓子の袋の中に何も入っていなかった、
という状態と似ているのではないか、と考えています。
すなわち、このような人がダイエットを成功させるためにはポテトチップスをそもそも食べないようにするという具体的な行動を積み重ねる、あるいはポテトチップスを食べるという悪い行動、を削減する必要があるわけですが、
そのために最初に重要なのは、意識下でも、無意識下においてもポテトチップスという物の知覚データをそもそも受信しないことになります。
具体的には、ポテトチップスが視界に入ってこないように、ポテトチップスの入った袋を捨てたり、そもそも自分の生活圏内に入って来れないようにするという処置が有効です。
無意識下でポテトチップスという物のデータを受信してしまうと、そのまま自動処理として、ポテトチップスを食べるという行動に接続されてしまいます。
これはこの人が「普段からポテトチップスという物を食べるのが習慣化されており、それが当たり前になっている」からこその無意識下における処理です。
最近は、クラウド会計ソフトなどでも、過去の取引登録データの集積に基づいて取引があるたびに「自動記帳」するように学習するようになってきていますが、
それと同じように私たちの無意識も毎日「これが平常な処理なのかな??」と考えながら過去の経験に基づく学習をしているのです。
そして、変な処理がされてしまっている場合には、巧い具合に修正の指摘を入れないと間違った処理であっても「これで多分あっているのだろう」などと処理してそのまま直らないままになってしまうわけです。
このことから、無意識が勝手に日常的に処理していくものの中から不適切な処理があった場合それを意識的に修正していく必要が出てきます。
しかし、難しいのは会計ソフトのように、明らかに間違った処理がされていると知識として分かっている人は自分で後から直せますが、そもそも正しい処理なるものが分かっていない素人にしてみると、ソフトによる自動処理が間違っているのかもわからないのでチェックなんてできないし、どう修正を行えばいいのかもよく分からないという状態になりがちなのです。
しかも、「いつのまにかポテトチップスを食べてしまっていた」事例だと、意識することなく既に行動までが終了してしまっているので、会計ソフトの仕訳を後から正しい物に修正するとは異なり、後から自分自身の行動その物を修正するということはできないわけです(だってハッと気がついた時点でそれは過去時点の行動になっていますからね)。
この場合は、間違った仕訳処理を後から修正するのではなく、会計ソフトで言うところの学習された「自動仕訳ルール」そのものを修正しないと次も同じ事を繰り返し続ける事になります。
「ポテトチップスをいつのまにか食べてしまった」事例の場合は、
ポテトチップスが目の前に存在する→いつもポテトチップスを食べるのが当たり前→ポテトチップスをついつい食べたくなる→ポテトチップスを食べる
というような「自動仕訳ルール」のような物が無意識下において既にできあがってしまっているのです。
そして、じゃあ、この無意識における「自動仕訳ルール」擬きを修正すればいいんでしょ、という話になるのですが、
おそらくこの「自動仕訳ルール」擬きそのものを書き換えるためには時間が必要になります。
すなわち、無意識は「その人にとっての当たり前」を元に学習していくため、
ポテトチップスが目の前に存在する→いつもポテトチップスを食べるのが当たり前→ポテトチップスをついつい食べたくなる→ポテトチップスを食べる
という「その人にとっての当たり前のこと」を
「毎回この処理を行っているのが当たり前だと思っていたが、どうやら当たり前ではなさそうだ」
と無意識に学習してもらう必要があるため、そのための時間が必要になります。
会計ソフトでは「自動仕訳ルール」を単に書き換えるだけなので一瞬で終わるのですが、この辺りが人間の面倒なところです。
したがって、そもそもこの「自動仕訳ルール」擬きそのものを発動させないようにしてしまうのが一番早いわけです。
そう、この恐るべき「自動仕訳ルール」擬き、すなわち悪習慣を一気に取り除く方法として手っ取り早い荒療治が断捨離なのです。
スマホ依存などもかなり手強いですが、まずはスマホが視界に入ってこないようにできるかが勝負です。
最近はスマホの禁欲グッズ、時間制約グッズも出ているようですが、同時に「視界からスマホを消す」という措置は忘れずに行って下さい。
スマホが視界に入っていると、スマホという物の存在のデータを無意識に受信してしまうので、結果的にルールが遂行できず、「無性に落ち着かず、イライラするという情動」が生じやすいです。
そして、「自動仕訳ルール」擬き、すなわち私たちの中に大量にストックされている習慣は自覚的に形成されたものもあれば、無意識のうちにいつの間にかできてしまった習慣もあるのです。
特に、後者はそもそもその存在に気づきにくいので注意が必要です。
おそらく自分とは全く違う習慣を持つ他者の存在との出会いがないとそもそも気づきにくいと思われます。
また、私はいわゆる片付け習慣を身につけることをこれまで意識してきました。
何故、片付け習慣が大事になるかというと、「住環境の最適化」すなわち、無意識を刺激するデータ受信の内容や量をコントロールすることによって私自身の無意識における行動、習慣を事前の策によってコントロールするためです。
片付けがされていない状態を放置してしまうと、重要ではない、余計な物ばかりが視覚情報として無意識にデータ受信されてしまい、無意識を大量に刺激してしまうためワーキングメモリを浪費しやすく何もしていないのにもかかわらず疲弊しやすいのです。
したがって、疲労感を感じないようにするためにも片付けのために気合いを入れることはそこそこオススメできます。
無意識における「自動仕訳ルール」擬き、いわゆる習慣は普段は水面下に隠れているにもかかわらず無意識による行動(私たちのほとんどの行動)に大きな影響を与えているため、ことあるごとに改善点がないかどうかチェックしてみることがオススメです。