勤め人として会社に働いている人は非常に多いです。
最近では、フリーランスとして活躍されている人も多いようですが、依然として多いのは会社員、勤め人です。
フリーランスとして生きれば自由が手に入るのと引き換えに安定を失い、
勤め人として生きれば自由はないが安定している
という区分けで語られているのをよく見ます。
これは大筋としては間違っている印象はありません。
しかし、私が社会人として勤め先で約2年間働いて改めて感じていることは、
勤め人の最大のメリットは、勤め先の看板やブランドやその他の資源を利用することによって、「自分の身の丈以上の仕事を経験できる」点であると感じています。
これは特に、部下や後輩の立場の人たちが入ってきた社会人2年目になって特に感じています。
まず、フリーランスとして独立する場合のリスクとして「自分の身の丈以上の仕事が受注できない」というリスクがあります。
大抵の場合、「今のあなたはこれができるということのようなので、この仕事をお願いします」ということで仕事が頼まれることになります。
いわゆる、「実績が必要」ということですね。
若ければ「若いのに〇〇していてすごい」というプレミアムがつきますが、残念ながら、これは時とともに消え失せます。
たまにネットの世界で学生などの若い人たちが活躍していることがありますが、
若い故にチャンスをもらえているということが往往にしてあります。
その時にもらえたチャンスを次に活かせた人と全く活かせなかった人でその後の明暗が別れるわけです。
そのチャンスをその後に活かせなかった場合、「実績が積み上がらない」ということになるので、
その時の実績以上の仕事は来ません。
そして、一つの実績を持っていたとしても世の中の動きは非常に早いのですぐに陳腐化して頭打ちになります。
頭打ちになってしまって、その後も対策が取れずにジリ貧になると厳しい状況になります。
それでも、若ければまだチャンスが2回目に与えられる可能性がありますが、歳を取るほど大変になってきます。
一方で、勤め先で働く場合、会社の看板で仕事が入ってきます。
会社の中には新人だけではなく当然ベテランもいるので、新人においては実績がなくても仕事が来ます。
そのため、若い新人にとっては「大した実績がないにもかかわらず、実績を積み上げることができる絶好のチャンス」になります。
もちろん、何も考えずにただ言われたことばかりをやっているだけでは体験をしていても経験はできないので、自分が手に入れたい実績に応じて頑張るべきであり、それゆえに「将来のあなたのキャリアプランは?」のようなことが聞かれるわけです。
このように勤め人は「身の丈以上の仕事を経験できる」という特権を持っています。
しかも、その時に結果が出せなくても給料としてお金は支給されます。
これは、いわゆる「レバレッジがかかっている」状態ですね。
借金を用いて手元にある現金以上の資金で不動産投資をすることがよくあると思いますが、
このような最小力で最大力をだす「てこの原理」のようなものをレバレッジというわけですが、
不動産投資におけるレバレッジと同じようなことが、勤め人の仕事においては起こっているわけです。
よく、「大企業に勤めているからと言って、自分の方とイコールであると勘違いするな」ということが良く言われます。
これは、不動産投資で言えば、「高額な不動産を所有しているからと言って、それがあなたの純資産、自己資本ではない(銀行からの借入の分は他人資本でありあなたのものではない)」というのと同じようなものです。
結果を出して、総資産は増えているように見えるが、他人の力に頼っているゆえの結果なのだから、自分のものであると勘違いするなということですね。
たまに結果を出したことによって、「自分には能力があったのだから、自分は努力したのだから結果がついてきたのだ」ということをすぐに考える人がいますが、それは早計な場合があったりします。
優れたスポーツ選手が「周りの人や皆さんのおかげで結果を出せました。感謝します。」と言いだすことがありますが、
自分の努力や能力だけではなく、それを発揮するための土台を実は他人が作ってくれていたということがあったりするのです。
受験勉強の文脈でも「私は一日20時間勉強頑張りました」と話している人がいたりしますが、
そもそも「1日20時間を勉強に集中的につぎ込むことができる状態」まで持っていくためには、家事などを自分でやることがほぼできないと考えられますし、誰かがその人を金銭的、物質的に支えていた場合が多いと思います。
このような書き方をすると、あたかも「自分の努力だけで結果を出せているわけではないのだから、総資産を重視するのではなく、純資産部分を重視するべきだ」ということのみを主張したいかのように見えますが、個人的にはちょっと違うかなと思います。
というのも、人生の時間は有限ですので、純資産を増やすにしても時間が、寿命がそもそも足りないということがよくあります。
そのため、レバレッジを最大限かけて、まずは若い頃には他人の力を借りて総資産を積極的に増やしつつ、時間を味方につけて自分の純資産部分を堅実にかつ普通に取り組むよりも早く積み上げることが重要になると思います。
そのような意味で若いうちに大企業などに勤めてレバレッジを最大限掛けつつ、結果を出して、しかし、その全てが自分の力のみの成果であると勘違いしないように、他人資本と自己資本の比率を自覚しつつ、最終的には純資産部分を増やすという意識が重要になるのではないでしょうか。
特に、会社という組織にいると、部下や後輩という人とのつながりもできるので、彼らの協力を容易に得つつスケールの大きいプロジェクトを進めることが可能です。
自分がやる必要のないことを他人にやってもらう、いわゆる外注することもレバレッジの一種ですので、これを容易に行うことが会社ではできます。
以上のことを考えると、勤め人の最大のメリットは安定した給料でもなく、社会保険完備でもなく、「自分の身の丈以上の仕事ができること」にあると思われます。
代わりにある程度の自由を制約されてしまうというデメリットも確かにありますが、「会社の中でも自由になれる方法」を掴むことができればある程度このデメリットは軽減されるものと思われます。
具体的には2つあり、①その勤め先で唯一のスキルを持つ、必要不可欠な特殊な人材になるか、②経済的自由を達成し勤め先の給料に頼らなくても済むようにする、
あたりを目指すのが最も良い戦略かと思われます。
②の方を私はもともと重点的に目指しており、これは年々実感を持って自由になれてきているなと感じています。
学生の時にしっかりと頑張っていた人は最初から①を持っていたりしますね。これはもう強すぎます。最強です。
これからは①の方も目指すことができればかなり盤石な状態になると思われますし、人生を楽しくできるのかなと考えています。
同時に、「自分という資産」の総資産部分をまずは増やすべく、結果を出すためのレバレッジの掛け方などをさらに研究したいと改めて感じました。