ここ数年の間で
親ガチャ
という言葉が流行っていると感じます。
ガチャというのはおそらくソーシャルゲームのガチャのシステムからとられたものでしょう。
強いキャラクターやアイテムを求めてゲームの中でランダムにガチャを回すことによって、ゲームを楽しむわけですが、
どんなキャラクターが出てくるのか
どんなアイテムが出てくるのか
というのは完全にランダムであり、
ガチャを回すという運によって自分の手持ちのキャラクターやチームを強化することが可能になるわけですね。
ゲームの世界では課金しまくることによって、ガチャの試行回数を上げることができるため、
永遠に課金しまくることで、より強いキャラクターやアイテムを引きやすくなりますし、
課金ができない人であっても、
リセットマラソン、通常リセマラと呼ばれる行為によって、
例えば、ゲームの初期段階で回せるガチャを繰り返し回し続けることでなんとか有利なキャラクターやアイテムを当てるということができます。
ゲームの世界ではリセットが何回でも可能であることから、
お目当てのキャラクターやアイテムを当てるまでリセット&ロードを繰り返す
リセットマラソン
も行われているようです。
しかし、現実の世界ではゲームのようにリセットできないです。
すべての人は生まれてくる場合には親を選ぶことができません。
どのような親の元に自分が生まれるのかは完全に運任せであり、
リセットマラソンのようにやり直すことはできません。
まさに一発勝負
といえるでしょう。
このように、どのような親の元に自分が生まれるのかは運任せであるという意味で
親ガチャ
という言葉が出てきているようです。
この言葉にはもう一つ、
どんな親の元に生まれるかで子供の運命が自ずと決まってしまう
という悲観的な見方も含まれています。
すなわち、教育費などはもともと裕福な家庭の方が子供に対して費やすだけの余裕がありますし、
子供が望んだものをその都度与えることもできます。
SNSの普及によって、裕福な家庭の子供がこれでもかというほどに莫大な教育費をつぎ込まれていたり、欲しい物を買ってもらえる立場であるという事実を見せつけられるとともに、
そのようなことをしてもらえる子供とそうではない子供との間でどんどん格差が広がっていく様を見せつけられるわけです。
このように、
どの親の元に生まれるかによって人生の有利不利がおのずと決まってしまう
とか
だから、自分がいくら努力したとしても最初から恵まれている家庭に生まれた人には勝てない
といった悲観的な物の考え方が広がっているようです。
そして、
「自分は親ガチャに外れてしまった」
と感じている人がほとんどでしょう。
というのも、
上には上がいる
という話で、
SNSによって上の人たちは可視化されてきてしまっています。
最上位の人たちの生活ぶりを見せられてしまうと、
ほとんどの人が、
「ああ、自分は親ガチャに外れてしまった」
と感じざるを得ない状況に置かれているのです。
したがって、そもそも
「自分は親ガチャに当たった!ラッキー!」
と思っている人はごくごく少数でしょう。
ほぼいないと思われます。
むしろ、
「ああ、自分は親ガチャに外れてしまった」
と感じていませんか?
しかし、
たとえ、親ガチャにあなたが外れてしまったとしてもそこまで悲観する必要はないかもしれません。
というのも、
親ガチャに外れてしまった人特有の強みも存在するからです。
それは何かというと、
ある程度若い段階から
「自分の親は基本頼りにならないから自分で頑張って状況を好転させないといけない」
という気持ちになることができる点です。
これは
危機感
ともいえるでしょう。
家族に頼ることはできないということは基本的には自分が何とかするしかありません。
したがって、しかるべき努力をせざるを得ないのです。
このように、
幼いころの家庭環境が悪かったことがむしろ本人の強いバイタリティ精神につながった
という例は意外とたくさんあります。
投資の神様ともいわれるウォーレン・バフェットも
「自分が貧困家庭に生まれたのは幸運だった」
と述べているそうです。
親ガチャに外れてしまったことでむしろ
「親には全く頼れない、このままではまずい。やはり自分の人生は自分で努力して切り開かなければならない」
と感じることができるようになるのです。
このような強い危機感の気持ちがその人の飛躍へとつながるのです。
下手に何の問題もない家庭の下に生まれてしまうと、
「まあ余裕だからこんな感じでいいや。努力するのって大変だし。」
と感じてしまい、危機感の欠如ゆえに、鬼気迫るような努力ができなくなってしまうのです。
危機感というのは人の気持ちを強く動かし、行動力を飛躍的にアップさせます。
親ガチャに外れてしまったあなたが持つ強みはまさしくこれでしょう。
親ガチャに外れてしまったからといって悲観する必要はありません。
むしろ、
「親には全く頼れない、このままではまずい。やはり自分の人生は自分で努力して切り開かなければならない」
本気でそう思えるのであれば、
あなたは親ガチャに当たった人が持っていない財産を実は既に持っているのです。
親ガチャに外れてしまったあなたが持つこの強みを大事にしてください。
「ああ、自分は親ガチャに外れてしまった」
という単なる愚痴で終わるのではなく、
むしろ、
「親ガチャに外れてしまったが、それゆえに自分はこのような到達点までこれた」
と言えるようになれるのです。