以前、自称本業+副業+投資で年収2000万円を超えたとする人のツイートが話題になっていました。
この人は自称独身貴族だそうですが、
それによれば、
【年収2,000万円を超えると?】
・値段を気にせずご飯を頼む
・アパホテルに泊まれなくなる
・20万超えのタワマンに住める
・1人3万超えフレンチに行ける
・タクシーへ乗る罪悪感が消える
・ルームサービスでカレーを頼める
・迷わず特製ラーメンが食べられる
正直使いきれません。世界変わります。
https://twitter.com/oneone_blue/status/1585895606312398851
私はこれを見て、
「なるほど。こういう人もいるのかな???」
などと思いました。
正直、あまり共感はなかったです。
というのも私とはちょっと金銭感覚が違うと感じたからです。
それでちょっと考えてみましたが、
年収2000万円overの人のお金の価値観は、年齢、職種、家族構成等によって大きく異なるだろうと感じました。
これについて以下書きます。
まず、収入の部分について考えてみますが、
「この年収2000万円overの人はそもそもどういう稼ぎ方をしているのか?」
ということを考えてみるのが重要でしょう。
多くの人は勤め人として、
勤め先からの毎月の固定給+ボーナスなどの臨時収入
によって収入を得ているので、年収2000万円ときくと、
ボーナス年4ヶ月分(夏冬2ヶ月)の場合:手取り約75〜81万円
といったイメージになる、という目線になることでしょう。
大企業などで順当に勤めて40歳から50歳になるという場合には上記のような配分になる可能性が高いでしょう。
しかし、もっと若い年齢、20代や30代で年収2000万円の場合は、このような配分になるとは限りません。
例えば、月額給料が65万円程度でも、ボーナス、インセンティブの部分だけで1200万円以上もらえるところも存在します。
このような場合でも、合計するとおおよそ年収2000万円に届きます。
逆に、勤め先からの月額給料が200万程度もらえるところも、12か月分だと2400万円なので、これも年収2000万円を超えます。
月額給料を200万円もらえる勤め先は日系にはそもそも存在しないのではないか?と感じる人もいるかもしれませんが、職種によっては存在しますし、高い専門性が求められますが20代でもこれくらいもらうことも可能ではあります。
ちなみに、上記のような月額給料200万円もらえる職場は、実際にはそこにさらにインセンティブ報酬分が加算されるので、その年の業績によっては、年収3000万円も超えてくるといった形になります。
ちなみに、
「私は英語とかできないからそういうところにはいけない」「私のTOEICの点数が低すぎる……無理」
などと考えている人もいるかもしれませんが、上手くチャンスに乗ることができれば、良い転職を行うことも可能です。
話がそれましたが、上記のように、
勤め人という分類だけで見ても、同じ年収2000万円の場合であっても、
確実にもらえる固定給の部分
と
不確実なボーナスの部分
の配分がだいぶ変わってくる場合があるのです。
そして、勤め人にお金を払う側である経営者の目線で考えてみるとわかるかと思いますが、
月額給料が65万円程度でも、ボーナス、インセンティブの部分が多い
という支払い方の方が、
月額給料200万円を支払う
という支払い方よりも、経営上は安全です。
これは、万が一、雇ってみた人が相性が合わないとか、思っていたよりも能力が足らないといったことが起こったとしても、前者の支払い方であれば、そこまでリスクが高くないためです。
あなたが経営者ならば、真っ先に前者の支払い方を検討するはずです。
もらう側の立場だけではなく、支払う側の立場に立って想像力を働かせましょう。
そして、社会保険料等の問題から、敢えて固定給の部分を調整している場合もあります。
そうなってくると、多くの場合、
月額給料が65万円程度でも、ボーナス、インセンティブの部分が多い
と言った形、すなわち
確実にもらえる固定給の部分
はそこまで多くはない、といった働き方の人たちが増えてくるということはなんとなく想像がつくと思います。
そうなると、年収2000万円を仮に勤め先からの給与として稼ぐという形だけを考えてみても、
実際には、「確実に」年収2000万円に届く働き方をしている人よりも、「調子が良ければ」年収2000万円も十分にあり得るといった働き方をしている人の方が数としては多くなるでしょう。
要するに、変動幅の大きい稼ぎ方をしているわけです。
勤め人の多くは、毎月確実に銀行口座に一定のお金が振り込まれる生活をしているので、
「確実に」年収2000万円に届く働き方をしている人
の方をつい想像してしまうのですが、実際にはそうではないパターンの方が多いと思われます。
ここまでは勤め先からの給与のみで年収2000万円の場合を想定して書いてきましたが、
実際には、これに加えて
副業
をやっていたり、
そもそも勤め人ですらなく、
自営業者(個人事業主、フリーランス)
の方もいるでしょう。
彼らも、多くの場合、
確実にもらえる固定報酬の部分
はそこまで多くはなく、
変動幅の大きい稼ぎ方をしている場合が多いです。
例えば、
「今年の1月は月収1000万円を超えました!」
と自慢していても、同じ年の2月から12月までは鳴かず飛ばずといったことも十分にあり得るのです。
上記でも注意喚起していますが、たいていの場合、チープな儲け話は「嘘はついていない」場合が多いのでしっかりとその意味を見破る必要があります。
見破れないと、
「勘違いしたあなたが悪い」
などと言われるような結果になりかねません。
そして、例えば、本業+副業+投資で年収2000万円を超えたという人の場合、
さらに
投資
という収入源が本業及び副業に対して追加されることになりますが、
投資についてはいわずもがな、変動幅の大きい稼ぎ方といえるでしょう。
マイナスになる可能性も十分にありますが、
たった一日で勤め先からの給料額以上に稼ぐことも可能です。それほど変動幅は大きいです。
時折、専業投資家の方もいらっしゃるようですが、(トレードの手法にもよりますが)その稼ぎの変動幅の大きさゆえに、個人的には、年収2000万円以上をコンスタントに投資だけで稼げる人以外はこれを専業にするのはやめておいたほうがいいのではないかと考えています。
時折、
「今年は投資だけで1000万円以上稼げたし会社辞めるわ」
などと宣う人もいますが、長い目で見ると結構リスクが高いと考えています。
ここまで、
「年収2000万円overの人はそもそもどういう稼ぎ方をしているのか?」
について話してきましたが、
変動幅が大きく、確実にもらえる固定給の部分はそこまで多くはない稼ぎ方
が多いと考えられます。
そのような状況の人が多いとすると、
その人のお金の使い方の価値観というのもなんとなく想像がついてくると思います。
すなわち、
「今まで、毎月200万円もらえているし、ボーナスももらえているから、今後も同じくらいもらえるだろう。今後も俺は安泰だな!」
と呑気なことを考えている人はそこまで多くはないだろう、ということです。
むしろ、私が見る限り、仕事ができる人であればあるほど、
「いつまでもこの状態が続くとは限らない」
「安定は存在しない」
という緊張感を持っていることが多いです。
いわゆる、
勤め先からクビになる可能性、
大口顧客から契約を切られる可能性、
あてにしていたお客さんから仕事の申し込みが来ない可能性、
転職などによってボーナス部分がそこまでもらえない可能性、
転職したくてもそこまで待遇が良くならない可能性、
などもしっかりと考えている人も多いです。
そのような考えを持っている人は、
「基本的には、確実にもらえる固定給の部分で最低限生きていけるようにした方がいい」
と自然と考えるようになるでしょう。
堅実に行くならば、そのような発想になります。
時折、高収入かつ低支出の人が存在しますが、堅実な人が多いです。
特に投資に力を入れている人は、投資に対して最大限の入金力を込めたいがゆえに、それ以外の支出に関してはかなり厳しい目線を持っている場合も多いです。
投資家の人は割引クーポンなども積極的に活用して無駄のないお金の使い方をすることも多いです。
とはいえ、この話を聞いてあなたは、
「え?でも、今を楽しむこととかも重要だよね?」
と思うかもしれません。
それはその通りだと思われます。
未来への備えのみをすると、つまらなくなってしまうので、今を楽しむことも重要でしょう。
ところで、日本には、
「ハレ」
と
「ケ」
という言葉があります。
日本の民俗学者柳田国男が定義した言葉とされ、
大筋、
「ハレ」はお祭りや年中行事などを祝う、特別な日、非日常のことを指し、
「ケ」は普段の生活や日常という意味があります。
「ハレの日」といった表現を時折見かけますよね。
そして、
「基本的には、確実にもらえる固定給の部分で最低限生きていけるようにした方がいい」
という考え方は、
「ケのための支出にそこまで費やさない」
という考え方であって、
一言でいえば、生きていくための最低限必要な基礎生活費にはそこまで支出しない、という考え方になるでしょう。
「ケの支出」はまさに日常のための支出であり特にあなたの人生を大きく変えるものではありません。
しかし、家族構成によってはそれなりの支出になるでしょう。
独身の人の場合の「ケの支出」は大した額にはならないかもしれませんが、
普通の生活をしているつもりなのに、月50万円ぐらいは必要だ、という家庭なども存在します。
その一方、「ハレの支出」はつまらない支出ではありません。
それは結婚式だったり、
非日常的な出来事、
特別な体験をするための支出であり、
その内容によっては、あなたの人生を大きく変えてくれる無限の可能性を秘めたものです。
「ハレの支出」の内容によっては3000万円ぐらいポンと出しても、それ以上のものがリターンとして返ってくることもあります。
年収2000万円overの人というのは、
このような「ハレの支出」に対して、支出額を増やすことができるだけのポテンシャルを秘めています。
したがって、彼らは
「ケの支出」に対する価値観はさほど変わらないが、「ハレの支出」に対する支出額を大事な時に大幅に増やすというムーブが可能になります。
これが大きな特徴と言えるでしょう。
そして、
「ハレの支出」に対する目利きが良い人であればあるほど、加速度的に人生を好転させることができるようになるのです。
それは、「ハレの支出」と「ケの支出」のメリハリがついている状態ともいえるでしょう。
ちなみに、
「ケの支出」に対する価値観は本当に変わることがないのか?
と言われると、
変わることはあると思っています。
それはどのような場合か?
いわゆる経済的自由を達成したら「ケの支出」の価値観は変わるでしょう。
すなわち、
これからの将来の「ケの支出」の予定金額を賄えるレベルの資産額を手に入れることができた場合に、
「ケの支出」に対する価値観が変わりやすいと言えるでしょう。
一言でいえば、お金の優先順位が下がるため、
資産所得で賄える範囲で、タクシーなどを気にせずに乗ったりだとか、ルームサービスでカレーを頼めるだとか、
一言でいえば、「時間をお金で買う」「手間をお金で買う」といった行為に対するハードルが大幅に下がることになります。
これは、飽くまでもその人の資産額によって決まるので、
年収が2000万円あろうが、年収1億円あろうが、年収10億円あろうが、関係ありません。
これは非常に重要なことですが、年収ではなく、資産額で決まるのです。
いわゆる、お金持ちと呼ばれる人はこのことを痛いほどよくわかっています。
したがって、仕事ができる、優秀で堅実な人の場合、
年収2000万円を超えているのに、「ケの支出」の価値観が変わらない場合もあれば、変わる場合もあります。
それは、経済的自由を達成しているか否かで決まるものであって、年収だけで決まるものではありません。
ちなみに、経済的自由の達成のために一番重要なのは貯蓄率です。
手取り年収の貯蓄率90%を超えれば、理論上は、3年程度で一定の水準まで達することが可能になるでしょう。
とはいえ、この場合は、同時に、投資に対する一定水準以上の知識や能力も求められます。
人によってはかなり難易度が高いと感じるかもしれませんが、この「修行」を乗り超えると新しい世界が見えてきます。
以上のように、
年収2000万円overの人のお金の価値観について考えてきました。
それはその人の状況によって変わり得るものですが、
大筋の傾向としては、
「ケの支出」に対する価値観はさほど変わらないが、「ハレの支出」に対する支出額を大事な時に大幅に増やすという非常にメリハリの利いたムーブが可能になるといえるのではないでしょうか。