百人一首をやったことがある人ならば分かると思いますが、百人一首には「むすめふさほせ」というものがあります。
みなさんは「むすめふさほせ(娘房干せ)」をご存じですか。なんだか呪文のようにも聞こえますが、かるた取りをやっている人なら、すぐに「一字決まり」という答えが返ってくるはずです。これは百人一首を五十音順(いろは順)に分類した際、その字ではじまる歌が1首しかない(一字で取れる)札が7枚あることを意味します。二字目で取れるのが「二字決まり」で、最大「六字決まり」まであります。具体的にいうと、「む」ではじまる歌は寂蓮の「むらさめの」しかありません。ですから読み手が「む」と詠んだ途端(耳のいい人は子音の「m」だけで)、すばやく「きりたちのぼる」札を取ることができるわけです。江戸時代は、百人一首を暗記しているだけで、人よりたくさん札を取ることができました。しかし競技かるたでは歌の暗記が前提ですから、それ以上早く取るための秘策として、「決まり字」が考案されたのです。
https://www.dwc.doshisha.ac.jp/research/faculty_column/2015-11-16-09-00
すなわち、むすめふさほせというのはそれを覚えておくことで、上の句を読まれた瞬間に札を取りに行くことができることから、競技カルタの際にはこれを覚えておいて、すばやく札を取ることが大事になると言うことですね。
決まり字は6字まであるそうですが、これをきっちり覚えておいて、全く覚えていない人と差を付ける必要があることは勿論、これを覚えていないとライバルに太刀打ちできないことから事実上覚えておかないといけない物であると言えそうです。
同時に、決まり字に対応する札がどの位置にあるのか、その勝負ごとに覚えておいて決まり字が読まれた瞬間にすかさず身体が動くように訓練しておかなければなりません。
これは、百人一首に限る話ではなく、日常生活でも「むすめふさほせ」を始めとする決まり字のようなものをどれだけ自分の頭の中にストックして事前準備をしておくのかというところでライバルに差を付ける必要が出てくるでしょう。
これは、抽象的に言えば、行動をするための意思決定基準を自分の中で予めどれだけ作っておけるのか、ということです。
例えば、転職を検討する際に当たっても、ぼーっと求人サイトを見るだけではいい転職先を見つけるのは困難でしょう。
待遇はこのくらいで、やりがいはこのくらいで、というような条件を予め自分の中において明確に決めておいて、その条件に合致する情報が出てきた瞬間に、間髪入れずにそれを押さえに行くだけの行動力を見せる必要があります。
何も考えていないと転職エージェントになんとなく導かれて決めてしまって後悔してしまう可能性が高まります。
これは賃貸物件などを探す際にも同様です。いい物件というのは掲載された瞬間に他の人に取られてしまう可能性があるため、自分の中でどのような条件だったら賃貸物件として即決できるのかという条件を予め創っておき、それに合致する情報が出てきた瞬間に有無を言わさず申込を入れる必要があります。
何も考えずに、なんとなく賃貸の仲介業者の説明を店頭で聞いているだけだと、お店側に都合の良い情報が優先的に紹介されたりしてしまうので、自分の中ではっきりとした条件を予め作っておくことが極めて重要です。
これは例えばご飯大盛り無料券などを渡されそうになった時の行動などにも反映されます。
ご飯大盛りが無料になるのだからといつでも喜んで受け取る人もいるでしょう。
しかし、私は受け取らないことが多いでしょう。なぜならば、自分が摂取したい栄養というのが私の中で予め決まっており、それはタンパク質などの栄養であることが多いため、そのような意思決定基準、行動指針とご飯を追加で食べるという行為とがそもそも整合しないことが多いからです。
むしろ、下手に無料だからと言ってご飯を追加で食べてしまうと太ってしまったり、血糖値が急激に上がってしまうというリスクも存在するため、かなり慎重に考えるようにしています。
予め、様々なことに対してリサーチをかけて百人一首に言う「むすめふさほせ」のように手堅い手段、メルクマールがないかどうか考えて、意思決定基準を予め作っておくことが行動力を高めるために必要になると考えられます。
それと同時に、意思決定基準に合致したときにすぐに現実的に行動を起こせるように身軽さを保つ、駆動力を保つ、という視点を持って事前準備を怠らないことが大事になると考えています。