私の部屋の中に置いてある物は平均的に見てかなり少ないと思います。
偶に私の友達が部屋に訪れると、「物が少ないね」というコメントをもらうことが多いですね。
もっとも、よく話題になるミニマリストのように、部屋の中に全く物がないタイプではなく、ベッドやデスクなどにはお金をかけていることから、自分にとって必要な物に対してはしっかりと保有するタイプです。
貧乏であるが故に仕方なくミニマリストにならざるを得ない人もいるかもしれませんが、逆にお金持ちの人にもミニマリストのように部屋の中に物が少ない人が多いという印象です。
ここで、さらっと「お金持ちの人」と書きましたが、そもそもお金持ちの人というのはどういう人を指すのか、ということを考えることが重要だと思っています。
そもそも、人類の歴史を追っていくと、抽象的な富を大量に持っている人が裕福な人であるというとらえ方をされていますが、富を大量に持っている人の豊かさというのはその時代によって異なります。
例えば、農耕を始めた時代においては、米などを大量に蓄積することが可能になったため、これを大量に保有している人が富を持っている人であったはずです。
時代が変われば、土地をより多く持っている人が富を持っている人とされたり、その時代に通用していた貨幣を大量に保有している人も裕福な人とされていたわけです。
しかしながら、この点、現代ではどうでしょうか。現金を家の中に保有、いわゆるタンス預金をしている人はどれほどいるのでしょうか。これを厳密に管理するためには当然金庫などを用意する必要がありますが、その場合、金庫本体の値段と、その金庫によって埋められるスペースを維持するための費用が保管料としてかかります。
ほとんどの人は現金をタンス預金をせずに、銀行に預けたり、証券口座などで資産運用しており、富を物質的に保有しているのではなく、銀行や証券会社に対する「債権」として保有しているはずです。
すなわち、現金として物質的に富を保有しているのではなく、「債権」という目に見えない非物質的な形態で富を保有しているわけです。
そして、クレジットカードなどで必要な物の支払いを済ませることで、一度も現金を手にすることなく欲しい物、必要な物を手に入れることができます。
しかも、様々なインフラが発達してきているので、今や自宅でちょっと注文をするだけで家までご飯が配送されてきたりするわけで、非物質的な形態で富を保有していれば、クレジットカードを使用することで、すぐに必要な物を市場から調達することができるのです。
もちろん、配送料なども含めて市場から物を調達するためのコストはかかってしまいますが、逆に言えば、それすらまかなえるだけの非物質的な形態の富があれば何も問題は無いわけです。
このような現代の社会においては、人にも依りますが、わざわざ米を家に保存しておいて、米を保存するためのスペースを用意したり、米を炊くための炊飯器を保管しておくためのスペースも不要になってきます。
手元に物質的な富を保存しておく必要が無いのです。
最近だと、洗濯代行サービスなるものも出てきているようです。まだ使いにくいところはあるようですが、サービスのこれからを考えると、家の中に洗濯機すら不要という時代がやってきてもおかしくはないと考えています。
また、人によっては冷蔵庫や電子レンジすら不要になるような生活を既にしている人もいるようですね。
このように、技術やインフラの進歩により、そもそも生活において手元に物質的な物を置いておく必要がなくなってきているわけです。
ミニマリストが話題になる際には、「家具を断捨離しました」といって衝撃的な光景が披露されることもありますが、これもそもそも現代社会のサービスがこれを安価で可能にしているという現代的な流れや背景をとらえる必要があります。
ちなみに、ミニマリストの中には既にホテル暮らしという形を実現させている人もいます。ホテル暮らしと言えば料金が高いので庶民には手が出せないという現実もあるわけですが、これに近いことが既に家具の断捨離という形で既に庶民でも行えるようになっているのは注目に値すると考えています。
因みに、ここまでの話の流れで、あたかも物質的な富ではなく非物質的な富を蓄積する方が良いかのような流れで話が展開しているように見えるかもしれませんが、このあたりは短絡的に考えるのではなくバランスを大事にする必要があると私は考えています。
特定のインフラに頼って家具を断捨離しまくることはそのインフラに頼れなくなってしまった際にすぐに対応ができないというリスクも同時にはらんでいるわけですから、ミニマリズムを手放しに押し出すのは難しいと感じています。
大事なことは、富の形態は物質的な物に限らず、非物質的な物も存在するという認識を持ってどういう形で自分は資産形成を行っていくべきなのか、ということを真剣に検討することではないでしょうか。
非物質的な富には「時間」も含まれています。有限であるとされる時間という富をどう活用するのか、というのが肝になるのではないでしょうか。