現在出回っているAIを使いこなすことができる人は、いわゆる「優秀な上司」に限られていると言えるかもしれません。
まず、「優秀な上司」は、ビジネスの視点や戦略的な眼差しでAIを見ることができます。彼らはビジネスの問題を見るための分析方法をもともと理解しているため、AIの能力を最大限に引き出すことができます。彼らはAIを、単なるテクノロジーの一つとしてではなく、ビジネス戦略の一部として見ることができます。そうした見方をすることで、AIを単なる脅威としてみるのではなくビジネスチャンスや困難の解決策に変えることができます。
また、「優秀な上司」はチームマネジメントの過程で、人間とAIを上手に使い分けることができることでしょう。彼らは、自分のマネジメントスキルを駆使して、AIに特定の仕事を振り分けたり、AIに役割を与えたりすることができます。彼らは、AIと人間が協調して仕事をすることができるように、俯瞰的な視点で業務を調整することができます。
一方、AIを使いこなせない上司は、技術的な部分でAIの理解が不足しており、不安やストレスを感じることがあります。また、AIが自分の仕事を奪ってしまうのではないかと不安を抱える場合もあることでしょう。彼らは、AIをフル活用することができず、相対的に業務を円滑に遂行できなくなるかもしれません。
また、これは、さんざん指摘されていることではありますが、既存のAIに対して「使いにくい」とか「大したことがない」と言っている人は、そのAIに対して期待するべきアウトプットを要求することができるだけの指示の能力が備わっていないことが原因である場合があります。AIを使いこなすためには、最初にAIに対して何を期待するのか、どのようなアウトプットを必要とするかを明確にする必要があります。そして、そのアウトプットを得るにはどのようにAIを操作すればよいか、その仕組みを理解し、指示を言語化する必要があります。
また、AIは特定の問題に対してそれぞれ最適化されたツールであるため、どの問題に使用するかによっては、その効果があまり得られない場合があります。つまり、AIはあくまでもツールでしかなく、何をアシストしてくれるのかを理解しておかなければ、期待する結果を得ることができません。
これは、例えば、AさんとBさんという2人の部下がいたら、それぞれの得意や強みに合わせて適切に指示を出したりする必要があるのと似ています。AIにはそれぞれの特性や強みがあるためこれらに対する理解が必要です。
以上から、AIを使いこなすことができる人材は、単なるAIに関する技術の理解だけでなく、仕事における問題解決スキルや問題認識能力、経験的な知識といった、高度なスキルを持っている人となるでしょう。
そして、これらのスキルに加えて、AIに対して何を期待するのかを予め明確にし、的確に要求することができる指示力が必要となります。
AIを使いこなしたり、「すごい」と感じる人は、AIに対して適切な指示ができている人になります。これは翻って、部下に適切な指示を出すことでその部下の能力を最大限に引き出すことができる「優秀な上司」といえるでしょう。
AIを使いこなすためには、AIに対して何を期待するのかを予め明確にし、かつ、適切な指示を出すことが必要です。そのためには、部下に対して適切な指示を出す能力が必要となります。また、AIを使いこなすためには、ビジネスの視点や戦略的な眼差しを持ってAIを見ることができることが重要です。これらの能力は、チームマネージャーやリーダーが持っていることが多く、リーダーシップやマネジメントスキルによって引き出されることがよくあります。
つまり、AIを使いこなせる人は、もともと、業務上の知識や経験が豊富で、俯瞰的に業務を見て戦略を立てることができる上に、それぞれのAIに対する理解もありつつ、部下に適切な指示を出し、それらが持つ能力を最大限に引き出すことができるリーダーシップを持ち合わせた人、すなわち、一言で言えば「優秀な上司」であると言えるでしょう。