ふとしたことがきっかけで、
「自殺の危機経路」
に関するレポートを読みました。
以下の内容ですね。
「人はなぜ自殺するのか、どうやって、自殺へと追い込まれていくのか」
という副題がついています。
ここでは、ざっくりと、
自殺については、直接的な要因があるとは限らず、複数の要因が複合的に作用して自殺に至っていることや、たった1つの要因で自殺まで至る人は非常に少なく、多くは4つほどの要因を抱えて自殺に至ってしまう場合が多いこと、
そして、1つの要因が次の要因を呼び込むという連鎖が起こりやすいこと、
などが指摘されています。
これは、例えば、リストラに遭った人などが想像しやすいかもしれません。
リストラに遭うということは、失業するということにつながるので、失業保険をスムーズにとれる人はともかくとしてそうではない人は収入源が一つ一時的に途切れることになります。
この失業という要因から「お金が足りない」「生活苦」といった次の要因に連鎖し、そして、そのまま家計改善のきっかけがつかめないと「多重債務者」という形でさらなる要因を呼び込み、どんどんネガティブな要因が重なっていきます。
そして、これはジェンダーバイアスなどもあるかもしれませんが、
「一家の大黒柱であった旦那がリストラに遭ったことをきっかけに離婚することになった」
といったことが起こると、
失業というネガティブな要因に加えて、離婚という「家族不和」の問題も生じることとなってさらにネガティブな要因が積み重なることになります。
一般的に、男性の方が女性よりも失業後に自殺に至ってしまうという話はいたるところでされていると思われますが、これは一家の稼ぎ手である男性が失業することによって、単に失業することにとどまらず、
「あなたとはもうやっていけません」
と配偶者に離縁状をたたきつけられた上に、貯金もほとんどない、といった形で失業をきっかけに次々と連鎖的にネガティブな要因が誘引されることが原因でしょう。
逆に、一家の大黒柱の役割を担っていない妻の側がリストラされたところで、
「夫の方でメインで稼いでいるから、妻が失業したところで多少収入源が減っただけで家計としては問題はない」
といった状況であった場合、家族不和の問題や金銭面の問題が生じにくい、といった構造があるのかもしれません。
また、同様に複数の職業を既に手掛けている人の場合、一つの取引先から切られたところで「まあ、一つ減ってしまったかな」と感じるだけで大きなストレスを感じることはないでしょう。
「○○会社で安定して勤め人としての仕事をしてそこをメインの収入源としている男性」
の場合、
失業
というたった一つのイベントによって、それを起点にしたドミノ倒しのような不幸の連鎖が起こりやすいと言えるでしょう。
勤め人として一つの勤め先に依存するということは、このように自分の幸福感に関してまるまる依存していることにもつながりかねないため注意が必要です。
できることならば、失業などを始めとした一つの不幸とされるイベントが起こってしまったとしても、それが他の方面に飛び火しないように普段から人生のリスク分散をしておくことが重要です。
具体的には、
①一つの勤め先に依存せず、多数の取引先を得る(副業など)
②労働収入に依存せず、配当金などを始めとする資産所得を得る
③②が難しかったとしても、普段から貯蓄はしておくようにする
といった具合に、リスク分散を行うための対応が必要になるでしょう。
これらは一朝一夕にできるものではないため、普段からコツコツ取り組んでおくことが重要です。
少しでも対策をしておくことによって、ドミノ倒しのような不幸の連鎖を事前に食い止めることが可能です。