節約習慣によって、生活費の極小化を進めていくと何が良いかと言えば、現にある負債のみならず将来において発生するであろう負債をも削ることが可能になるためです。
普段の生活の中で、家計簿などを付けていても通常は、過去において発生した負債や現在において存在する負債しか可視化されません。
しかし、よくよく考えると、そもそも意識しない限り人間は習慣を変えることが難しい生き物なのです。
したがって、現在において月における生活費が15万円かかっていて、それがほぼルーティーン化されている人の場合、生活費が実質的に固定費化されており、将来における生活費も毎月15万円ずつかかる可能性が高いです。
これは新たな決意などをしないかぎり、減らすことは難しいと思われます。
したがって、固定費化されてしまった生活費が、すでに「将来においてほぼ発生することが確実となった負債」として未来から私たちを襲ってきます。
これは現在視点だと、まだ発生していない負債ではあるため、問題が顕在化されておらず、そもそも問題が起こっていることに気づきにくいというのが恐ろしいところです。
問題が既に発生したままであることを認識できていないと、「今月はちょっと奮発して追加で5000円くらい使わざるを得ないけど、来月の生活費から5000円分我慢すれば帳尻があるから多分大丈夫だろう」みたいな形で未来の自分の努力に期待してしまうわけです。
しかし、いざ、その未来の時点が訪れてしまった際には、「え、あと5000円節約しないと行けないの?ちょっとキツいな」と感じてしまい、ストレスを抱え込むということになりかねません。
そして、ストレスを感じてしまうとそのストレスを解消するために元の木阿弥に戻ってしまうのです。
節約をするというと、さしあたり今月分の生活費を頑張って減らすというイメージになると思いますが、実は、解決するべき問題として、今月分の生活費のみならずこれからの人生の将来全てに渡る毎月分の生活費の対策を同時にできるようにすることが肝要になります。
このような観点からは、節約を努力によって、苦行によって行うのではなく、支出の最適化を行う営みとして習慣化することが重要になってくることが分かると思います。
よく、家賃や通信費などの固定費から見直すべきと言われているのは、やはり現在におけるちょっとした意思決定が将来にわたってダイレクトに影響を及ぼすからでしょう。これは今月何かをしたら来月以降は頑張る必要が全くないというのが重要な点です。
習慣化のプロセスも同様で、習慣を始めた頃は努力によって行動をする必要がありますが、習慣化を完了させた頃には努力を努力と思わない状況ができあがっているので、もはや気持ちの上で頑張る必要がなくなってしまうわけです。
そして、何度も繰り返しになりますが、支出の見直しにおける王様は間違いなく家賃です。特に都会に住んでいる人はそうです。如何に家賃を工夫して下げることができるかが鍵になります。その他は究極的にはおまけみたいな物です。
そして、家賃を下げるためにはさまざまな努力やシミュレーションが必要になるというのがまたこの話の難しいところです。具体的には、自分の生活設計を見直して必要なものとそうではない設備や動産を精査して、我慢せずに、苦行を伴わない形での引っ越しをスムーズに行うということが重要になってきます。
賃貸物件ではなく持ち家を選択する際には更に様々な知識、資金や与信なども必要になることを考えると結構な難易度を要求されます。
しかし、このプロセスを乗り越えてさえしまえば、節約もとい支出の最適化が半ば習慣化の結晶として自動的に行われることになり、同時に将来において発生する負債も激減します。
そして、将来において発生する負債が激減すれば、未来の地点にいる自分を現在の自分が助けることができるようになるのです。
将来における悪い芽をさっさと摘んでしまうことができるわけですね。
未来の自分が大量の将来において発生する負債に殴られ続けることを回避することは、問題が顕在化する前に先回りしてつぶしているのと同様です。
喩えるならば、モグラたたきゲームをやっている中で、ただモグラが出てきた瞬間に初めて殴りに行くのではなく、そもそも中にいるモグラが出てこれないようにしたり、モグラを中にいる状態のまま倒してしまうことになるでしょう。
このような根治療法としての節約は、とても意義深い物であると思われます。
単に目先のお金を貯蓄しようと考えて努力するのみならず、将来における影響までも考えられるようになると、先見性を発揮できるので、さらに気持ちの上でも節約がはかどることでしょう。
これは私の実感としても、何度も内省を繰り返す必要があることから、決して一朝一夕で行える物ではありませんが、長い時間をかけて少しずつ取り組んでいけるとあるときから絶大な効果を発揮することができるため、おすすめです。