私がおおよそ20歳頃の時だったでしょうか。
「俺、借金7億円くらいあるんだよね」
と同じ年齢くらいの人に目の前で言われたことがあります。
当時の私は周りの環境の影響を存分に受けていたので、
借金=悪
借金=やめた方がいい、やめるべき
といった固定観念をいつの間にか持っていました。
借金だったらどんな内容であってもやらない方がいい、絶対NG
という感覚だったのです。
実際に、リボ払いによる負債が積み重なって自己破産をせざるを得なくなってしまったという人のエピソードなどを見聞きしていたというのも原因にあったかもしれません。
しかし、目の前にいる私と同じぐらいの年齢の人が
「俺、借金7億円くらいあるんだよね」
と言っている声の抑揚が自信に満ちているのを聞き、
彼の表情を見て、どこか不敵な笑みを浮かべているのを確認した瞬間に、
( ゚д゚)!?
となり、
私の借金に対するイメージが強固な固定観念に満ちていたことを悟ったのです。
その瞬間に、私は彼から固定観念に対する反例を示され、( ゚д゚)!?となったわけです。
「俺、借金7億円くらいあるんだよね」
という台詞は結局何が言いたいのか?と私はその瞬間に考え、
要するに、彼は借金額によって私に対して自慢をしたかったのだということに気づきました。
同時に、この話が実は自慢話であるということを私が気づけるかどうか試していたのですね。
普通に生きていると、借金額が多ければ多いほど「この人は最底辺の人だ」などと思ってしまいがちですが、
実は、そもそも大量に借金が可能な人というのは限られています。
300万円だとか、900万円だとかのレベルですといわゆる庶民であってもカードローンなどであっという間に到達してしまうのですが、
億を超えるレベルになってくるとかなりの与信が求められます。
億を超えるようなレベルの資金調達が可能なのはそのくらいのお金をその人が集められるだけの信用力が必要なのですね。
そう、信用力が低い人というのはそこまでそもそも借金をすることができないのです。
つまり、借金額が7億円くらいあるという話は裏を返すとそこまで誰かにお金を貸してもらえるだけの根拠を自分は持っているんだということを暗に示しているのです。
彼と出会えたことは、このように借金の金額によって他人にマウントをしかけて相手に話が通じるかどうか試してくる人が実は世の中に居るということを知ることができた良い機会でした。
因みに、この手の借金マウントを仕掛けてくるタイプの人は
不動産投資家
に結構多いです。
何故ならば、不動産を購入する際に金融機関から借入をすることによってレバレッジをかける人が多いためです。
融資の引き方にもよりますが、金融機関の目線ではBSを見て、債権を回収できそうな見通しが立たないとそもそも融資を下ろさないため、
総資産が10億円(ほとんどが不動産)で、負債も10億円となるようなパターンもあり得ます。
このようになってくると、負債が多かろうと返済が滞らない限りは特に何の問題が無いため、
借金額が多い=まずい状況
とは限らないわけですね。
したがって、不動産投資家の中には借金額を口にすることで暗に自分の総資産の多さを自慢する人が出てくるわけです。
ところで、書店やネットなどを見ていると、
「借金○○万円からの逆転!年収○○万円になりました!」
といったタイプの宣伝文句の成功者本を偶に見かけることがあります。
この手の本は読者の注意を引くためにこのような触れ込みをしていることが多いです。
すなわち、
凄く多い借金額だった=どん底を経験していた
という読み手の固定観念を利用し、
そこから逆転した!すごい!という物語を提供しているのです。
しかし、上記に書いたとおり、借金額の多さからは直ちにその人のどん底っぷりを把握することはできないのです。
もっと詳しい状況を聞かないとその借金がその人の人生のどん底を示しているのかがわからないですし、むしろ普通の人よりも恵まれているからこそ実現できた借金である可能性すらあるわけですね
したがって、私は
「借金○○万円からの逆転!年収○○万円になりました!」
という系統の宣伝文句を見ると、
詳しい状況が分からないとどうもコメントしにくい
と感じてしまいます。
むしろ、借金というものに対する多くの人が持つ固定観念を利用している宣伝なのではないか、と身構えてしまうのですね。
ちょっと斜に構えた見方かもしれませんが、このような見方もあるのです。