2023年は、やたらと株式投資の成績が良かった人が多かったせいか、
「一年間で5000万円増えました」
とか
「年初来から1億円くらい増えました」
といった比較的大きな成果をインターネット上で報告している人が多かった印象です。
景気が良いというか、すごく機嫌のよい人が多かったですね。
そして、
年初来から数千万円や億単位で成績を上げている人を見てみると、
ある程度長期間株式投資をし続けている人
が多いことに気付きます。
要は、彼らは例えば
「今年なんとなーく投資を開始したらめちゃくちゃ儲かりました!ラッキー」
「今年だけで10倍に増やせました!」
といった人たちではなく、
「10年や20年近く投資をし続けていて、年初の時点での保有金額はそもそも億単位になっています」
といった人たちが多いのですね。
投資は元本額が多いと同じ割合で伸びても、増える額が全く異なります。
例えば、一年間で5%の値上がりが期待できる銘柄に投資した場合でも、
100万円しか投資していない人は5万円しか得られませんが、
1億円を投資している人は500万円を得ることが可能です。
後者は、人によっては、
「自分が労働で年間で得ている金額よりも多い」
と感じるかもしれないです。
同じ割合で成績をたたき出していたとしても、実際に得られる金額は全然違います。
独立や開業、起業をして成功している人ならば、働くことによって年収1億円なども狙えると思いますが、
勤め人として働いている場合、よっぽど地位が高くないと、あるいは歩合制の色が強いところ、成果主義の強いところでもなければ、せいぜい年収数千万円のところが多いです。
そのため、2023年のように、
投資で年間Ⅹ000万円の評価益を得た
という場合、
「あれ?私の労働の価値とは……?」
とふと我に返ってしまう人もいるかもしれません。
因みに、これは実際に体験してみればわかることなのですが、このレベルの成績を収めると、勤め人の場合、
「一日で増える投資の金額が労働による月の額面月収よりも多い」
という現象も頻発します。
これは、例えば、月収100万円の人であっても、一日で株式の評価益が100万円以上増えてしまうので、月収100万円が様々な理由で控除された後の手取りの状態で振り込まれると、
「え?一か月分働いてこれだけ?」
と感じる場面も増えるということです。
これは、投資を続ければ続けるほど、
「偶にある」
というレベルから、
「結構ある」
というレベルになってきます。
このような話を聞くと、投資をやったことのない人は、
「それだけ増えるのであれば、すぐに投資だけに集中したほうがいいのでは?」
と感じるかもしれません。
しかし、上記のように、
ある程度長期間株式投資をし続けている人
の場合、
投資で年間Ⅹ000万円のプラスの評価益を得た
という場合であってもそのような考え方には実はすぐにはなりません。
何故ならば、
①投資で増やすためにはとにかく長い時間が必要であること
②そもそも、投資の評価額というのは、良いときもあれば悪いときもあること
③投資のために手を動かす必要はないため、その時間は労働で稼ぐ方が合理的である
ということを長年の経験から理解しているからです。
したがって、
「投資で得られた含み益はしょせんは幻」
ということもわかっていますし、
「今年の成績が良かったからといっても、来年になった瞬間に大暴落が起きても不思議ではないので油断できない」
ということもわかっていますし、
「投資で増やしながら、同時に労働で年収を得るのが一番大事」
ということもわかっているのです。
だとしたら、
投資で年間Ⅹ000万円のプラスの評価益を得た
としても
「何も変わらないのか?」
と言われれば、そのようなことはありません。
心理的な余裕は間違いなくできます。
そして、その結果、
「この仕事は微妙だな」と思ったら容赦なく断るという決断ができる
とか
「この誘いは微妙かな」と思ったら容赦なく断るということ決断ができる
という状態になっていきます。
要するに、
目の前に来たチャンスの中からより良いチャンスを厳選できる
という状態になります。
これは、断る力が高まっているとも言えるでしょう。
断らなければ特定の対象にリソースを割かざるを得ませんが、その決断によってよりリソースを割くべきところにリソースを割くことができなくなるというリスクが生じます。
余裕がなければ、このリスクがあったとしても、
「今断ってしまうと後々○○になってしまうかもしれない」
という心配に心が押しつぶされる可能性が出てきますが、
余裕があれば、
「いやいや。冷静に考えると、これに構っている場合ではない」
ということも判断しやすくなります。
「金があるだけでは意味がない」
「本当に大事なことはお金ではなくて~」
という話は世間的にもよく言われます。
これは、確かにその通りでしょう。
しかし、より良い選択や決断を行うため、より大事なことに集中するために、お金を増やす力というのはそのための土台のような力を発揮します。
お金というのは、縁の下の力持ちなのです。