「アンケート調査はするな!そんなことしても集客できない」
という話で有名なのは、
マクドナルドの「サラダマック」のエピソードです。
通常、マーケティングのために、顧客の声は大事にされるべきだが、そこには落とし穴があるという例ですね。
マクドナルドがアンケート調査をしてみると、
「ヘルシーなサラダが食べたい」
「ヘルシーじゃないからマクドナルドには行きません」
こんな意見が多くあったので、ヘルシーな「サラダマック」を開発。お客さんの声をしっかり聞いて作った商品。
https://www.miyoshiya-dx-service.com/2022/07/11/miyoshiya-blog121/
これは売れる!と自信を持って発売しました。
しかし、、、
「サラダマック」は、期待に反してほとんど売れず、あえなく販売終了となりました。
このエピソードは、単純にアンケートをとっても上手くいかないということを示唆しているでしょう。
そもそも、マクドナルドと言えば、
ポテトやハンバーガーを売っているところ
というイメージが強いので、
本当に健康に気を使っている人はそもそもマックに用がないのですね。
もっというと、マックという空間にすら近寄りたくないのです。
そのような人は、
サラダチキン、ブロッコリー
などを食事のメインに据えているため、
サラダマックといった、中途半端にサラダが入っている炭水化物を食べる気なんてさらさらありません。
仮に、
「ヘルシーじゃないからマクドナルドには行きません」
という声が本物であるとすれば、
中途半端なことをせずに、糖質につき完全にゼロの商品を創ってそれをメインの商品に据えるしかないのです。
一方で、
実際にマックに通っている人は、そのような意識が高い人ではなく、
「ポテトやハンバーガーのような美味しくて糖質たっぷりの物を食べたい!」
という動機でマックに通っている一方で、
「でも、健康は大事だからできる限り気を使いたいよね」
という意識も持っているのでしょう。
そのような自分自身に対する「理想」がアンケート結果に反映されたのかもしれません。
恋愛においても、
「理想のタイプは優しくて性格が良くて穏やかな人で」
などと口では言っているものの、実際には、
「顔とスタイルに惹かれたのかな?」
と感じるような言動を取る人はたくさんいます。
これも、実際には、顔とスタイルに惹かれつつも、
「でも、優しくて性格が良くて穏やかな人でもあった方がいいよね」
という意識があるのでしょう。
彼らは自分自身の「理想」のイメージを語っているだけであって、それが実際の行動に反映されるとは限りません。
そして、彼らが疲れているときは、
「マックで美味しいポテトやハンバーガーを思いっきり食べた~い」
という欲求が体の内側から強い衝動として湧き上がっているため、とにかくカロリーの高そうなハンバーガーをついつい注文したくなってしまうのです。
このようなシチュエーションでは、如何にもお腹を満たしてくれなさそうなサラダマックなる商品は全くと言っていいほど魅力的には映らないでしょう。
結果的に、マックという
「ポテトとハンバーガーを好んで食べる層が集まる空間」
においてはサラダマックという新商品はほとんど売れることはありません。
真に健康に気を使っている人は、そもそも、
「ポテトやハンバーガーを好んで食べる層が集まる空間」
をそもそも好んでおらず、マックという「空間」に興味がない、むしろ常日頃から避けているのです。
何故ならば、そのような意識の人たちと一緒の空間を共有しているだけで、彼らの「悪影響」を受けることが容易に想像がつくからです。
しっかりと健康に気を使っていたり、何かに対して頑張っている人というのは、中途半端な意識の人とできる限り関わろうとしないのですが、それにはやはりそれ相応の理由があります。
健康という一大ジャンルにおいても、
「真の意味で健康になるために、計測を欠かさずに、試行錯誤しながら健康体を目指そう」
と考えている人はそれに特化した手段をガチで選びますが、
「健康は大事だって聞くし、大事な気もする。だから、健康に良さそうなものをなるべく選ぼう」
と考えている人は、
「なんとなく健康に良さそうなパッケージ、謳い文句」
が書かれている商品を手に取るだけで満足してしまいます。
結果的に、両者の間には、近そうで遠い、そんな意識の差、心の距離が生じるのです。
そして、そのような心の距離が、「空間」という人々の集まる場所にも影響します。
スポーツジムにおいても、
「ガチ勢が集まる場所」
と
「カジュアル勢が集まる場所」
とでは、心の距離ゆえに空間が断絶されていることが多いです。
後者は、空間のコンセプトとして、
「健康のために軽い運動はしておいた方がいいと感じているけれど、そこまで真剣にやる気もないし、色々な事情からきつすぎたらすぐにやめる」
という人が集まりやすい空間となっているのです。
マックもそうですが、それぞれの空間にはイメージやコンセプトが存在しており、それに惹かれやすい人もそれぞれ異なります。
そのような空間のコンセプトに反する商品やサービスを提供しても、結果的に彼らの需要にこたえておらず、売れない、ということになりかねないのでしょう。