ここ最近に限った話ではありませんが、世間では
生産性を上げましょう!
というタイプの目標をよく聞きます。
そもそも生産性の定義とはなんぞや?という問題もあるのですが、
これは、多くの場合、何らかの資源(時間、お金、その他)の一単位あたりの生産量を上げることを指しているようです。
例えば、今まで1アールの土地を使って、特定の作物Aを10の生産量で生産していたところ、
何らかの方法で0.5アールあたりの作物Aの生産量が10になった場合
に生産性が上がったというイメージのようです。
仕事の場合には、今まで残業しなければ終わらなかった仕事を定時前に終わらせることによって生産性が上がったと言えそうですね。
では、この生産性の向上というのはそもそも何のためにやるのでしょうか?
特に勤め人の場合ですと、
「生産性が上がるメリットがぶっちゃけ自分にはない」
と感じることもあるかもしれません。
すなわち、例えば、生産性が上がって自分のやっている仕事が定時時間の前に終わるようになっても、
「君、早く終わったんなら、こっちもやってよ」
と言われ望んでもいないのに仕事が増えてしまう可能性があります。
しかも、やったことのない仕事だった場合、その対応に手間取ることも多いため、
むしろ、生産性を上げずにダラダラと仕事をして、定時後まで何となく仕事をやっているままの方が良いとか気が楽になると考えるようになると思います。
この発想を用いると、
「生産性とか別に上がらなくてもいいのでは?」
と考え始めてしまうのも無理ありません。
そう考えると、多くの企業でなんやかんやで生産性が上がらない理由もわかるような気がします。
そもそもやるメリットが見えないから別にやりたくもない、ということですね。
意義が特にない、自分の中で思いつかないのであれば、
「生産性を向上させよう!」
という目標は立てるだけ無駄に終わるでしょう。
とすると、やはり、
そもそも何のための生産性の向上なのか?
と考えざるを得ませんね。
上の例で行くと、
今まで1アールの土地を使って、特定の作物Aを10の生産量で生産していたところ、 生産性を上げることによって、0.5アールあたりの作物Aの生産量が10になった
という状況になった場合に、
「ふーん。それでどうしたの?」
となったら生産性を上げる意味はないですよね。
しかし、自分が土地を1アールしか現実的に使用できないという人の場合だったらどうでしょうか?
仮に作物Aが生活必需品であって自分が生きていくためには生産量10を毎回確保しなければいけないとしたら、1アールの土地を使用して作物Aの生産をし続けるだけでいつのまにかその人の人生が終わります。
生活のために労働していたらいつの間にか人生が終わっていて「こんなにこの仕事のために自分が働く必要があったのか?」と漏らす人のようになります。
仮に、その人が作物Aだけ作るだけで満足しているのであれば、これで全く問題は起こりません。
しかし、そうではなく、作物Bの生産を望んだ場合、作物Aの生産性を上げることができなければ、作物Bの生産を行う機会は全くやってこなくなります。
したがって、
今まで1アールの土地を使って、特定の作物Aを10の生産量で生産していたところ、 生産性を上げることによって、0.5アールあたりの作物Aの生産量が10になった
という状況を生産性を上げることによって成した後に、
余った0.5アールの部分に作物Bの種まきをする必要があります。
この点、土地を1アールどころか10アールとか大量に持っている人であれば、
「わざわざ生産性とか上げなくても余っている土地に作物Bの種をまけばいいじゃん」
となるのですが、
もともと資源が乏しい人は何とかして生産性を上げなければ作物Bの種まきを行う機会は永遠に訪れないわけです。
そして、この資源の種類において一番重要なものは「時間」でしょう。
なぜならば、お金は増やすことが可能ですが、ほとんどの人にとって「時間」を増やすことは困難だからです。
したがって、特に「時間」という資源の物差しにおける生産性の高さというのはとても重要になってきます。
手持ちの事実上の可処分時間が1万時間ある人と、100万時間ある人とでは何をするにしても後者の人の方が断然有利です。
したがって、作物Bのように「新しい何かに挑戦したい」と考えている人は、可処分時間を最大限にする必要に迫られることが多く、可処分時間を最大限にするために作物Aのために使用される土地のように「生活のために必要不可欠となっている時間」を削減するために生産性を上げる必要があるのです。
このように、
そもそも何のための生産性の向上なのか?
と考えていくと、自分が行うべき具体的な行動が出てくると思います。
世間では、
「生産性の向上のためにこれがおススメ!」
という情報が出回っていますが、
これをそのまま真似するのではなく、
自分の人生の目的、ビジョンと照らし合わせて、
そもそも何のための生産性の向上なのか?
と考えて、具体的な方策を導き出し、それを試行錯誤するのが良いでしょう。