本当なのかどうか真偽はわかりかねますが、
世の中には不食を続ける、すなわち食べない生き方を実践し続けている人がいるらしく、それに関連する書籍なども見かけることがあります。
食べ物どころか、水も飲まないとする人もいるため、
「……それはさすがに嘘ではないか?」
などと疑いもかけられているようです。
最近では一日一食や少食をしている人は少しずつ可視化されてきていると感じていますが、それを超える不食ともなるとかなり極端な生き方なので、
「健康に悪影響があるのではないか?」
「……無理では?」
と、かなり耳目を集めているようです。
不食のメリットは、理屈上は、いわゆる一日1食や少食のメリットの強化版と言えるでしょう。
すなわち、
食事を取らなければ、
①食事に時間・手間を取られない
②食事に費用が掛からない
③太らなくなる
④昼間に急に眠くなくなる
などといったメリットがあるといえるでしょう。
その代わりに、一日1食のメリットとして挙げられる、
⑤食べるときに非常においしく感じる
というメリットが消える、ということになるかもしれません。
敢えて、このような不食の生活を目指そうとする人はほぼ皆無かもしれませんが、
私自身、以前仕事で忙しかったころに月曜日から金曜日の昼間まで食事をいつの間にかとっていなかった経験があるため、
不食とまではいわなくとも、
一日1食~不食の間ぐらいの感覚の生活を実際にしたことがある人は意外と存在するかもしれません。
その頃のことを思い出すと、まさに、
「いつの間にか食べるタイミングを失っていた」
といえるもので、
特に意図的に行っていたものではありません。
また、当時は、金曜日の昼間頃に、
「なんだか、調子が悪いような気がする……そういえばずっとご飯食べていないような……」
と思い出して食事を取っていたので、
端的に言って健康に影響が出ていたと考えられ、
私の場合は少なくとも現段階では合わない生き方だと感じますし、今後も不食を敢えて目指すということはないかもしれません。
しかし、このような不食という極端な生き方については色々と学びがあると感じます。
具体的には、
「私たちは何故そもそも食事をとるのか?」
「食事の目的とはそもそも何なのか?」
という問いに行き当たります。
これに対しては、
生命維持活動のための栄養補給が必要だから、
といった回答が真っ先に思いつく人が多いでしょう。
しかし、実際には純粋な栄養補給以外にも食事の目的はあると考えられ、
具体的には、
①他人とのコミュニケーション手段(会食など)
②心の飢えをしのぐため
という隠れた食事の目的もあると考えられます。
人にとってはむしろ、こちらがメインの目的になっている人もいるでしょう。
①については、接待などをすることによって人間関係を構築しようとする人なども多く、この方法はかなり効果があります。
したがって、特に会食や接待自体が好きではない人であっても、ビジネスの目的で積極的に会食を設定したりする人もいるでしょう。
いわゆる、「飲み会好き」の人の多くも、他人とのコミュニケーション手段として居酒屋を利用していたりします。
そして、
②心の飢えをしのぐため
については、自覚なくともこれをメインの食事の目的にしている人はかなり多いのではないかと考えられます。
いわゆる、体の栄養補給ではなく、
心の栄養補給のために、食事を取るわけです。
心の飢えを解消するために、食事を取るのですね。
例えば、
何か悩み事がある時、
ちょっとイライラするようなことがあった時、
何かとてつもなく暇な時、
等といった場合の時、
ついつい食事に手を伸ばすという人は多いのではないでしょうか?
特に空腹でもないはずなのに、急に食欲がわいてくるときというのはこういう時が多いかもしれません。
SNSなどを見ていて急にストレスなどによって感情が高ぶって何かものすごく甘い物などを食べたい衝動に襲われることはないでしょうか?
このような心の飢えが私たちを食事に手を伸ばさせるのです。
また、何もやることがない、暇なときである場合も、
純粋な暇つぶしのために食事を取る、という人も多いと考えられます。
しかし、上記のような心の栄養補給としての食事は、もちろん一時的な効果はあるものの、特に抜本的な効果があるわけではないです。
よく考えたら、この心の飢えは別の手段で解消したり満たすことも可能ではないか?
ということを考えることが可能です。
それは、心の中に希望が湧き出た時かもしれませんし、
はたまた何かに寝食忘れるレベルにまで熱中している時かもしれません。
例えば、動画サイトなどで、長時間面白い映画を見たり、長時間面白いゲームなどをやっていると、
その間は特に食事を取る必要がないという感覚を得られている人はかなり多いと考えられます。
このように、
私たちが心の飢えを解消させる手段というのは実は食事以外にも存在しているのですね。
このように考えていくと、
食事の目的として、
①体の栄養補給
②他人とのコミュニケーション手段
③心の栄養補給
と考えていくと、
①と②は人生において必須だと考える人は多いかもしれませんが、
③については、どうなんだろうか?と感じるかもしれません。
①だと思いつつ、実は③の目的で食事を取っていたりしませんか?
そう考えると、
不食という食べない生き方は極端すぎて難しいと感じるかもしれませんが、
とはいえ、今までは少し食べ過ぎていたのではないか?と感じる人が多いかもしれません。
そして、これを改善するためには感情マネジメントが重要だということにも気づくことになるでしょう。
不食や、食べない生き方といった極端な生き方・意見に触れると、
脊髄反射で
「無理無理」
「噓でしょ?」
と感じてしまうかもしれませんが、
そのように投げやりになる、単に切り捨てるのではなく、
これを落ち着いて考えてみると、そこから自分の人生にとって役立ちそうな知見が生まれることもあるのです。
単純に日常生活を送っているだけだと、
「私たちは何故そもそも食事をとるのか?」
「食事の目的とはそもそも何なのか?」
といったことを深く考える機会・きっかけというのはなかなか訪れません。
不食、食べない生き方という極端な生き方はそのようなきっかけを与えてくれるものでもあるのですね。