私自身は現在の勤め先のみで働いているため、現状では転職の経験はございません。
年次としては、第二新卒枠で転職活動ができるという状態です。
正直、まだ転職をしたいという気持ちにはなっていないのですが、先日ヘッドハンターの方から連絡をいただいたので、少しは話を聞くこととしました。
そして、そこでの感想を以下に記したいと考えています。
何故かというと、私自身はまだ他人を採用する必要性もない状況にあるものの、将来的に他人を採用する立場になる可能性があるため、採用される立場の人の感覚を今のうちにつかんでおいて、今後他人を採用する必要性に迫られたときにどのような視点を持って物を考えるべきかということを今のうちに整理しておきたいためです。
思うに、大抵の人は自分が転職活動を如何に有利に進めるか、という視点を持った経験はあっても、自分が採用担当者になった時にどうするべきなのか、ということは普段は考えていないと思っています。
また、多くの人は採用の必要性が生じるまで油断しており、採用を自分がしなければいけなくなってはじめてどうしようかとなるわけで、これについて予め事前準備をしておいて、来たるべき日に備えることは重要でしょう。
さて、今回私がいただいた転職話で気になったのは以下の点です。
①そもそもその企業がどんな仕事を用意していて、どんな人を求めているのか、どんな企業なのか、どうして今第二新卒枠の採用が欲しいのか、そのすべての情報が曖昧なまま示されない
これですね。
婚活でいうところの「いい人がいたら結婚したい」と言っているのと何が変わらないのでしょうか、という話です。
これは、「その企業にあった、優秀な人がいたら是非とも採用したい」という話なんですよね要するに。
おそらく、面談を通してお互いをより良く知り、すりあわせる中で採用をするか否か決めれば良いじゃないか、と考えているのでしょう。
その発想は私としても理解できないことはないです。
しかし、問題は事前に情報がまともに示されないまま面談を要求するというのは、お互いの貴重な時間を少なからず使用するという点です。
この点に関する意識が非常に低いのが大いに問題だと感じます。
なぜならば、「優秀な人」というのはその能力の種類に多様性はあるものの、概して、時間管理、タイムマネジメントの観点を重要視している人であるはずだからです。
ある程度、自分の夢や目標に向かって頑張っている人であれば、自分の最大の資源は時間であり、しかも、それは有限であるという視点をほぼ確実に持っています。
そのような人が例えば、「いい人がいたら結婚したいなー」等と曖昧なことを言っている人をそもそも相手にするでしょうか?その人に時間を費やしている場合ではなく、他のことをやっているはずなのです。
同じような発想で、曖昧に「優秀な人がいたら採用したいと考えていまして・・・・・・」などと曖昧なことを言っている企業の面談に優秀な人がそもそも行くでしょうか?
今はオンライン面談も盛んに行われているわけですが、オンライン面談だろうと、対面での面談であろうと時間は確実に失います。
転職の面談に限らず、基本的に会議を行う際には事前に概要を把握するための資料をお互いに共有した上で、会議の目的を示すというのが基本的な動きになるはずであり、このような発想は採用活動においても同様に適用されるべきでしょう。
このような視点に欠けているため、そもそも求めている優秀な人が面談に来てくれないということになりかねないのです。
そして、更に言えば、時間管理にも気を遣っているような「優秀な人」というのは基本的にどのような企業でも活躍できる場合が多いので、そもそも彼らは転職を急いでいません。
おそらくは、「割と面白そうな転職オファーがきたら考えてやらんこともない」ぐらいに思っていることでしょう。
そのような人は、ヘッドハンターに声をかけられても、面白そうな話がなければそもそも食いついてきません。
要するに、優秀な人を採用したいと考えている側の企業は、そのような優秀な人を捕まえたいと考えた場合、事前情報として、「そのような優秀な人が食いつくようなメリット」を明確に示す必要があるのです。
まずは、このような相手の視点に立って考えてみて、明確なメリットを示せるのか、ということを考えるべきでしょう。
何も用意できなければ、いざ面談をしたところで、時間の無駄でしたねという話で終わってしまいます。
このように考えると、採用する側の視点としては、お高くとまっているままではまともな人がそもそも来てくれないという話になります。
飽くまでも、採用活動においては商取引を行うのと同様の発想を持って、相手にメリットを提供しようという気持ちが少なからず必要になるでしょう。
相手の状況や都合を全く考えずにメリットを提示しようとする気持ちすらないというのは相手にされなくて当然です。
この辺りの気持ちは言動に自ずから表れてしまう点ですので、私としても今後気をつけたいと感じました。
すべての取引は相手があってこその物であり、相手の合意が得られなければ何も始まらないという原則は採用活動に限らず、交渉、営業活動などにおいても意識したいコミュニケーションとなるでしょう。