10年間で10回引っ越しをする人は多くはないらしいということを最近知りました。
私の場合、2011年から2021年まで10回引っ越しをしています。平均すると1年につき1回ということになりそうですが、もちろん場合によって期間の長短はあります。
そして、そんなペースで引っ越していると聞くとやはり気になるのは、「引っ越し費用を毎回出すのはキツくない?」というあたりでしょうか。
確かに、引っ越しを行う際には、一般的に家賃×5ヶ月分ほどの初期費用がかかりがちで、これを補うための貯金は必要になります。
しかし、いわゆる敷金礼金0物件などを狙ったり、最近では賃貸物件の仲介手数料を賃借人に1ヶ月分負担させるのではなく、0.5ヶ月分にとどめてくれるところも仲介手数料を巡る裁判の後増えてきたというのもあって引っ越しの初期費用を減らすことは可能になっています。
また、そもそも、初期費用の時点で入居月の家賃日割り計算分と翌月分の家賃を用意しなければなりませんが、入居月の後半を狙えば日割り家賃は当然少なくなります。
また、最近では、いきなり現預金を用意できなくても、クレジットカード払いで初期費用を支払うことも対応してくれるところが増えましたので、一時的にお金が足りなくても翌月までの給与に頼ることは一応可能です。
更に言えば、初期費用の合計額は家賃の合計額に依存するところがありますが、家賃の額自体が少なければ当然初期費用の合計額も少なくなります。
したがって、賃貸物件の初期費用がキツいなと感じているが故に引っ越しをしにくいと考えている場合には、①賃貸物件の家賃を低めにして探す、②敷金礼金0物件などがないか探す、③仲介手数料がほとんどかからないところを探す、④入居日を調整する、あたりの方法論を検討しておくのが良いかもしれません。
あとは、諸々のよく分からない名目で取られる手数料を厳しくチェックするというあたりでしょうか。とはいえ、こちらは限界もありますし、額も少額でもあるので私は妥協することも多いです。
また、引っ越しのための引っ越し業者に支払う額も問題になりますね。
こちらについても、①そもそも繁忙期に依頼しないこと、②持ち運ぶ荷物の量を減らすこと、③相見積もりをとって業者間で競争させること、④暮らしのマーケットなどの大手ではなく小規模に独立しているところに依頼する等の方法によって、引っ越し業者に支払う代金もそれなりに減らせます。私の場合は、おおよそ2万円台でなんとかなることが多いです。そもそも業者に頼らないという手もありますね。
とはいえ、そもそも、そんなに一気に初期費用が出ること自体が精神的に、気持ちの問題として支払いにくいんだよ、という人もいると思います。
この心理は、大手のキャリアから格安SIMに変えることができることは知ってはいるものの、違約金が気になってしまってなかなかMNPできないという心理に似ていると思います。
要は、変更するためのスイッチングコストとして、それなりの額を支払わなくてはならないということが阻害要因となっているわけですね。
しかし、格安SIMもそうですが、従来のランニングコストよりも変更後のランニングコストの方が低い、という場合には、いくら初期費用がかかっても数ヶ月かかったら投下資本分を計算上は回収できます。
例えば、格安SIMに乗り換えるためにはキャリアに解約違約金を1万円支払わないといけないとしても、格安SIMの方に変更したら月額料金が3000円減るとしたら、4ヶ月も経てばもう違約金分を回収できることになります。そして、その後はどんどん安い状態を維持できるようになり、得です。
このように、しっかりと計算をすることができれば、例えば、家賃が12万円の賃貸物件から家賃8万円の物件に引っ越しする際に、初期費用が家賃の前払い分も含めて50万円近くかかっても、1年近くで回収することが可能です。しかも、家賃12万円の賃貸物件に住み続けているとそのうち更新料も12万円分支払わないと行けないことも考えると、大きな支出も回避しながらこれを行う事ができます。
以上のように、家賃を下げながら引っ越しを続けるという方法をとった場合、金銭的に無理のない支払が可能になり、いわゆる引っ越し貧乏になりにくいということが分かってくると思います。
とはいえ、このさらっと書いてある、家賃を下げる引っ越しというのは実は結構難しいと感じている方もいるのではないでしょうか。
これはまさにその通りで、私が家賃を下げる引っ越しを繰り返していくことを可能にしているのは、やはり、そもそも必要な物以外は持たない、荷物を減らす、という試みを常日頃から続けているからです。
私は自分の生活に必要最低限の空間はどのくらいなのか?無駄に大きな空間に家賃を支払い続けていないだろうか?ということを常に考え続けているため、その時々の私に最適な間取りを狙って引っ越しをすることが可能であり、大は小を兼ねるという発想ではなく、必要な物、必要な設備、必要な空間の大きさ以外は要らない、と考えていることが大きいです。
また、通常の人よりも賃貸物件を探す時間、頻度もかなり多いと思います。具体的に言えば、引っ越しをした直後にはまた賃貸物件を念のためチェックしておくということもやっています。
最近は、物件探しも便利になっていて、大手のポータルサイトでは検索条件をしっかりと付けてくれているので、物件のスペックと家賃の関係についておおよその当たり、相場観を付けやすくなっています。
そして、常に、自分にとって、最適な間取り、立地の引っ越し場所がないかどうか、というのはリサーチしているのです。
したがって、私が何度も引っ越しを行っている背景というのは、「私は自分の生活に必要最低限の空間はどのくらいなのか?無駄に大きな空間に家賃を支払い続けていないだろうか?」ということを常に疑問に感じ考えた結果生じている、拘り、一種の執念深さ、によるものだと思います。
あとは、何度も引っ越しを繰り返して自分の周辺環境を見直すことによって身軽にし、かつ、自分を変化させたいという気持ちもあります。
人間は自分の意思ではなく環境に左右されてしまう残念な生き物でもあるので、自分の意思で環境自体を変えてしまう、その時々の自分に必要な環境を自分で創り出すという発想が必要になってくると私は考えています。
その一手段として私は賃貸物件の引っ越しを繰り返しているわけですが、最近考えているのは、とはいえ、賃貸物件というのは他人が創った商品でしかないという点です。
すなわち、ある程度のトレンドに応じた物件は供給されているものの、たとえば自分にとって真に100%理想に合致する物件というのはそんなに簡単には出てきません。
本当に、理想を叶えたいと思ったら最終的には自分で住まいを創るということになる、ならざるをえない、と考えています。
一般的にはマイホームは一生に一度の買い物と言われています。これが個人的にはあまりしっくりときておらず、自分の理想の住まいを自分の人生の中で何度も何度も造り続けた方が良いと感じています。
人生の中で何度もその時の自分の理想の空間を作り続けることができたら非常にワクワクするだろうなと私は考えています。DIYをやってみるのも良さそうだと最近は考えています。
いずれにしろ、人にとって住環境というのは、衣食住といわれるほどに重要なものであるため、賃貸物件に住むにしろ、持ち家に住むにしろ、不動産に関する知識や経験は必須になると考えられます。
取引額が高額になりやすいということも考えると、不動産について勉強することは一種の教養を身につけることに繋がってくると思いますし、どんな職業の人も学んでみて損はないと考えています。