私たちは高収入であったり、あるいは高収入を目指している人を見るとついつい、
「あの人はお金が大好きな人なのかな?」
とか
「お金目当ての人なのかな?」
とか
「収入に比べると他のことはあんまり重視していないのかな?」
とか
「WLB(ワークライフバランス)とかは興味なし?」
といったことを考えがちです。
特に、日本の場合には超過累進課税制度などがあるために、個人で高収入を得ようとしても、
額面年収1000万円でも手取りが700万円強しかない
といった話になりかねず、
下手に高収入を目指したところで頑張ったところで手取りがあんまり増えない
↓
高収入を無理して狙うよりは、年収600万円とか700万円ぐらいにしておいて余暇を楽しんでおいた方が良さそう
↓
年収はまあ700万円ぐらいでもいいかなあ
といったことを考える人もそれなりにいるようです。
確かに、日本で普通に働いて所得を得ようとすると、税金や社会保険料が厳しいために、
コスパが悪いのではないか、そこまで無理しなくてもいいのではないか、
↓
それを乗り越えることができるぐらいお金目当てなのか
といった発想になりやすく、
高収入であったり、あるいは高収入を目指している人=お金目当て
というバイアスが発生しやすいようです。
確かに、
「お金がないと何も始まらない」
というのは一種の真理をついているところがあり、
「お金は生きていくうえで必要ない」
といった主張を私自身するつもりはありません。
しかし、それでも、
高収入であったり、あるいは高収入を目指している人=お金目当て
というのはバイアスがかかりすぎた物の見方ではないかと感じることがありますし、
むしろ、
お金目当てではない人も高収入を目指した方がいいかもしれない
と考えています。
実際に、年収が高くても、そこまで贅沢の限りを尽くさない生き方をしている人というのは存在します。
もちろん、
「そもそも、お金目当てとは何なのか?」
という定義の問題がここにはありますが、
私の中でのイメージとしては、
手元に現実に残る現預金(可処分所得)を増やしたがること=お金目当て
と考えています。
すなわち、お金目当てではない人、可処分所得に関心がさほどない人であっても、高収入を目指した方が良いかもしれない
と考えています。
何故かというと、
高収入というのは可処分所得の多寡にかかわらず、それだけで「信用力」を持つから
です。
特に勤め人の場合は、この信用力というのは馬鹿にできません。
例えば、賃貸物件を見つけてそこに入居しようとしても、基本的にはすんなりと入ることができません。
必ずと言っていいほど、信用力の調査が行われ、勤め人の場合には源泉徴収票などの所得を証明することができるものを要求されます。
例えば、無職のように何も自分の信用力を証明できない状態になっている人だと一気に不利になりますし、
逆に、年収1000万円を超えている人であれば、家賃月20万円の賃貸物件であっても簡単に審査が通る傾向にあるようです。
最近は、フリーランスの人も増えてきましたが、現段階では、貯蓄額が多い人であっても、
年収が低い人だと、
信用できないから
という理由でお断りされる例があったりします。
「信用力」というのは不思議なものでして、現代社会では、見知らぬ人に信用してもらうためには、何らかのわかりやすい根拠が必要なようです。
高収入の人というのは、単純に額面年収が高いということのみならず、
「誰かがこの人に何らかの根拠があって高い収入を与えている」
といったことを意味していますから、
「誰かがこの人に高い収入を与えてもいいと判断しているから、それなりの根拠があるのだろう、したがって、信用できる」
といった話にもなりやすいようです。
特に、勤め先が名の知れた大企業であった場合には、世間的にも、
「ここに入社することができているということはまともな人なのだろう」
と思ってもらいやすく、
勤め先の名前を見ただけで信用してもらいやすい、といった現象があるようです。
もちろん、
「要は、信用力があればいいわけだから、別に高収入である必要はないのでは?」
という考え方もありますし、それは、間違ってはいないと思っています。
世の中には、経歴だけでそれなりの信用力を確保している人もいるようです。
しかし、そのような経歴を持っていない人は、やはりわかりやすい指標として高収入を後から狙いに行くというのは、知らない人同士の関係では話が早いと思われます。
このように、「信用力」が大事になる場面というのは世の中に意外とあります。
そのため、
「信用力」が問われる取引が必要になった場合に備えて、お金目当てではない人、可処分所得に関心がさほどない人であっても、高収入を目指した方が良い
と考えています。
これに加えて、高収入の人の場合、転職活動でも有利になる場合があります。
例えば、求人の中には、
年収につき現職以上を保障するといった内容の物があります。
これを上手い具合に使用すると、その人のスキルや経歴にもよりますが、
高収入でいて、しかも、WLB(ワークライフバランス)もそれなりによくて、やりがいがあるといったより理想に近い待遇で職を得ることも可能になります。
新卒の段階では自分にとって理想ではない働き方をしていた人であっても、
上手い具合に自分のスキルなどを高めることができれば、少しずつ理想の働き方に近づくことも不可能ではありません。
もちろん、スキルがあるから独立して自由に稼ぐという働き方もありますし、上記のように、勤め人の立場でより理想的な働き方に近づける、といったことも可能になるでしょう。
上記のような理由もあることから、
お金目当てではない人も高収入を目指した方がいいかもしれない
と考えています。
人生は点だけで評価されるものではありません。
一つの大きな物語の中で少しずつ「自分史」が構築されるものだといえます。
高収入であったり、あるいは高収入を目指している人=お金目当て
というのはその人の1時点だけを見た場合の評価になるでしょう。