このタイトルを見て、
「一体何のこと?」
と思った人は多いことでしょう。
漫画とかを見ていると、魔法を使うキャラクターがいたりしますが、詠唱、すなわち呪文を唱えるキャラクターと、無詠唱すなわち呪文を唱えることなく魔法を使うことができるキャラクターが出てきたりします。
よくある設定としては、詠唱魔法しか使えないキャラクターは、魔法を使用する前にどうしても詠唱をするための時間を使用する必要があるので、このタイムラグが生じてしまうことが弱点となってしまう一方、無詠唱魔法を使用することができるキャラクターは詠唱のための時間が不要なため、魔法を放つまでの時間を減らすことができるため、妨害されにくい、というのがあったりします。
よって、単純に考えれば、魔法を使用するまでの予備動作が少ない分、詠唱魔法の使い手よりも無詠唱魔法の使い手の方が実力が上みたいな設定です。
この詠唱魔法、無詠唱魔法というのは、いわゆる第二の天性たる習慣の仕組みと似たようなところがあるのではないか、と私は考えています。
例えば、私は経済的自由を意識した際に、節約を行う為に、購買欲を刺激された際に自分に対して「これって本当に必要なの?」「一事の気の迷いではないの?」と初期の頃は言い聞かせて節約を意識していました。
このような「これって本当に必要?」という呪文を自分に対していい聞かせる、すなわち、セルフトークをすることで、商品に誘惑され、購買欲を刺激されたとしても、この呪文によって立ち止まって考える事ができるようになります。
この、「これって本当に必要?」という呪文を唱えることによって支出の最適化を図ることを詠唱魔法のように考えれば、無詠唱魔法というのは、もはやセルフトークすること無しに、購買のするしないをその都度適切に判断できる状態になっているのと変わりありません。
ここまで来ると、セルフトークをした上でいちいち考えるという詠唱魔法で言う予備動作も不要になり、判断までのスピードが速まるのと同時に、無意識の判断が可能になるという無意識の状態での動作が可能になります。
よく魔法の設定などにおいて、意識しなくても初期設定で身体にバリアを張ることができる、とか、攻撃を勝手に反射できる、というような羨ましい(かっこいい)能力を持っているキャラクターなどもいますが、あれに近いのでは無いかと思います。
身体の周りに見えないバリアが張られることで、そもそもコンビニなどでお菓子が視界に入ったとしても、「これは不要」としてほぼ自動で処理が行われ、誘惑があたかもその人の身体に向かっていたのに反射されたかのように無効化されます。
このように、詠唱→無詠唱の過程を経るまで詠唱魔法の訓練を積むことが習慣を習慣たる物にする、すなわち意識的な努力を無意識な行動に落とし込むまでの過程ではないかと私は考えています。
他の使い方としては、保有している株価が下がってきて焦りを感じ始めたときに、「気絶投資法!」と言い聞かせて、証券口座を完全に閉じるというようなことをやっていた時期もあります。
この辺りは、SNSなどでもつぶやきで「慌てるな、今はむしろ買い場なんだ」とつぶやいて自分の精神を保っている人がいますが、そのような人も同じような事をやっています。詠唱魔法をつぶやくことで自分に魔法をかけているのです。
もう、投資を何十年もやっている人はこのような暴落などのシチュエーションに慣れてしまっているので、いちいち詠唱しなくても適切な行動を取ることができるということなのではないか、と私は考えています。無詠唱の使い手です。
他の例で行くと、「そのうちやった方が良いけど、今はなんとなくやる気になれない、めんどくさい」といったような、重要だけど緊急性が低い行動について億劫になっているときに「第二領域!第二領域!」と自分にセルフトークをすることによって、重い腰を上げるというようなことをやることが私は多いです。
できれば、心の中で「第二領域!」とつぶやかなくても適切な行動を起こせるようになることが理想ですが、私にはまだまだ修行が足りないようです。
逆に言えば、自分にとって適切な行動を習慣づけたいと考えた場合、いきなり無詠唱魔法を使えるようになることを期待するのではなく、詠唱魔法によって自分に魔法をかける方法がないかどうかをまず考えるというステップが必要になるということです。
詠唱魔法をその都度自分にかけ続けることによって、その修行の成果として無詠唱魔法の使い手として、一つの習慣の免許皆伝をすることができるのではないか、と考えています。
因みに、私は食生活関係においては、「タンパク質!」と詠唱魔法を自分にかけています。
タンパク質を摂取すること意識しなければいけないと言うことはどの文献にも書かれているのですが、私たちの本能はお腹がすくと真っ先に炭水化物を追いかけるように何故かなっています。
こうして、何も考えずにいると、お腹がすいたときにカロリーが高いくせに栄養価が足りない物に手を出してしまい、食べても食べても満足できず、お金を失い、ダイエットにも失敗するのです。
このデフォルト設定の、本能によるアルゴリズムを、詠唱魔法である「タンパク質」を唱えることによって微妙に変更することによって、お腹がすいたらまずはタンパク質を摂取してから考えるというようにアルゴリズムをずらしているのです。
さて、ここまで詠唱魔法を唱えること=セルフトークを行う事というような感じで書いてきましたが、勿論、詠唱魔法により自分に魔法をかける方法というのはセルフトークに限りません。
具体的には、他人から詠唱魔法をかけてもらうということが想定されます。
よくダイエットをしたいならば、太っている人ではなく理想的な体型の人とつるめば良いとか、モテるようになりたかったらモテる人と友達になることから始めるというような方法論が語られることがありますが、これは事実上、自分の交友関係や付き合っている人から詠唱魔法をかけられることを想定した方法論だと言えます。
似たような方法論として、SNSにおいて理想的な成果を上げている人だけをフォローして毎日彼らのつぶやきのみを眺めるという方法論もあります。これによって、他人のつぶやきが詠唱魔法となって自分に魔法をかけてもらえるようになります。
このような方法論が考えられるわけですが、上記のような対策を講じることができない人は、セルフトーク、すなわち自分に言い聞かせることによって自分自身で詠唱魔法を唱えて自分に魔法をかけることが必要になります。
逆に言えば、孤立無援で何かの目標を黙々と達成したいと考えた場合、このセルフトークのスキルを高めることが必要になると思われます。
有名なのは、目標を紙に書いて勉強机の壁やトイレの壁などに貼っておくというのもありますね。視覚的に詠唱魔法を自分にかけることができます。このような工夫が必要になるのです。
詠唱魔法というのはこのように言葉の力を使用して自分自身に魔法をかけるスキルということができるでしょう。
となると、適切な詠唱呪文、すなわち言葉選びというのも重要になってきます。
私のように、食生活を気にした際に、「食べ過ぎないようにしなきゃ」という言葉をセルフトークとして選ぶのか、「タンパク質」という言葉をセルフトークとして選ぶのかという当たりもおそらく目標達成率において大きな関連性があるとみています。
すなわち、言葉選びはとても重要であると言うことであり、これをまずどうするべきかしっかりと考察することも重要になってくると思います。
言葉の力はあなどれないということです。