昔々、農夫が美しい谷間に住んでいました。
彼は豊かな収穫を望んでいましたが、何をすればよいのか、何を蒔けばいいのか分からずに困っていました。
ある日、彼は村の賢者に相談しました。
「賢者さま、私は豊かな収穫を望んでいますが、何をすればよいのでしょうか?何を植えればいいのでしょうか?」
と農夫は尋ねました。
賢者は微笑みながら言いました。
「それはあなたが蒔く種にかかっています。あなたが蒔くのは銀のタネですか?それとも金のタネですか?」
農夫は驚きました。
「銀のタネと金のタネって何ですか?」
賢者は語り始めました。
「銀のタネは、努力を惜しまないで育て、時間をかけて栽培することで実りを得られるものです。それは忍耐と努力が必要ですが、最終的には価値ある収穫をもたらします。一方、金のタネは簡単に豊かさが手に入るように見えますが、それは詐欺と欺瞞の種です。金のタネを選んだら、最初は豊かになるかもしれませんが、最終的にはあなたを破滅に導きます。」
農夫は賢者の話している意味がイマイチわからず悩みましたが、最終的には賢者の忠告に従うことを決意しました。
彼は銀のタネを選び、農場で一生懸命働きました。
毎日、彼は土を耕し、種を植え、水をやり、愛情を注ぎました。
時には、雨の中、苗木を護ることもありました。
数ヶ月後、収穫の季節がやってきました。
農夫は大きな実を収穫し、村に喜びをもたらしました。
彼は幸せな生活を送りました。
一方、村の別の農夫は賢者から説明を受けたのにもかかわらず
「こいつは高値で売れそうだ!銀のタネよりも高そうだ!」
と金のタネを選びました。
そして、金のタネをすぐさま高値で売り飛ばしたのです。
彼は、最初は豪華な生活を楽しむことができましたが、その後、金のタネはその希少性の高さから高値で換金することが可能であるだけで、種を植えて育てて増殖することができないことが判明しました。
彼は最初は換金した金で豊かな生活を送ることができましたが、それも底をつき、それでも生活水準が下げられなったためどんどん追い込まれていきます。
彼は借金を抱え、友人や家族との信頼を失い、最終的には困窮しました。
物語の教訓は明確でした。
タネを植えなければ実りを得られないし、種の種類を間違えてしまうと望むものを手に入れることはできないのです。
農夫は努力と忍耐を持って銀のタネを蒔き、豊かな収穫を得たのに対し、金のタネを選んだ農夫は短期間の幸福を手に入れただけで、最終的には失敗したのです。