時折、戦略として聞くのが、
「選択と集中が大事」
という言説です。
これは要するに、リソース、資源を一つの事に集中することによって、大きな成果をあげるということを示しています。
そのために、些末なことは捨てることを推奨しているのですね。
しかし、ここで問題になるのが、
「結局、何に対して選択と集中するべきなのか?」
ということです。
というのは、
選択と集中をして上手くいかなかった場合、そこに集中してしまったことによるリスクが顕在化するからですね。
例えば、株式投資などでも、
特定の個別株に全力投資したことによって、大成功を収めることがある一方で、
特定の個別株に全力投資したことによって、逆に大きく失敗して再起不能な状況に追い込まれることもあります。
それゆえに、
「何に対して選択と集中するべきなのか?そもそも、今やるべきなのか?」
というのは極めて重要な問題となります。
一つの考え方として、
「取り敢えずいくつかやってみた後、その中から小さな成功を収めた物」
にターゲットを絞る
という考え方があるでしょう。
最初から、何かに絞るのではなく、まずは、色々なことを試してみて、自分に合ってそうな物や、ちょっとだけでも上手くいったものに絞っていくということです。
このようなやり方を採用する場合、
当然ですが、試行錯誤や挑戦をそれぞれ行う時間が必要でしょう。
その間、実際に「選択と集中」を実行し、上手くいっている人に比べるとしばらくはパッとしないかもしれません。
なんせ、上手くいかないかもしれないことに対しても、その間挑戦しているからですね。
これは、投資で言えば、
「コツコツと無難に、保守的な投資を行っている間、個別株などで全力投資をして大成功をしている人を傍目にしながら精神的に耐えなければいけない」
という状況と似たような心境になることでしょう。
これは、結構苦しい状況なので、耐えるのは結構精神的にきついかもしれません。
上手くいってそうな人を指をくわえて見ていなければいけない期間です。
どうしても、華やかな形で成功している人に注目が集まるのでこれは仕方がないでしょう。
この間は、
「何だったらイケそうなのか?」
と、試行錯誤をしながら失敗データを収集している状況です。
狭い研究室で実験を繰り返しているようなものです。
実験を繰り返してデータを積み上げているからこそ、時が来れば、
「ここに選択と集中をすればよい」
ということに確信が持てるようになるでしょう。
そうすれば、後は行動するだけです。
実際、
「ここに選択と集中するのが良いという確信」
を得るまではなかなか大変でしょう。
ここまでの時間は、成果を得られない、果実を得られない「投資期間」と言えます。
そして、選択と集中をして上手くいったとしても、その成功が未来永劫続くわけではないことが通常であるため、次の選択と集中をするべき先を探す期間もそのうち必要になるでしょう。
このように、
試行錯誤→小さな成功→選択と集中→大成功→衰退(旨味の縮小)→試行錯誤→小さな成功→選択と集中→大成功→衰退→
といったサイクルを続けていくことになるでしょう。
この動きを長期間にわたって続けていくのが人生なのかもしれません。