「あなたは最も多くの時間をともに過ごしている5人の平均である。」
という有名な言葉があります。
どんな人と親しい時間を過ごすかによって自分の考え方や行動が変わってしまうということを端的に示していますね。
私は人間というのはまるで一台のスマホのようなデバイスのような存在に近いと考えています。
世界中に存在する一つ一つのデバイスは他のデバイスと何らかの形でデータ通信を行っており、常に自分にとって最適な同期できる相手を探しています。
村社会と呼ばれることもありますが、同じ価値観で結ばれた無数のデバイスの集合体のようなものによって一つの大きな共同体、ネットワークのようなものが作り上げられており、そこで様々な情報がつながったネットワークの中で迅速に情報交換され一体感を作り上げている、というイメージです。
ネット上ではSNSにおいて「クラスタ」という言葉がありますね。
SNSなどのネットサービスやソーシャルメディアで、似たような属性(所属や趣味、政治信条など)や共通点を持った利用者同士が相互に繋がって形成された集団をクラスタということがある。
グループ機能のようなサービス上の機能などで明確に組織化されたものというよりも、友達関係や購読関係を通じて緩やかに連帯する一群の利用者という意味合いで用いられることが多い。
https://e-words.jp/w/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%BF.html#:~:text=%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%EF%BC%88%E6%9E%9C%E7%89%A9%E3%82%84,%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E6%A7%98%E5%AD%90%E3%82%92%E8%A1%A8%E3%81%99%E3%80%82
「クラスタ」内部においてはこのような緩やかの繋がりがネットワークとなっており、そこで時には同じ価値観を共有しあったり、時にはそれに関連しあった情報が迅速に共有されます。
例えば、「野球のクラスタ」であれば、野球に関連する話題がつきない集団であって、そこに属していれば野球に関する情報を迅速にゲットすることが可能です。
野球が大好きな人があれば、他の野球が好きな人を好むため、このような「野球のクラスタ」を発見すると、そのクラスタに常駐することが多いようです。
そして、その中で特に多くの野球に関する情報を共有してくれる人に強く惹かれ、そのような人たちと価値観を共有することもあるでしょう。
このように、クラスタというネットワークを通じて、私たちは他人と同期し始めるため、
「朱に交われば赤くなる」
という現象が生じます。
逆に言えば、赤くなりたかったら朱に交わる、すなわち理想の人物や理想のネットワークの一員となって自分自身をアップグレードすることになるでしょう。
このために新しいコミュニティの一員に敢えて入る、という人もいるようです。
しかし、逆に、何らかの事情で
「この人たちと自分の理想が異なっている」
とどこかで感じてしまった場合、
そのクラスタやコミュニティにおいて自分自身を他人と同期したくなくなってしまう場合があります。
このような場合、例えば、今まで仲が良かったはずの友達となんだか話が合わないだとか、話を聞いていてもなんだか違和感があるという感覚になりやすいようです。
そして、場合によってはその人と段々と疎遠になってしまうこともあるでしょう。
人によっては友達ではなく家族や恋人などのより近しい人間関係になる場合もあります。
あなたが一気に成長したい、人生のフェーズを変えたいと望んだ場合、このような現象がよく起こります。
そして、場合によっては今まで親しかったはずの人と仲違いを起こすこともあるでしょう。
もっと違った自分になりたい、自分自身が変化したいと望んだ場合、このような
「人間関係破壊のリスク」
「人間関係破壊に伴う心の痛み」
を乗り越える必要があることが多く、これがその人にとっての試練になるのかもしれません。
ところで、投資の世界では、
リバランス
という言葉があります。
リバランスは、株式、債券、投資信託などの価格が上下することによって、当初の割合が崩れてしまったポートフォリオを元の状態に戻すことです。
要は自分自身の金融商品のポートフォリオを定期的に見直して、
「自分にとって最適なポートフォリオに直すにはどうすればいいのか?」
と考えて、それに基づいて処理を実行することにあります。
例えば、今までは年齢や自分自身の年収などの事情によって、
株式100%のポートフォリオでいいや、と考えていた人であっても、
「今の自分にとって最適なポートフォリオは株式100%ではなく、株式50%、債券50%かもしれないからリバランスしよう」
と今までと方針を変えて自分にとって最適なポートフォリオを維持するようにすることもこのようなリバランスの考え方を取り入れていると言えるでしょう。
もちろん、方針自体が変わらなくてもいつの間にか最適なポートフォリオから実態がずれている場合があるため、この場合に調整を行うのもリバランスというようです。
このような金融商品におけるリバランスの考え方というのは人間関係においても同様に考えることができるでしょう。
例えば、人間関係のポートフォリオとして、今までは一緒に過ごす時間が
親70% 学校の友達30%
であったところ、
親10% 学校の友達50% 塾にいる友達30% ネット上の友達10%
のように徐々に変化することがあり得ます。
この場合、もともとは親と一緒に過ごしている時間が多かったゆえにこの人は親の価値観と強く同期しており、その影響を強く受けている状態だったと言えるでしょう。
しかし、人間関係のポートフォリオのリバランスを行って徐々に時間配分を変えることによって自身が同期する相手を少しずつ変えているわけですね。
そして、この人間関係のポートフォリオのリバランスを徐々に行う人と一気に行う人とでやり方は様々です。
緩やかな方法だと「徐々に距離を取る」という方法になります。
逆に、比較的強硬な手段としては、配偶者に離婚を突き付けたり、勤め先を退職したり、家から家出するなどの方法によって、今まで強く同期していたネットワークを切断するという方法が挙げられますが、
これはより強く変化を望んでいる人が行うことが多いと言えます。
このように、人間関係のポートフォリオのリバランスを定期的に行うことが、自らのさらなる成長を望む人にとっては不可欠といえるでしょう。
時に心の痛みも伴うかもしれませんが、これを乗り越えることに慣れている人が変化率の高い人になりやすいのではないか、と考えています。